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OP.SonicArrow 3




















「で、敵は?」


目的地コトボまでの航路を設定してオートパイロットにし、アトラスに向け話しかける。一緒に飛んでいるのは僚機のF−22Aと、配属されたばかりのF−15Eが2機、視界内には存在しないがAH−64Dもこちらに向かっている。敵部隊が半壊済であるためと同時進行の別作戦に戦闘機が持って行かれているため、大規模な空戦は発生しないだろうと判断、F−15Eにも爆装を施し、実質的対空戦闘力はアトリア隊のみとなっていた


『今のところレーダーに反応は無い、恐らく逆転は諦めているから、地上で足止め程度の戦闘があるだけだろう』


数日前まではかなりの戦力が集まる大都市だった。民間人も相当数が残っていて、下手に攻撃すれは様々な意味でまずい事になるはずだったが、悩んでいる暇は無いとばかりに撃ち込んだ巡航ミサイルが敵主力に大打撃を与え、ワイルドウィーゼルでレーダー網を破壊、爆撃を繰り返し行ったのち今に至る


空軍主力が出て来ていないのが気掛かりではあるが、陸軍は既に壊滅している、今から反撃した所でどうこうできるものではない


『このまま暇で終わるのが一番いいがな』


「戦果無しとか勘弁だぞ」

『精力的なのは感心するが落とされるなよ』



F−15Eが戦闘速度まで加速していく



『始めるぞ、アトリア隊は陸戦部隊の直掩に当たれ』


「アトリア1了解」


『アトリア2、了解』


進路を修正、エンジンに最大出力を吐き出させる。F−22Aが援護位置についたまま追随してきた


とりあえず目標近くまで行って、担当時間終了までぶらついていようと思う


「飛行戦艦は?」


『あれ以来は動いていない、あそこまで巨大では飛んだだけで目立つからな。首都周辺で沈黙しているというのが作戦会議室の予想だ』


首都周辺、という事は今から出撃しても2時間はかかる、遭遇する可能性はなさそうだ


ここを押さえてしまえば国道直通で次の敵軍航空基地まで陸路で行けるようになり、周辺一帯の制空権が不動のものとなる。そしてその向こうにあるのはレールガンだ


ここを死守するか捨て石にするかで悩んでいたようだが、捨て石で決定したらしい


「ならマジで暇か」


『一応、警戒は怠るなよ』



いや、警戒は管制機おまえの仕事だ
























「はい、行きますよ」


ストライカーを見送ってから3分間、隠れていた草むらから這い出る


少々突っ込んだ場所で降ろしてもらったため、前線はまだ背後にあった。広めの公園に潜伏して様子を見ていたがどうにも敵の数が少なく、どこを奇襲したらいいのかまったくわからない


「もう指揮所いっちゃいましょう、防衛隊もそこまでいないはず」


腰のショットガン、ベネリM4を掴み上げて代わりにウージーをぶら下げるネア。そして周囲を見渡して、1kmほど先にあるビル群を指差す、あのへんにあると踏んだようだ


「いけんの?」


「1人なら潜入するんですが、2人なら強行突破でも問題無いでしょ」



普通は問題がある



早足に歩き出したネアの後を追いつつ後方を確認、銃声は絶え間無く聞こえているが派手な爆発音はあまり聞こえず。対物戦闘は発生していないらしい


「敵に戦車は無いのか」


「どれだけ爆弾落としたかは知りませんが、対空装備まで根こそぎ持っていかれりゃそうもなりますよ」


第一に静かなのだ、この戦場


頑張った痕跡は見受けられるが、民間の建造物に爆撃で開いた穴があり、それが誤差で済まされない数に達している、相当量の爆薬を落とされた事は間違いない


恐らく民間人は半強制的に避難させられただろう、誰だって誤爆で殺されたくない。東へ逃げたか、避難所で寄り固まっているか




上空にF−15が現れて爆音を撒き散らし始めた




「欲しい情報もなさそうなんでちゃちゃっと終わらせましょう」


情報


そういえば飛行戦艦関連のものを大量に持っていたな、この子


「情報集めてどうすんの?」


「過去に前例のない兵器ですから、どこかしらに欠陥があるはずなんです。もしかしたらスティンガー1発で落とす事も可能かもしれない」


「なぜ1人で落とそうと?」


「え」


「弱点見つかったとしても普通は軍隊に頼むとかさ」


「え…いや……その発想は無かったというか……頼れる人いなくなってからかれこれうんにゃひ……」



どうも他人に頼るという思考パターンが存在しないようだ、金さえあれば生きていけるこの世の中で素晴らしい生き方をしていらっしゃる。引きこもりニートは全員見習え


「…まぁ…あくまで私事なんで、他人に迷惑かけるのはどうかと思ってですね。目的一致してなかったらこの部隊にも参加してませんし」


「ふぅん」


「あ、多人数行動が嫌って訳ではねーですよ?」



話しつつも移動を続け、ビル群の近くまで到達。臨時の指揮所を置くなら倒壊しにくい1〜2階立ての建物だと思うが、生活空間が縦に伸びていく昨今、十分な広さの平屋など確保できないのかもしれない


「あそこの野球場とかどう?」


「奇遇ですね、おんなじ所見てました」


物影に隠れつつ道路の先を見る


距離約100m、プロ野球での使用に耐えそうな規模の球場である。三階建て施設に1個師団整列できそうな広場付き、司令部としてはなかなかのものだと思う


ついでに言うと観客席に見張りが数人立っており、指揮所でなくとも何かはありそうだ


「ただこのまま近付くのは避けたいので……」


ネアが周囲を見回し始めた。すぐに何かを見つけ、球場側から見えないように隠れながら移動



十数秒で地下駐車場への入口と、見張りの兵士2人を見つけた



「あそこから行けますね」


「そりゃわかるが、あの見張りはどうす……」


長い橙髪が翻る


会話できるような距離で使用されるイメージの強いショットガンだが有効射程は50mもあり、実際その距離で発砲すると極めて高範囲に散弾が飛び散る事になる。威力は下がるが、まとめて仕留めるには最適な訳で



ベネリM4が7回ほど火を噴いた


鉄球と鮮血が飛び散る



「行きますよ」


「…あ…あぁ……」



忘れていた


ここはこういう所だと







































ストライカー上部に設置されたM2重機関銃が敵部隊を蹴散らしていく


蹴散らすといってもばたばたと撃破していっている訳ではなく、攻撃中断させて退却させるに留まっている。数は少ないが練度は高かった


「どーよ」


「完全なる時間稼ぎだなこりゃ」


現在、先行する74式戦車のスピードに合わせており、74式は護衛の歩兵に合わせて走行しているため、速度は6〜10km/h、今のところ酔いとは無縁だった


上ではレオンがM2を撃ち、後ろでマリアンが後方警戒している中、(書類上は)隊長であるユリアナはSCAR抱えて車内で休憩中。敵が来たと思ったらM2に追い払われて帰っていくのだ、護衛も足りているし、わざわざ出ている意味もない



が、ここまで進んでもいまいち戦果が上がらないとくると


「回り込まれてる可能性は?」


「ゼロとは言えないな」



座席から立ち上がった



「ちょっと見回ってくるわ、銀の黄昏むこうも出せたら出させといて」


安全装置を外しながら飛び降り、マリアンについて来いとジェスチャーを送る。このまま行けば30分後には都心部に入るから、少し遠回りしてそっちに向かう。記憶したルートからは外れるが、標識に頼ればなんとかなるだろう


「物影とかよく見て、隠れてるかもしれないし」


装備の重いマリアンに合わせながらの駆け足でストライカーから離れていく。遮蔽物から遮蔽物へ移動しつつ、何か隠れていないか確認


住民がいなくなって閑散としているものの、日が経っていないために生活感だけが残っていた。物販店のいくつかは襲撃された後があり、集団パニックが起きた事は間違いない


典型的な戦争被害だ、これは戦後問題になるだろう。勝てば揉み消されるだろうが


隣の道路に出てしばらく直進、何も無いためもうひとつ隣に行くがやはり異常は見つからず。単に撤退準備に入っているだけなのかそれとも派手に大回りしているのか


「どう思う?」


「見つけ次第撃破すればいいんだろう」


「ああまぁ…あんたに聞いたらそう帰ってくるわよね……」


しっかり上まで見て何もいない事を確認してからもう一回隣へ、と思ったが、見方戦車のものとおぼしきキャタピラ音が聞こえてきた、素直に直進する事にする


そこでふとスナイパーがいないか心配になり、付近で一番高いマンションに足を向ける。屋上に隠れられたら見つけるのは困難だが、更に上から索敵できれば幾分かは楽になる


玄関から入って階段の1段目に足をかけ


「おい」


マリアンに呼び止められた


「爆薬が仕込んである」


「どこに」


「柱」


指差された先にはマンション全体の重量を支えているであろう巨大なコンクリ製の柱、それが穴を開けられ、軍用の高性能爆薬が埋め込まれていた。爆破されれば折れるのは確実で、よく見れば他にも数ヵ所同じものが設置済み


「これ崩してどうすんのよ」


とりあえず危険なのでマンションから出、もう一度誰もいない事を確認、こんな場所のマンションを倒してどうしようというのか


「トラップ」


「随分遠回りな攻撃手段ね」


「…………」


「………………」



弾幕担当に意見を求めるのが間違いだったようである

変なもん見つけたし合流してしまおうと思い直進を継続。このままいけば駅前で合流できるはずだ





「お……」


上空に戦闘ヘリコプターが現れた


かなりの低空を維持しまままユリアナの真上を通過し、強い風を撒き散らして東へ。種類はアルメリアのAH−64Dで、機体に描かれたクランフォールのマークが友軍であることを表していた。


「いまさらそんなもん出してきてもめぼしい標的無いでしょうに」


敵に車両はほとんど残っていない、あったら既に戦線投入している。そんな所にヘリなんか出した所で効果は上がらない


「対人ロケットを積んでいた、本陣を攻撃するつもりだろう」


「……大丈夫かしらあの2人」


「ロケットの命中率は信用ならん」



駄目そうだ

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