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片想いから始まるHappy ends  作者: 卯月はる
先輩に片想い
12/17

悪友とやけ食い -side YUME-




「ガパオライス、カルボナーラ温玉乗せてー、ハンバーグ、ステーキ、ポテトフライ…エビフライ追加で。あっ、わらび餅いいな。抹茶のパフェ…うーん、どっちもいっちゃえ!あとガトーショコラ」


ファミレスのタッチパネルを操作して、気になったものを追加しまくる。

目の前の風太はゲンナリしている。


「……食えんの?」

「余裕っしょ。アンタもなんか食べる?」

「…余ったらもらうわ」

「余んないよー」


自分が付き合うって言って付いて来たんだから、本気でやってほしいものだ。


一通り頼んで満足した。


「別れたんだ」

「そっかー」


こういうときはやけ食いに限る。

しくしく泣いて部屋に引き篭もるタイプではない。


普通はお酒とかになるんだろうけど、チューハイ1本で気持ち悪くなるし、楽しくない。


失恋したしバッサリ髪切るのもいいと思ったけど、これ以上切ったら坊主にするしかないから諦めた。


「まあ、不毛な恋も終わってよかったじゃん?…んが!」


失礼なことを言う口には、無言で唐揚げを突っ込んでやった。


「アッツ!!」


不毛かあ。わかってた。でも諦められなかっただけ。


洸平先輩の好きな人は、サラサラロングだったな。

穏やかに微笑んでいるタイプ。

真似しようとも思えないくらい、あたしとはかけ離れた人だった。


洸平先輩の好みがああなら、あたしは完全に射程範囲外だ。


「おま…ホントよく食うねぇ」


運ばれた食事からかっこんで行くと、ちょいちょいあたしの苦手なものから摘んで行く風太。


わかってんじゃん。


気心知れていて、思ったことを言えて楽だ。

一人で黙々とやけ食いより、コイツがいてよかったかも知れない。


「これからどうすんの?」

「んー、仕事も頑張りたいし、バスケの社会人サークル入ったし、そっち頑張りながらいい人探すかなー」


シメのパフェをつつきながら、膨らんだお腹が苦しい。


生クリームが重い。その下のゼリーはいけそうなんだけど。コーヒーでも持ってくるかとドリンクバーに立とうとしたところ。


「じゃ、オレと付き合おう」

「はーぁーー?」

「好きなんだ」


冗談と流せないくらい、見たことのないくらいの真剣な表情で。


同時に、幼馴染の可愛い可愛い妹分の顔が浮かんだ。


「…ごめん、アンタのことは好きだけど、そういう風には見れない。」





◇◆◇




慌てて話しに行った妹分は、


「実は、とっくに振られてるんだぁ」


と、寂しげに目を伏せた。


もうさ、もったいないよ。

こんな可愛くていい子に応えないなんて。

あたしより絶対こういう子がいい。


あー…コウちゃんも、こういう子の方が好みだったのかなぁ。


普段ならそんなあり得ないこと考えないんだけど、今だけは考えてしまった。


あたしのために、もう気にしていない風に話してくれているのはわかる。


挙げ句、


「ゆめちゃん、ふーくんのこと真剣に考えてあげてください!!」


と頭まで下げられてしまった。


困った。


そんな簡単な話じゃあない。

忘れられるなら、とっくにこんな恋なんて諦めてる。


トボトボと歩いていると、花火大会のチラシがデカデカと貼られているのが目に付いた。


何だかんだ言って毎年あたしから誘って、無理矢理連れ出したりもして、コウちゃんと花火を見ていた。

あたしにとっては記念日みたいなものだったけど、コウちゃんに取っては嫌な思い出だったのかも知れない。


「…もう、見に行くこともないかな」


思わず独りごちて、余計に寂しくなった。


自分で手を離したクセに。








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