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片想いから始まるHappy ends  作者: 卯月はる
幼馴染に片想い
19/19

彼氏と夏祭り -side NATSU-



「へー、拓夢と付き合うことにしたんだー」


ゆめちゃんがよりを戻した話を聞いて、私はゆめちゃんに報告した。

たっちゃんの実の姉であるゆめちゃんは驚くこともなくジュースを飲んでいる。

私のママに着付けてもらった浴衣で可愛い。


「なっちゃん、拓夢には全く興味なさそうだったのに」

「そ、そう…?えへへ、ふーくんのことずっと相談してたんだけどね」


付き合うに至った経緯をひとつひとつ説明していくと、ゆめちゃんの表情が曇る。


「は!?付き合う前にキスされたの?あり得ん。」

「それは私が無神経なこと言ったから…」

「やめとけやめとけ。怒ってムリヤリとかロクでもない奴よそれ」

「わっ!?」


プリプリ怒っているゆめちゃんに、言い訳をしようとしていたら、後ろから伸びてきた腕に閉じ込められる。


「オイふざけんな姉貴。いつもいつも面白がりやがって」

「ハハハ!あたしの中では『風太×夏海』推しだったんだけどなー」

「マンガみたいに言うなよ」


ゆめちゃんもたっちゃんの気持ちを知っていたということ?

それって、私じゃ大事な弟を任せるには足りない…?


「あの、ゆめちゃん、頼りないかも知れないけど、たっちゃんは私が幸せにするから…!」


と、口を開いたのに。


「………プッ」

「………おま…」


ゆめちゃんは吹き出し、たっちゃんは顔を手て覆って耳を赤らめている。


「アハハハハ!!なっちゃんに対して心配はぜんっぜんしてない!!!」

「そ、そうなの?」

「拓夢に泣かされたらいつでもあたしんとこおいでー。おねーさんが懲らしめてあげるからねウフフ。」


あたしの肩をパシパシ叩いて、スキップでもしそうなテンションでリビングを出て行くゆめちゃん。

ふわふわの帯を揺らしていく後ろ姿も可愛い。


「たっちゃん?」


頭を抱えたままのたっちゃんに、私は恐る恐る近付いた。

ゆめちゃんはああ言ってくれたけど、失言だったのだろうか。


はーとゆっくり息を吐き出して、たっちゃんは口を開いた。


「…………プロポーズなのわかってる?」


耳が、ちょっと赤い。


…え?


「ぷ…!?」

「…や、わかってる。深い意味なんてないんだよな?」


言われて、私までつられて赤くなった。


「…え。あ、でも、たっちゃん以外考えられないっていうか!!」


いい終わる前に、ぎゅうと抱き締められた。


「…バカ…」





◇◆◇





ゆめちゃんは今年も彼氏とラブラブデート。

ふーくんは…たっちゃんと付き合うことになったと報告したら喜んでくれて、夏祭りは2人で行っておいでと言われた。

寂しくはあったけど、悲しい気持ちはもうなくなっていた。


手を繋いで、夏祭りの会場までゆっくり歩く。


「…そういえば、就職、たっちゃんはやっぱり地方転勤ありにするの…?」


私は気になっていたことを口にした。

この幸せが、遠くなってしまうと思うと寂しい。でも、たっちゃんのことは応援したい。


「いや。迷ってたもうひとつの家から通えるとこにした。内定もらったよ」

「…そっか」

「ずっと好きだった子が彼女になってくれたのに、離れたくないし」


そっか。そうなのか。

私も、一緒にいられるように就活頑張らないと。


今日は楽しむと決めて、気になっていることを口にした。


「…ずっとって?いつから?」

「さあ?幼稚園とか?気付いたときには好きだった」


自分のことを棚に上げてる自覚はある。

あるけど。


…ほんとは、ずっと聞けずに、心のどこかに引っ掛かってたのだ。


「彼女、いたよねぇ?」

「………あー、いや」

「だから、あんなキスうまかったんだよね?」

「………けど」

「ん?」

「…っ、お前がファーストキスだよ」


真っ赤になっているたっちゃん。


「…幼稚園の、頃…?」

「………夏海としか、したことないけど。」


今までは聞いてもらうばっかりで、たっちゃんのそんな照れた顔を見たことなんてなかった。可愛い。


「でも早坂さん…」

「…アイツはねぇ、俺が夏海を好きなの知ってて、しばらく放課後とか付き合ってやってたの」

「なんで?」

「………そうしないとお前にあることないこと言いそうだったから。」

「あることないこと?」

「…………振られるのわかってて知られたくなかったんだよ。お前のこと好きだって!」


まぁ知らないのはお前だけだったけどなと、そっぽを向いて歩く。


「だってたっちゃん、いつも通りだったもの」

「…まぁそうなんだけどさ」


たっちゃんと同じ学校に通っていた友達からウワサを聞いて、邪魔をしないよう距離を取ろうとしたのに。

たっちゃんは相変わらず私の家に遊びに来て一緒に宿題やってたし、一緒に出かけもした。


「ちょっとはヤキモチ妬くかと期待した俺がバカだった」


ちょっと拗ねたように唇を尖らせて、たっちゃんは私の手を握り直した。


「俺が好きなのは昔も今も夏海だけだよ」


真っ直ぐな言葉に、今度は私が赤くなった。

知らなかった。


たっちゃんが、こんな照れもせずに甘い言葉を言える人だったなんて。

…言われると、照れるくせに。


「何食べたい?リンゴ飴?」

「うん!あとヨーヨーつり。今年こそは自分で釣るの」

「夏海、下手だもんねー。大丈夫、釣れなくてもおじちゃんがくれるよ。」

「もー!自分は上手だからって!」


手を繋いでいる方と反対の手で、たっちゃんの肩を叩く。

たっちゃんはただ楽しそうに笑うばかり。


いつの間にか、私もつられて笑っていた。



ある年の夏祭り。







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