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片想いから始まるHappy ends  作者: 卯月はる
幼馴染に片想い
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好きな人に相談 -side NATSU-




普段あんなに頻繁にやりとりしてたのに、気まずくてメッセージを送れなかった。

たっちゃんからも、何もなし。


混乱と困惑と、心に穴が空いたような気持ちで、1週間を乗り切った。


「ナツ」


仕事を終えて帰宅すると、地元駅でふーくんばったり遭遇した。


「今帰り?バイト?」


なんでだろう。


「ううん、ゼミで、就活の情報収集してたの」

「おー、もうそんな時期か。あのナツがねぇ」


今までなら舞い上がってたのに、今はなんだか、気分は沈んだまま、かも。


私たちの横を自転車でシャーッと通り過ぎていくたっちゃん。


「拓夢ー!おーい!…気付かなかったのかな」


気付かなかったはずない。


たっくんはいつだってどこだって、何を着てたって、私を一番に見つけてくれる。


最寄り駅から歩いているところなんて、見落とす筈もない。


私がいたから、気付かないフリしたの?


「…って、ナツ?どうした?」


ポロポロ涙を零す私に、ふーくんは慌ててカバンを漁って、ティッシュを渡してくれた。


駅でもらったみたいなチラシ入りの。こういうときたっちゃんなら…


「ふ、ふーくん、…たし、どうしたらいいかなぁー?」

「あー…とりあえずここじゃ何だし、うち来いよ」


ふーくんは私を促して、ふーくんの家のリビングに通してくれた。

おじさんとおばさんはまだ帰って来ていないみたい。


「ほれ、飲みなよ。落ち着いた?」

「…うん、ありがとう」


ほかほかのココアを淹れてローテーブルに置くと、ふーくんは隣にどかっと腰掛けた。


「で?どうしたん?拓夢と喧嘩した?」

「喧嘩…っていうか…」

「んー、告白されたか」


ココアに手を伸ばそうとして、バッとふーくんの方を見た。

カップ、落とさなくてよかった。


「えっ!?なんで!!たっちゃんから聞いたの!?」

「いや?アイツから事あるごとに睨まれてたからさ」

「…お姉ちゃん取られたくなくて、とか」

「あの『見る目ねーな』はガチだろうな」


言ってるところが想像できてしまって、説得力がすごい。


「怒られたんだよな、拓夢に。ナツが告白してくれた直後くらいに」

「ええ!?」


そんなのは初耳だ。


あのとき、たっちゃん泣く私に黙って付き合ってくれて、その次の日曜日にも私が行きたいって言ったパンケーキにも連れ出してくれて。

ずっと一緒にいてくれた。


なのに、一言もそんなこと…


「気を持たせるようなことしてんじゃねぇってさ」

「あのたっちゃんが!?」

「そう、“あのたっちゃんが”よ。あんな怒ったとこ見たの小学生の頃以来だな」


兄姉に勝負こそ挑んでも、声も荒げず虎視眈々と機会を伺うタイプだ。


「拓夢じゃダメなの?」

「そっ、それ、ふーくんが言う!?」

「あー…うん、そうなんだけど」


ガシガシと頭を掻くふーくん。


「あんまオレがいろいろ言うのが無神経なのはわかってんだけどさ」

「そんな顔してなかったと思うよ、オレに振られたとき」

「へ?」

「どっちかってーと、言ってスッキリしたみたいな?」


ひどいな思うのに、なんでか憎めない。


「…たくさん泣いたんだよ?」

「うん…けど、数日後にはフツーに話してたしな」


フラれたこと、そんなに引き摺ってなかった?

でもそれは、ふーくんが普通に接してくれたからだと思ってた。


思い返すと、


『ほら、挨拶するんでしょ。今逃すとどんどん話しかけづらくなるよ』

『そうだけど…』

『ここで見ててあげるから』

『ん…無視とかされたら慰めてくれる?』

『いーよ。大丈夫だと思うけど?ほら行っちゃう』


家の玄関でマゴマゴしている私の背中を押してくれたことを思い出した。


たっちゃんがいたから…?


「あのときナツ何て言ったか覚えてる?」

「…あんまり…」

「『ふーくんともう話せなくなったらどうしようかと思った』って笑ってたんだよ」


言葉を失った。


覚えてない。言葉までは、覚えて、ない。


でも、確かに安心した記憶がある。


「あんとき拓夢に睨まれたのは怖かったけどなー」


どうしよう。


どうしようどうしようどうしよう。


「…私、ずっとふーくんが好きだったんだよ?」

「うん。ありがとな」

「たっちゃんも、知ってたんだよ?」

「うん」

「今更、どんな顔して…」


幸せな恋したい。


そうは言ったものの、そんな簡単に切り替えられるもの?…切り替えて、いいもの?


「でもさあ、今オレといても拓夢のことで頭いっぱいなんじゃねーの」

「…けど」


そうだ。全部そう。


どうしよう、どこで間違った?


「で、ナツは拓夢とどうしたいの?」


仲直りしたい。


無視しないでほしい。


一緒にいたい。


楽しい映画も美味しいものも共有したい。


たっちゃんがいないのは嫌。


でもそれは。


「ずっとふーくんが好きだったから、恋なのかわからない」


たっちゃんは今のままは嫌ということで。


「……キスは、イヤじゃなかったの」

「は?…あー、無理矢理キスされた?」

「え、えーと」


ストレートに聞かれて、ぽぽぽとほっぺが熱くなる。


「……アイツ……」


はーと頭を抱えるふーくん。


「あー、まー、さ?それ、思ったことオレじゃなくてアイツに直接言ってやんなよ。」

「うー…」


酷いこと言われたら慰めてあげるからと、今度はふーくんに言われてしまった。





◇◆◇





「ーーー髪、切っちゃったんだ」


たっちゃんの家を訪ねると、たっちゃんは言葉を失って、ゆっくり息を吐き出して、部屋に招き入れてくれた。


悲しそうな顔が気になったけど、…ちゃんと、話すんだ。







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