表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
回復魔導士は私だけ  作者: たまごがわ
第3章
41/89

第39話 「イウスティオ」

 魔王がまだ、この世界に異世界の者たちを召喚するずっと前のこと。

 魔王が、世界を滅ぼすという宣言をした後、世界の滅びを防ぐ為、魔王討伐派から、魔王と戦う一際強い者たちが七人選ばれた。

 回復魔導士のヴィオラチューム。

 槍使いのハスタ。

 弓使いのアルクス。

 攻撃魔導士のベネフィカスと、メジェカ。

 召喚士のボカーテ。

 そして、人王の息子である剣士のイウスティオ。



 そこですみれは一度、水晶から手を離してしまった。その顔には、驚きと困惑の色が浮かんでいる。

 ヴィオラチュームは、すみれの行動を予想していたのか、とくに驚いてはいない。

 剣士のイウスティオは、スグリと顔が酷似していた。他人の空似と片付けられないほど、まるで名前を変えただけだと思うほどそっくりだった。

 すみれが確認するようにヴィオラチュームの方を見ると、ヴィオラチュームは頷く。

「イウスティオさんと、あなたのパーティにいるスグリさんは、おそらく同一人物です」

 ヴィオラチュームの言葉は、すみれの予想通りだった。だが、信じられない事実に、すみれの体が震える。

 これが嘘だったなら、どれ程良かっただろう。だが、水晶が見せる過去に嘘がないことは、分かっていた。

 きっとこれから、信じたくないスグリ(イウスティオ)の過去を見ることになる。それが怖い。怖くて仕方ない。それでも。それを知らなければ、魔王を救えないし、自分たちは元の世界に戻れないだろう。

 すみれは何度か深呼吸をする。速くなっていた鼓動が、少しずつ落ち着いてくる。ここは現実ではなく、夢の中だから鼓動というのも不思議な感じだが。

 そしてすみれは、再び水晶に手を触れた。



 魔王討伐の為に集まった七人は、確実に魔王を倒せるように、綿密な作戦を立てた。

 魔王の居城を守っている、魔王側の者たちを倒す役割の兵士たちとも話し合いを重ねながら、七人は魔王討伐作戦を開始した。

 激しい戦いの中、七人は魔王を倒すことができた。

 だが、魔王討伐を祝して行われた宴の翌朝、世界の時は一年前に巻き戻っていた。


 世界の時が巻き戻っていることを、ヴィオラチュームはすぐに気づいた。だが、他の者たちが気づいていないことを察し、しばらく様子を見ることにした。

 そのうち、他の皆もこのことに気づくだろうと。


 三度目の魔王討伐を終えて、再び世界の時が巻き戻っても、それに気づいている様子の者は他にいなかった。

 さすがにこのままではまずいと判断したヴィオラチュームは、パーティのリーダーであるイウスティオに、相談することにした。


「……あの、イウスティオさん。ちょっといいですか」

 夕食後、ヴィオラチュームは、一人でいたイウスティオに声をかけた。そして、一応他の人に聞かれないように、人気(ひとけ)のない場所に向かう。

「それで、オレに話したいことって何かな?」

 イウスティオに尋ねられ、ヴィオラチュームは話し始めた。

「信じられないかもしれないのですが……」



 ヴィオラチュームが話し終えると、イウスティオはどこか安堵したような顔をして言った。

「そうか。君もこの世界の異変に気づいていたんだね」

 予想外の言葉に、ヴィオラチュームは驚く。それと共に嬉しくなった。

 まさか、自分以外にも気づいている人がいるなんて思わなかったから。

「このままじゃ、戦いはずっと終わらない。だから、原因を突き止めて、元の世界に戻そう」

「……はい!」

 力強いイウスティオの言葉に、ヴィオラチュームも大きく頷いた。



次話は、4月1日に投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ