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回復魔導士は私だけ  作者: たまごがわ
第5章
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第64話 大浴場へ

 忘れじの塔を出て、境界の森を進む中、すみれたちはほぼ無言だった。気まずいわけではないが、何となく話す気持ちになれなくて、自然と誰も話さない状態になったのだ。


 人界が近くなり、人の気配を感じるようになったところで、すみれは千尋に声をかける。

「先輩。そろそろ、下ろしてくれませんか」

 すみれの言葉に、千尋は一瞬名残惜しそうに、すみれを抱き上げる腕に少し力をこめるが、すぐにすみれを下ろした。

 地面に足をつけたすみれは、特にふらつく様子もなく、いつも通りに歩き出す。



 やがて、すみれたちがヤマトの集落に着くと、複数のプレイヤーたちが駆け寄って来る。

「スミレさん!」

 すみれの名を呼んだのは、あの魔族に一緒に捕らえられたプレイヤーたちだ。

 彼らが全員、無事なことを確認して、すみれは安堵する。

 どうやらあの魔族は、約束を守ってくれたらしい。

 プレイヤーたちと少し話をした後、彼らは立ち去ったが、まだこの場に留まっている女性のプレイヤーがいた。

「帰ってきて早々、申し訳ないのですが、魔族に捕まっていた方たちの回復をお願いできますか?」

 そうだ。この事件の発端は、何人かプレイヤーが行方不明になっているという話から始まったのだ。

「分かりました。すぐに行きます」

 そう言ってすみれが歩き出そうとした時、千尋が声をかける。

「本当に大丈夫? 休んでからの方がいいんじゃ……」

 心配そうな千尋に、すみれは安心させるように微笑む。

「大丈夫です。必要な人の回復が終わったら、すぐに休みますから」

 そしてすみれは、そのプレイヤーについて行った。




 魔族に捕まっていたプレイヤーたちの回復が終わると、すみれは怪我人用の宿舎前で待っていたアマリリスに引っ張られて、プレイヤー共用の大浴場に連れてこられた。

「新しいワンピースは、仕立て屋さんにもう作ってもらっているから」

 そう言ってアマリリスはすみれにワンピースを渡す。

「さ、風呂にでも入りながら、女同士、親交を深めようよ」

 脱衣場に来て装備を脱ぎだすアマリリスを見て、すみれも慌てて脱ぎ始めた。


 装備を脱ぎながら、アマリリスはすみれの体を見る。

 装備を脱いだすみれの体には、どこにも傷はない。血の痕が残っているだけだ。だが、あれほど血を流すほどの攻撃を受けた彼女の肉体は、あまりにも華奢(きゃしゃ)だ。

「アマリリスさん?」

 不思議そうな顔をするすみれに、アマリリスははっとする。

「ごめんごめん! じゃ、行こうか」

 そしてアマリリスはすみれの手を引いて、大浴場の中に入った。



次話は3月17日に投稿予定です。

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