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第34話 異変

 僕の腕は『賢者』スキルの魔法であっという間に治った。

 回復魔法すごいな。

 即死しても30分くらいなら生き返らせられるらしい。


 取り調べ……。

 僕のイメージでは「かつ丼食うか?」の世界だけど、この世界にはかつ丼すらない。

 どうやって行うのか?

 一般的には、拷問らしい。

 痛めつけて、吐かせたいことを吐かせる。

 間違いや嘘でもいいらしい。


 でも、それは怖いので、鑑定を使おう。『鑑定』

『鑑定結果 ルーイ・アルドネ 34歳 女 【剣術 レベル6】(隠密 レベル8)』


 タッタラー


 今ので上がったらしい。

 上がったのは『鑑定』かな?

 これはうれしいな。

 やってみよう。『鑑定』

『鑑定結果 サルビア・セージ 14歳 女 【賢者 レベル63】』


「『賢者』は63なんだね」

 なんとなくつぶやいてみたが、恥ずかしかったらしく、セルビアはしゃがみこんでしまった。

「どうしたの?」

 たずねるも、返答はない。


「多分、レベルが低いから気にしてるんだと思います」

「そうなんだ。僕からしたら十分すごいんだけどね」

「そうなの?」

 サルビアが顔を上げた。


「そうだよ。僕は一番高いスキルで6だからね」

「そうなんだ。安心した。ありがと」

 ほっぺにチューされた。

 安心したらしい。

 毎日してほしいな。


「そうそう、この人はルーイ・アルドネって人で、『剣術』と『隠密』のスキルを持ってるよ。誰か知ってる?」

「知りませんね。他の人も調べませんか?」

「そうだな」

 僕はショコラを呼んで鑑定してもらった。

 ショコラの『鑑定』レベルは89だ。

 やはり専門家になるとレベルが高いらしい。

 サイトも『勇者』のレベルが上がりまくりだったしな。

 

「どいつもそんなに情報持ってないな。僕は拷問とか趣味じゃないから王城に連れて行こうか」

「そうですね。道具がないからここではできませんものね」

 道具があったらするの?

 ガーベラ、怖っ!


「ルーイさん、ちなみにあなたはいくらで雇われたのですか?」

「銀貨五枚だよ」

『ピュア』『催眠術』「そうですか、そんな安い金額だと、あなたは雇い主のことを話したくなりますよ」

「ああ、そうだね。話したくなってきたよ。私も詳しくは知らないけど、仮面を被った男だったよ。そうだねー、コイツくらいの身長だったよ」

 そういって、仲間の男を指した。

 身長は170cmくらいってところかな?

「他に特徴的なところとかなかった?」

「う~ん。右足を引きずって歩いていたかな」


 これくらいしか情報は手に入らなかった。

 しかし、明日あたり街中をうろついて右足を引きずっている170cmくらいの男を全員ぶん殴って『催眠術』にかければ解決するんじゃ?

 そんな簡単にはいかないか。


 仕方がないから、賊は縛り付けて空き部屋に放り込んだ。

 朝見に行くともぬけの殻だった。

 逃げられたな。

 まあ、いいけど。

 また来ても僕の両サイドには最強人類がいる。


「一応、王城に報告だけは、しておくね」

「そうですね。一緒にいきましょうか?」

「いや、いいよ。すぐに帰ってくるし」

「そうなのね。行ってらっしゃい」

 ガーベラとサルビアに見送られる。

 御者はアイリスだ。

 ショコラはいつもの仕事のために、一緒に連れて行く。


「昨日は大変でしたね。結局逃げられたんですよね?」

「そうなんだよ。せっかく楽しい夜だったのに、最後に邪魔されて気分が悪いよ」

「そうですね。その、右足を引きずっている男を見つけたら私も『鑑定』しておきます」

「そうだね。ケガなんだったら数日で治るだろうから、数日の間だけ気にしてくれる?」

「かしこまりました」


 馬車は王城の敷地内に入った。

 敷地内には様々な施設があるため、多くの人間が移動している。

 人数が多すぎるため、ショコラの『鑑定』も進んでいなかった。

 しかし、今日は多すぎる。

 人も。

 右足を引きずっている人も。


 どいつから『鑑定』するかショコラも困っている。

「ちょっと、多すぎるね」

「そうですね。何人かはしてみますが、わからなかったらあきらめますね」

 そう、パッと見ただけでも100人くらいは人がいて、その半分くらいが足を引きずっている。

 見た目がシュールすぎる。

 

 お父様は来客中らしいので、宰相が話を聞いてくれた。

「それは大変でしたね。お怪我はありませんでしたか?」

「ええ、剣聖と賢者が守ってくれましたよ」

「そうでしたか。その二人がいるなら安全ですね」

「それで、さっき言ったように右足を引きずっている人間が怪しいらしいんですけど、心当たりありますか?」

「それは私もですね」

 と、言いながら、宰相は足を引きずって歩いて見せた。


「ケガですか?」

「いいえ、昨日からちょっと調子がわるくて、歩きにくいのですよ」

「一度にこれだけの人数の調子が悪くなるのはおかしいですよね?」

「そうなんです。その関係で陛下も医者と対応を考えておられます」

「王城の中だけなんですか? 城下町はあまり異変がなさそうでしたけど?」

「そうですね。城内だけです」


「わかりました。一応の報告はしておきましたので、賊の対応はお任せします」

「かしこまりました。陛下にも同様にお伝えしておきます」

「はい。よろしくお願いします」

 その後、馬車で屋敷へ戻り、ガーベラを実家へ送り届けた。


「なんだか気持ちの悪い状態でしたね」

アイリスが青い髪を揺らしながら話かけてくる。

「そうだね。城内は異常だったもんね」

「何か原因があるのでしょうか?」

「うーん、城内だけだから、食べ物か飲み物か空気なら共有してるね」


「毒ですか?」

「その可能性が高いから医者を呼んだんだと思うよ」

「アーサー様って賢い人だったんですね」

 失礼なやつだな。

 伊達に40年近く生きてないよ?

「まあ、ただの思いつきだよ」

 大人対応をしておいた。


「屋敷で取り扱う食事も気を付けた方がいいかもしれないね」

「そうですね。ネズミか何かに毒見をさせます」

「ネズミも毒を持ってるかもしれないから気を付けてね」

「そうなんですか?知りませんでした。やはり、アーサー様は賢いです」

 ああ、そうか、黒死病のこととか知らないんだろうな。

 幸い、この世界の下水施設は魔法的な何かでなんとかなってるみたいだけど。

 実際、良く知らないんだよな。

 勉強キライだし。


 それにしても、アイリスはかわいいな。

 昨日の裸が何度も思いだされるよ。

 いつか抱きたいな。

 あ、結婚の話本当に進めるなら抱ける日も来るわけだ。

 よし、がんばろう。


 最近命を狙われる機会が多くなってきたな。

 賢者がいる限り、大けがしても治るけど、痛いのはいやだな。

 こちらから尻尾をつかんでやりたいな。

 かといって、僕が動き回るのもめんどくさいし……。


 そうだ。


 暗躍とか得意そうなラムダン子爵に相談ししてみよう!

「アイリス、ごめん、道を変えて、ラムダン子爵の家に向かってくれる?」

「かしこまりました」

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