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回復魔導士は私だけ  作者: たまごがわ
第5章
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第60話 忘れじの塔

 最強の七人のもとに、攻略サイト班の一人が慌てて来たのは、彼らが集まって三十分ほど経過した時だった。

「居場所が分かったのか!」

「はい! スミレさんが捕まっているのは、おそらくこの場所です!」

 スグリの問いに頷き、攻略サイト班はテーブルの上に地図を広げて、印の箇所を指さす。

「ここは……“忘れじの塔”か」

 その場所の名を聞いて、その場の誰もが複雑な表情を浮かべている。

 「忘れじの塔」。「リレヴァーメン」の序盤ではダンジョン扱いされていない、何者かがいた痕跡だけが残る場所だ。だが、ゲームを進めていき、プレイヤーのレベルが60を超えた後に訪れると、恐るべきダンジョンに変貌している。

 強力な攻撃をしてくる魔族が複数配置されている、攻略推奨レベル70以上の高難度ダンジョンで、攻略には回復魔導士が確実に必要になる。

 その理由として、その塔の中では常時多くのデバフが付与されてしまうからだ。解除しきれないデバフを超える量のバフを与えられるのは、補助系統に特化した回復魔導士だけなのだ。

 最強の七人でゲーム内の「忘れじの塔」を攻略した時も、やはり回復魔導士であるすみれが必要不可欠だった。今は、この世界では多くのデバフが付与されないことを祈るのみだ。

 そんな中、千尋は一人考える。

 即死魔法をすみれが使うことができれば、彼女を助けるのは比較的簡単になるだろう。だが、即死魔法のデメリットによって一時的ではあるが、すみれの半不死性は失われてしまう。そこをスグリが狙って、彼女を殺す可能性が高い。それはすみれも分かっているから、使わないのだ。

「今日はもう遅い。準備をした後、明日の早朝に出発しよう」

 スグリの提案に千尋たちは頷いた。



 深夜になったからか、魔族たちはすみれの囚われた牢獄から立ち去っていった。

 一人になったすみれは、人知れず深く息を吐き出す。

「あ……」

 ふと、自分が着ている装備に目が行く。

 拷問をするのに邪魔だからと、ローブは牢獄の隅に無造作に置かれていて、今は少し灰色が混じったワンピースだけ身に纏っている。

 それも今は、元の色が分からないほど、己の血で赤く染まっていて、ぼろ雑巾のようになっている。

 そして、すみれはここから見えない、今は静かな別の牢獄に目を向ける。

「……みんな、集落に帰れたかな」

 あの魔族は、自分以外の人間を解放する、と言った。

 正直、魔族の言葉をどこまで信用できるか分からないが、今は信じるしかないだろう。


 やがてすみれは、静かに眠りに落ちていった。



次話は1月20日に投稿予定です。

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