近所のお姉さんに告白 -side NATSU-
ゆめちゃんは、彼氏と別れたらしい。
どうするんだろう。
「やけ食いするから付き合って!」とメッセージが来たが、ふーくんが行くと聞いてお断りした。
ふーくんは、告白するのかな。
そしたら、……付き合うのかな。
付き合ってくれたら、嬉しいような、悲しいような。
自分で、ふーくんをゆめちゃんと2人にしておいて、わたしは家で悶々としていた。
ピンポーン
「なっ、なっちゃん!!!」
「ゆ、ゆめちゃん!?どうしたの」
急に押しかけて来た幼馴染のゆめちゃん。
それ自体は珍しいことじゃないけど、家のドアを開けると息切れして真っ青な顔をしていた。
「うっっ、ちょま…吐きそう」
「え!!???」
ダダダと、勝手知ったる我が家のトイレに駆け込んで行った。
呆然とするしかない。
「ご、ごめん…」
「だ、大丈夫なの…?」
「走ってきたから…」
「うん?」
「やけ食いしてて…」
「た、食べ過ぎ…?」
やけ食いして走ってリバース…とのことだった。
やることなすこと、想像の上を行く。
お茶を渡しながら、固まってしまった。
「そう!なっちゃん、あたし…風太に…その…」
渡したお茶を飲み干して、焦って口を開くユメちゃん。
それだけで、用件がわかってしまった。
「告白された?」
「はぇ!?」
知ってた。知ってたの。
とっくに。ずーーっと。
「実は、とっくに振られてるんだぁ」
「はあぁ!?」
ふーくんが高3、私が高1のときだ。
高校生になって、ちょっと追いつけたような気になって。
でも、驚いた後に迷いもなく告げられた。
「妹みたいにしか見れないんだって」
薄々、ふーくんがゆめちゃんのことを好きなのかもと気付いていたのに。
「ごめんね、ゆめちゃん。応援してくれてたのに黙ってて」
悪いと思いながらも、たくさん応援して協力してくれたゆめちゃんには言えなかった。
ふーくんが片想いしている、ゆめちゃんには。
「………」
沈黙が重くて、務めて明るい声を出した。
「髪をね、切ろうかと思うの。バッサリ。」
なのに、言葉を失って私を見上げるゆめちゃんに、私の方が居た堪れなくなる。
「就活だし、イメチェンもいいかなって」
「あーそっかぁ。あんなちっちゃかったなっちゃんも就活ねぇ…」
「ふふ、もうゆめちゃんより大きいよ」
「…みんなあたしより大きくなって見下しおって!」
プリプリ怒るゆめちゃんはやっぱりかわいい。
自分の長い、ふわふわの髪を梳いてみせる。
ふわふわで可愛いねって、昔ふーくんが一度だけ褒めてくれたから、その言葉を真に受けてバカみたいにずっと伸ばしている。
「幼稚園の頃からずっと長かったけど、ゆめちゃんみたいに短くしてもいいかなって。」
「切っちゃうの?いや可愛いと思うけどさ」
ちゃんと、話せてるかな?
ゆめちゃんには、私のことなんか気にしないでふーくんと幸せになって欲しい。
「…幸せになる恋、したいなって」
はわわわわと、混乱しているゆめちゃんを見て私も慌てる。
「っち、ちがうよ?わたし、ゆめちゃんが彼女なら、諦められると思ったの!」
「は、はああああぁ?」
「他の人は嫌だけど、ゆめちゃんなら、ふーくんを幸せにしてくれるでしょ」
ふーくんとゆめちゃんはお似合いだ。
アクティブでノリもいいし、一緒にいて楽しそうだし、何よりいろいろ言ってもお互い大切にしている。
「先輩とは別れたんだよね?」
「や、それは…そうだけど…」
正座して頭を下げる。
「お願いします!ゆめちゃん、ふーくんのこと真剣に考えてあげてください!!」
「ちょちょちょちょーーー!わかったわかったから顔上げてーー!」
悲鳴にも近いゆめちゃんの声が響き渡った。




