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回復魔導士は私だけ  作者: たまごがわ
第4章
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第45話 魔王討伐派

 千尋が初めて魔王の分身と会った三日後、すみれは予定していた通り、魔王討伐派の魔族に会いに魔界へ向かっていた。

 道中で魔物や魔王擁護派の魔族に遭遇することもなく、魔界に出ると、境界の森に沿って北に進んでいく。

 すみれは歩きながら辺りを見回す。

 夢の中でヴィオラチュームに教えてもらった場所は、この近くのはずだ。そろそろ集落が見えてきてもおかしくないのだが。

 その時、背後から冷たく硬いものを首筋に押し当てられて、すみれは足を止める。

 魔王擁護派の魔族か。それとも、スグリの仲間か。もしくは。

 心臓が早鐘を打っているのを感じながら、すみれは背後にいる者の言葉を待つ。

「―――人間がここに何をしに来た。死にたくなければ、このまま立ち去れ」

 冷たく鋭い声音に、すみれはすぐに声を上げた。

「私は回復魔導士です! あなたたちに会いに来ました」

 すみれの言葉に、背後にいる者が明らかに動揺しているのが感じられた。

 首筋に押し当てられていたものが離れて、すみれは後ろを振り返る。そこには、すみれより頭二つ分背の高い男が立っていた。鎖骨までの長さの灰がかった白の髪と、切れ長の朱色の瞳の男だ。黒いローブを身に纏い、フードも被っているが、その間から魔族の証である長い耳が見えた。

 魔族の男は、すみれを鋭い眼差しで見下ろしながら、低い声音で言う。

「お前が本当に回復魔導士だと言うのなら、俺の仲間を生き返らせてみせろ」

 すみれはすぐに頷く。

「分かりました」



 すみれは魔族の男についてくるように促され、自分の背丈の何倍もある大きな樹木の前まで連れて来られる。魔族の男は樹木の幹に手を当てる。すると、赤い魔法陣が現れて、光り輝く。直後、すみれと魔族の男は、樹木の中と思われる場所にいた。

 どうやら、魔王の分身と同じように、外からは分からない場所に隠れ家を作っているらしい。

 思ったよりも広い部屋を進むと、布の上に、男と同じように黒いローブを身に纏った三人の魔族が横たえられていた。彼らの頬を軽く触れると、三人とも冷たかった。

「この方たちは、いつ亡くなったんですか?」

 すみれが尋ねると、魔族の男は苦しげに答える。

「……昨日だ」

 魔族の男の言葉に、すみれは心の中で安堵する。

 良かった。それならば、蘇生魔法で生き返らせることができる。

 すみれはまず、三人の魔族のうちの一人の体の心臓あたりに両手を触れる。そして呪文を唱えた。

蘇生(レスシタティオ)

 その呪文と共に、魔族の体が数秒淡い光に包まれて、やがて消える。

 その時、魔族の肌に血色が戻り、心臓の音と呼吸の音が聞こえてきた。

 やがて魔族はゆっくりと瞼を開けた。

「……あれ? 俺、生きているのか?」

 それを見た瞬間、魔族の男が嬉しさから、その魔族の体を抱きしめる。

 そんな様子を微笑ましく眺めた後、すみれはすぐに横たわったままの魔族に視線を戻す。

「他の二人もすぐに生き返らせますね」

 そう言ってすみれは、残りの二人の魔族も、蘇生魔法で生き返らせた。



次話は6月24日に投稿予定です。

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