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回復魔導士は私だけ  作者: たまごがわ
第7章
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第81話 最後の魔王討伐

 それから特にこれといった出来事が起こることなく、再び魔王討伐作戦の日になった。

 だが、今までとは大きく違う。

 剣士はイウスティオからスグリに変わり、最強の七人全員がこの世界の状況を知っている。

 魔王の居城の、大きな扉の前にて、スグリは静かに言う。

「……行こう」


 扉の向こうの、とても天井の高い部屋で、彼女は今まで通りに待っていた。

「よくぞ来たな。異邦の強者たちよ」

 十歳になるかぐらいの幼い見た目も、見た目に合った高い声も何も変わらない。

「さあ! この世界を滅ぼすのを止めたくば、余を倒してみせよ!」

 すみれたちは今までと同じ文言に安堵しつつ、魔王との戦いを始めた。




 相変わらず、序盤は魔王のHPの減りが鈍い。だがそれも、想定内だ。

「そなたたちも、もう分かっているだろう。そなたたちの攻撃では、余の命には届かない」

 もう少し。もう少しで、魔王のHPは一気に減る。

「これでもまだ、力の差を理解していないのか―――――」

 魔王がそう言った直後、彼女がよろめく。

「今だ!」

 スグリの声と共に、彼らは魔王への攻撃を強める。魔王が苦しむ時間を、出来るだけ短くする為に。

「あ―――――」

 魔王はその場に倒れた。HPのゲージはゼロを示す真っ白な状態になっていた。当然ながら、喜ぶ者はいない。喜ぶのは、この後のことが成功してからだ。

 補助魔法をかけた後は離れたところで、戦いを見守っていたすみれが、千尋たちのもとに駆け寄る。

「すみれちゃん」

 千尋に呼ばれ、すみれは頷く。

 ここからが本番だ。

 すみれは一度深呼吸をすると、そっと魔王の心臓辺りに両手で触れる。そして呪文を唱える。

蘇生(レスシタティオ)

 その呪文と共に、魔王の体が数秒淡い光に包まれて、やがて消える。すると彼女の肌に血色が戻り、心臓の音と呼吸の音が聞こえてきた。

 そして魔王は、ゆっくりと瞼を開けた。

 起き上がり、信じられないような表情で、己の手のひらを見つめて。

「―――――余は生きているのか?」

「はい。私が生き返らせました」

 すみれが答えると、魔王はすみれを見て、それから順にスグリたちを見つめる。

「そうか…………」

 すみれたちはその後の魔王の言葉を待つ。

 操られているようには見えない。

「自由に体が動かせる。今なら、きちんと話が出来そうだ」

 穏やかな様子の魔王のもとに、城の中に身を隠していたフィーデスたちも駆け寄って来る。

「魔王さま……!」

 魔王を見つめるフィーデスたちの瞳には、薄っすらと涙が浮かんでいた。

「そなたたちも来ていたのか。こうやって話すのは久しいな」

 フィーデスたちを見る魔王の表情は、まるで自分の子どもを見るような温かさに満ちている。

「もう少し世間話でもしたいところだが、時が巻き戻るまで猶予はさほど無いだろう。心して聞いてほしい。この世界を元に戻す方法について、を」

 魔王の表情が真剣なものに変わり、すみれたちは頷く。

「最も大事なことを最初に言うぞ。“人間で最も勇気ある者”と、“世界を救う筆頭” は確かに同じ存在を指している。だがそれは、剣士を指してはいない」

「え?」

 魔王の予想外の言葉に、すみれたちは瞠目する。

 そして魔王は、すみれを指さす。

「そなただ。いや、正しくは救済の魔法を修めた回復魔導士だが」

 救済の魔法。初めて聞くが、おそらくその名の通り、世界を救済する魔法なのだろう。だが、まさか自分が世界を救う可能性があるとは、予想していなかったが。

「……その救済の魔法を使えるようにするには、どうすればいいのですか?」

 尋ねるすみれに、魔王は不敵な笑みを浮かべる。

「そなたたちがずっとやってきたことだ。レベルを上げろ(ちからをつけろ)。さすれば、救済の魔法を扱えるようになるだろう」




次話は11月24日に投稿予定です。

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