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回復魔導士は私だけ  作者: たまごがわ
第7章
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第75話 猛と正吾

 そしてすみれと千尋、タケルは白の遺跡を訪れていた。

 隠し部屋の中央にある水晶に触れて、タケルは前回のループまでの記憶を取り戻した。

「…………良かった。正吾(しょうご)は生きているのね」

 タケルは心底安心したように穏やかな表情を見せた。

「あの、タケルさん。タケルさんとスグリさんのご関係って……」

 おずおずと尋ねるすみれに、タケルは穏やかな笑みを浮かべたまま答える。

「そうね。簡単に言えば、親友ってところかしら」




 タケルとスグリが出会ったのは、中学生の時だ。

 タケルは料理、裁縫が上手いのと、周囲への細やかな気配りから、女子から人気が高く、スグリは運動が得意なことと、ユーモアセンスがあることから、男子から人気が高かった。当時はまだ彼らは、挨拶をする程度の仲でしかなかった。


 その関係が大きく変わったのは、中学二年生の春だ。

 女子から人気があったタケルは、一定数の男子から嫌われていた。


 ―――あいつの喋り方、本当にキモいよな

 ―――ああいう喋り方しかできないなら、本当は障がい者なんじゃね?

 ―――なんでこっちのクラスにいるんだろうなぁ、早く特別学級行ってくれねぇかな


 タケルに聞こえるように、わざと大きな声で話す男子たちに、まず最初に声を上げたのはスグリだった。

「話し方だけで芹澤(せりさわ)の全てを否定するとか、クソダサいな」

 スグリの言葉に教室内は一瞬静まり返った。その後すぐにタケルの悪口を言った男子たちはこのクラスのほとんどの生徒たちに罵声を浴びせられ、クラスでの居場所を失った。女子から人気があるタケルの悪口を言い、男子から人気があったスグリを怒らせたのだ。こうなるのは必然だっただろう。

 怒声の響く教室の中で、タケルはスグリに近づいて微笑む。

「村主君、ありがとうね」

 お礼を言われたスグリは、タケルから顔を逸らす。僅かに見える頬は少し赤い。

「あいつらが気に食わなかったから言っただけだよ」

 それが、初めて彼らがまともに話した時だった。


 その日を境に、タケルとスグリは仲良くなった。

 趣味が合うわけでも、好き嫌いが同じわけでもない。だが、一緒にいると楽しくて、半年経つ頃には親友と呼べる間柄になっていた。


 中学を卒業し、その後進学した高校も大学も違ったが、二人はほぼ毎日連絡を取り合った。入学と卒業のタイミングでは必ず二人で食事をした。


 大学の卒業式後、タケルとスグリは、行きつけのファミレスでささやかな卒業パーティーをしていた。

 注文した料理が来て、二人はソフトドリンクの入ったグラスで乾杯した。

「大学の卒業と就職先の内定おめでとう!」

「俺もお前も来月から社会人かぁ。なんだか想像つかないな」

 そんな会話をしながら、彼らは少しずつ食事を食べ進めていった。


 注文した料理を半分ほど食べたところで、スグリがタケルに切り出す。

「なあ。もし良かったら、(たける)も「リレヴァーメン」やらないか?」

「ああ。アナタが前に電話で言っていたゲーム?」

 数日前、スグリはタケルに電話で「リレヴァーメン」のことを話していた。

「そうそう。結構面白くてさ、二人でもプレイできるらしいから、お前と一緒にやれたら楽しそうだなって」

 タケルは少し考えると。

「良いわよ。ひとりきりだとやる気が出ないけど、アナタがいるならきっと楽しいでしょうし」

 それを聞いたスグリは顔をぱあっと輝かせる。

「やった! じゃあ、お前のタイミングで入れてくれ。分からないところがあったら、教えるから!」


 その日からタケルは「リレヴァーメン」を始めた。プレイのほとんどをスグリと共にしていた彼は、やがて“最強の七人”と呼ばれるプレイヤーの中の一人となる。



次話は9月1日に投稿予定です。

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