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回復魔導士は私だけ  作者: たまごがわ
第0章
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第3話 「リレヴァーメン」

 そのゲームアプリの名は「リレヴァーメン」。俗に言うロールプレイングゲームだ。

 あらすじとしては、一年後に世界を滅ぼそうとしている魔王を止める為、主人公が冒険に出るという、ありがちな設定である。

 だが、ある日そのゲームが有名なゲーム実況者によって紹介され、瞬く間に人気になった。

 ゲーム内の世界やモンスターなどのグラフィックの良さ、細部までこだわれるキャラクターメイク、ログインすればスマートフォンやタブレット端末、パソコン全てでできること、そしてグラフィックが良いのに、使用するストレージが500MB(メガバイト)以下で収まることが人気に火をつけた。

 一人でのプレイはもちろん、二人から最大八人までのパーティを組んでプレイすることも可能で、一人の場合、他のパーティの助っ人として参加することもできる。

 完全な無課金制であり、ガチャの概念はなく、武器・防具等はバトルでのドロップ、あるいは作成するのみなので、家庭用のゲームに近い感覚と言えるだろう。

 プレイヤーの最大レベルは100で能力数値は役職や武器、防具で変化するのだが、レベル上げは、敵モンスターとのバトル勝利、NPCからの依頼クエスト達成によって経験値を得られるという仕組みだ。

 そのゲームの公式サイトも存在せず、それどころか会社ではなく個人で制作したゲームであることにプレイヤーはとても驚いていて、中には有名なゲーム会社の開発者が複数集まって作られたのではないかと噂されているほどだ。


 そんなゲーム内での役職を決める為、絵画コンクールに応募する絵をすみれは必死に描いていた。

 自分がそのゲームをやりたかったというのもあるが、千尋と一緒にやれると考えると、いつもよりも頑張れる気がするのだ。

 普段は悩んでいることも、あまり気にならなくなる。そんな今までより良い環境で絵を描けたから、自信はあったのだ。

 だが。


 絵画コンクールで、すみれだけが何の賞も取れなかった。

 賞を取る確率を上げる為に、六人とも別のコンクールに応募した。だから何かしらの賞を取れる可能性はあったのだ。

 部長の大志が最優秀賞、千尋と絵美里が優秀賞、麗美が佳作、亜里沙が入賞を取った。参加すると言った中で、すみれだけが賞を取れなかったのだ。

 確かに世の中百パーセントのことなど存在しない。それでも、いつもより自信があったすみれにとっては、ショックなことだった。

 そしてすみれは心の中で焦っていた。

 あのゲームは二人からパーティを組める。もしかしたら自分はパーティに入る資格も無くなってしまったかもしれない。

 千尋とゲームを出来ないかもしれないと不安になっていると、大志がすみれに向かって言った。

「賞を取れなかったのは非常に残念だが、せっかく参加してくれたからな。ゲームをさせないのはさすがにかわいそうだ。だから、お前がゲームでやる役職は俺が決めさせてもらう」

「え……?」

 大志の言葉に、すみれは瞠目した。


次話は10月17日に投稿する予定です。

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