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浩子が、修司を相手に仲間だった面々に話した。
「大場くんが以前に女性を批判する発言をしたでしょ。あれは、彼のお母さんが念頭にあるのは間違いないだろうけど、もう一つ大きく影響していることがあるんだって。大場くんは目撃したらしいの。小学生で一緒の学校に通っていたときに、結人さんが同級生の女子生徒、それも何人もから、本当に聞くに堪えない、本人を傷つけるひどい言葉を、これでもかというくらいに浴びせられていたのを。もちろん、だから女性蔑視をしていいわけではないけれど」
「……」
麻奈たちは返す言葉が見つからなかったのだった。
「恵ちゃん、本当にまた生徒会長をやらないでいいの?」
「うん。たとえ会長に戻れたとしても、もう活動する期間が短くて、ほとんど何もできずに終わるだろうし」
伊藤家のリビングで、真と恵が話している。
「だけど、リコールされて、会長を辞めてそのままっていうのが、一応残っちゃうわけだし……」
「やだ、真からそんな台詞を聞くなんて。経歴とか、周りからどう見られるとか、本当にもうどうでもいいんだよ」
「そっか」
真は安心した表情になった。
「もうすぐ受験だし、高校生になったら、人の眼を気にせずに、思う存分好きなことをするんだ。何をやろうかな? いろいろ候補はあるんだけど。もしかしたら、そこでまた生徒会長っていうのもなくはないよ」
恵はとても晴れやかな顔で言った。
「ふーん。好きなことするのはもちろん賛成」
真も笑顔で、そう口にした。
「ただ、苦手なことも頑張ったほうがいいと思うよ。この前作ってくれたクッキー、ちょっと苦かったからさ」
「えー、ほんと? なんでそのとき言ってくれなかったのよ?」
「だって、俺、すごくきょうだい思いだからさ」
真は、ペロッと舌を出して、おどけてみせたのだった。




