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回復魔導士は私だけ  作者: たまごがわ
第1章
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第15話 最強の七人

 そして話し合いが行われるまでの十日間、すみれと千尋は魔物の討伐や、ヤマトの住人の依頼を受けたりした。その間は、特に大きな事件は起きなかった。


 そして十日が経ち、すみれと千尋、スグリ、タケルはヤマトの首都にある、人王が暮らす城に来ていた。

 既に話をしてある門番に城の中に通してもらい、話し合いをする広間の前まで案内してもらう。広間につながる扉を開けると、部屋の中心には長いテーブルがあり、そこに均一に並べられた椅子に三人が既に着席していた。

 おそらく彼女達が、“最強の七人”の残りの三人だ。

 すみれたちに気づいた三人が、それぞれ会釈をしたので、すみれたちも会釈をする。

 すみれたちが席についたところで、三人のうちの四十代くらいの男性が片手を軽く上げて、その場にいる全員に声をかける。

「まだ話し合いの時間まで少しあるし、互いに自己紹介でもしておくかい?」

 男性の言葉にすみれたちは頷く。ゲーム内では会ったことはあるが、こうして“最強の七人”が全員そろって顔を合わせるのは初めてだ。ならば、これからの為にも、基本的なことは知っておくべきだろう。

 すみれたちの反応に男性は微笑を浮かべて、続ける。

「まずは言いだしっぺの俺からだな。俺はリュウ。弓使いだ」

 白髪交じりの濃い灰色の短髪に、優しさの滲む黒い瞳からは、人生の経験者としての強さを感じられた。

 リュウの次には、二十代後半くらいの、背中まである赤毛の長髪に茶色の瞳の女性が自己紹介をする。

「あたしの名前はアマリリス。炎系の攻撃魔導士だよ。改めてよろしく!」

 アマリリスの次は、彼女の隣の席に座っていた、すみれより二、三歳年上くらいの、黒髪の天然パーマに黒い瞳の男性が、少し自信なさげに自己紹介をする。

「ぼ、ボクはエニシダです。風の攻撃魔導士です……よろしくお願いします……」

 縮こまるエニシダに、アマリリスが指摘する。

「ちょっとちょっと、もっとはきはき言わないと聞こえないぞ?」

「す、すみません先輩……強い人がいっぱいいて、緊張しちゃって……」

 謝るエニシダの肩を、アマリリスは強く叩く。

「あんただって充分強いから、ここにいるんでしょ」

「それはそうかもしれないですけど……」

 どんどん声が小さくなっていくエニシダに、すみれは既視感を覚える。ゲーム内でのチャットでは分かりづらかったが、自分とよく似ている。凄い人たちに囲まれていて、すみれ自身も不安だったのだが、自分と同じようなエニシダを見て少し安心した。

 彼らが自己紹介を終えると、リュウはすみれたちの方を見る。

「スグリ君以外は実際に顔を合わせたのは初めてだから、そちらの三人も自己紹介をお願いできるかな」

 リュウの言葉に、まずタケルが自己紹介をして、次に千尋が自己紹介をする。そして、最後にすみれが自己紹介をした。

「私は、回復魔導士をしている、スミレといいます。よろしくお願いします」

 すみれがそう言って頭を下げると、アマリリスが目を輝かせて、すみれのもとに駆け寄る。

「やっぱりあんたがスミレなんだね! あんたがいるだけでパーティの耐久力が上がるから、マジで助かってたんだよね」

「あ、ありがとうございます」

 アマリリスのきらきらとした眼差しに、すみれは思わず目をそらす。やはり、褒められるのはまだ慣れないし、笑顔がまぶしい。

 すると、アマリリスはすみれの顔を自分の方に向かせて、すみれの頭を少し乱暴に撫でる。

「あんたも本当にすごいんだから、もっと堂々としていいんだよ」

 そう言ったアマリリスの顔は、まるで妹を見るかのような優しい表情だった。

 それから少しの間、すみれたちが雑談をしていると、ふいに広間の扉が音を立てて開かれる。すみれたちが扉の方を向くと、鎧を纏った騎士二人と、五十代くらいの、あごひげを蓄えた、品のある男性が入ってきた。彼がおそらく、人王(じんおう)だ。

 人王とは、この世界で人間を導く存在だ。失礼があってはならないと、すみれたちが椅子から立ち上がろうとすると、人王が「そのままで構わない」と制す。人王の傍らにいる騎士二人も、特にすみれたちを立たせようとはしなかった。

 人王が正面の椅子に腰かけると、すみれたちに言った。

「よくぞ集まってくれた、異邦の強者たちよ」


次話は4月17日に投稿予定です。

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