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回復魔導士は私だけ  作者: たまごがわ
第2章
35/89

第33話 デメリット

 罪のない人たちと、信者たちの亡骸が転がる牢獄で、すみれは即死魔法のデメリットを受けていた。ゲームではクエストクリアになった為、デメリットは全く関係なかったのだが、今は違う。もしも後から、この教会の外から誰かが来たら、自分は確実に殺されるだろう。

 即死魔法によって逆に自分の命が危機に(おちい)ってしまったのを感じながらも、すみれは逃げることが出来ずにいた。

 その時、誰かの足音がこちらに向かっているのが聞こえて、すみれは呼吸が早くなるのを感じた。もしかしたら、ナオが死なずに戻ってきたのかもしれない。

 足音がどんどん近づいてくるのを聞くことしかできずにいると、すみれの耳に聞きたかった声が入り込んできた。

「―――すみれちゃん!?」

 千尋だ。

 千尋は、すみれがいる牢獄の扉の鍵を壊して、すみれのもとに駆け寄る。見たことがないほど白くなったHPゲージと赤く染まった服に顔を青くしながらも、千尋はすみれの手首と足首の縄を外した。

 そして自分が纏っているマントを外し、すみれの肩にかけて、彼女に尋ねる。

「……一体何があったの?」

 千尋がいたパーティは、教会の近くに潜み、侵入する機会をうかがっていた。しばらく待っていた時突然、教会の周囲にいた兵士たちが倒れたのだ。彼らのHPゲージが真っ白になっているのを確認すると、千尋たちは他のパーティと共に、教会に侵入した。

 教会の中にいる信者たちと戦うかと思っていたが、外にいた兵士と同様に信者たちは全員が倒れていて、既に死んでいることを確認したのだ。そして、姿の見えない教祖や幹部を探していた時、牢獄で囚われていたすみれを見つけたのだ。


 千尋の話を聞き、すみれは他の信者たちも即死魔法の範囲内だと知った。不安そうな顔をしている千尋に、すみれは安心させるように微笑む。だが、その笑顔はまだぎこちない。

「……即死魔法を使ったデメリットです。もう少しで解除されると思います」

 すみれの言った通り、すぐに彼女のHPは回復し始めて、間もなくHPゲージは満タンになった。

 千尋はそれを見て安心しつつも、複雑な表情をする。

 即死魔法。前にすみれから一度だけ聞いたことがある。あまりにも強すぎたから、使わなくなったという。

 そんな即死魔法を使うほど、彼女は追い詰められていたのか。

 すみれが「モーサ・アウェクリアス」に狙われる可能性は高いと分かっていたはずなのに、すぐに回復するから大丈夫だと、どこかで油断していた。

 ちゃんと気にかけていれば、彼女に痛い思いをさせずに済んだかもしれないのに。

 拳を握りしめている千尋に、すみれは彼が考えていることを察して、あえて話を変える。

「あの、先輩。この人たちを……」

 そう言ってすみれは牢獄の扉の近くで折り重なって倒れている、女性たちの方を見る。

「教会の……幹部に殺された方たちです。なので、早く生き返らせたくて」

 すみれの言葉に千尋ははっとして、一度深呼吸をすると、頷いた。

「うん。僕たちでまずは安全な場所に運ぶから、その後は頼めるかな」

「はい、もちろんです!」

 千尋の顔に少し笑みが戻ったことに、すみれは安心しつつ言葉を返した。


次話は1月8日に投稿予定です。

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