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回復魔導士は私だけ  作者: たまごがわ
第2章
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第26話 別の行動を

 気持ちを落ち着かせたところで、すみれは魔王に尋ねる。

「それで、世界が繰り返すのを止めるには、具体的にどうすればいいんですか?」

 これだけ魔王はやってきたのだから、何か方法も分かっているのではないだろうか。

「分からぬ」

「え?」

 予想外の返事にすみれは戸惑う。

「こうなったそもそもの原因がまだ分からぬのだ。……口惜しいがな」

 魔王は言葉に歯がゆさを滲ませる。

「世界が繰り返していることに気づいた者に初めて会って、舞い上がってしまっていたな。期待させてすまない」

 頭を下げる魔王にすみれは首を横に振る。

「いえ、こちらこそ……」

 互いに謝った後、魔王が考える。

「だが、我らがここで別の動きをし始めれば、繰り返す世界に何か変化が起きるかもしれない」

 魔王の言葉にすみれは頷く。

 そうだ。今の前の時はほとんど同じように過ごした。だから今度はそれを変える。

「……と言っても、余の本体は自由に動けぬからな。そなたに頼むしかないが」

 申し訳なさそうな魔王にすみれは微笑む。

「任せてください、とまでは言えませんが、微力ながら頑張ってみます」


 遺跡から出たところで、魔王は立ち止まり、すみれに言う。

「このことはまだ、他の者には秘密にしておいてほしい。余はまだそなたしか信頼していないからな」

「分かりました」

 そこですみれと魔王は別れた。


 ヤマトの集落に一人戻りながら、すみれは考えていた。

「そうは言っても、別の行動って、何をすればいいんだろ……」

 レベル上げや最終的な魔王討伐は、他のプレイヤーなどに秘密にする為には、結局やらなければならない。そこは着実にこなしつつ、何かしらやるということになるが、やはり魔王の分身と自分だけでは、できることは少ない。

 どうしようかと悩んでいると、前方から誰かがこちらに向かって駆けてくる足音が聞こえてきた。見知った金髪碧眼の青年の姿に、すみれは首を傾げる。

「スグリさん? どうしたんですか?」

 普段通りの様子のすみれに、スグリはほっとしたように軽く息を吐き出す。そして答える。

「依頼を受けたから、スミレさんも誘おうかと思ってたんだけど、集落のどこにもいなかったから、少し心配してたんだ」

 すみれは心の中で、はっとする。

 そういえば、今までは魔王といた時間は、スグリ達のパーティと依頼をこなしていたのだった。

「すみません……ヤマトの人から依頼を受けたので、それで出かけてました」

 申し訳なさそうにするすみれに、スグリは気にしていないと言うように返す。

「いや、前もって言ってなかったからね。全然大丈夫だよ」

 そう言われ、すみれはひとまずほっとする。

「ところで、明日は依頼に誘っても大丈夫かな?」

 スグリに尋ねられ、すみれはすぐに頷く。

「はい、大丈夫です」

「ありがとう。じゃあ、また明日!」

 そう言ってスグリは集落の雑踏の中に消えていった。

 一人になったすみれは小さくため息をつく。

「……いくら時間が戻ると言っても、あまり人に心配はかけたくないな」

 人に心配をかけず、別の行動をする。なかなかの難題なのではと、すみれは再び悩み始めた。


次話は9月18日に投稿予定です。

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