表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
回復魔導士は私だけ  作者: たまごがわ
第1章
14/89

第13話 集落

 朝食を食べた後、すみれと千尋は町を出発して、ヤマトの首都に到着した。

 今まで訪れた村や町とは比べ物にならないほどの活気に、すみれは驚く。

「すごいですね。こんなに賑やかだなんて……」

 驚きつつも目を輝かせているすみれを見て、千尋は微笑む。

「うん。僕も最初は驚いたよ。一緒に見て回りたいところだけど、まずは集落に行こう。こっちだよ」

 千尋に促されて、すみれは頷き、賑やかな都市を後にした。


 首都から少し離れて、賑やかさが収まってきたと思った時、再び賑やかさが戻ってくる。

 もしかして、とすみれが千尋を見ると、千尋は微笑む。

 やがて塀で囲まれた、住居が所狭しと建てられた場所が見えてきた。

「ようこそ、すみれちゃん。ここが、ヤマトで一番大きな集落だよ」


 千尋によると、ここは元々ヤマトの兵士の訓練場兼宿舎だったが、首都から近い為、訓練時の騒音が問題となり、移転した後に残った場所なのだという。

 塀の中に入り、プレイヤーの集落を二人で歩いていると、自然と千尋の周りに他のプレイヤーが集まってきて、彼に話しかけはじめる。それを隣で見ながら、すみれは高校生の頃のことを思い出す。

 そういえば、高校でも千尋の周りには、男女関係なく人が集まっていた。誰にでも好かれるタイプである千尋のことを、すみれは少し羨ましいと思っていた。

 自分も、千尋のようになれたら、どれだけ楽しいのだろう、と。

 だが、それで終わりだ。自分が今更そのようになれるわけがないのが分かっていたから、嫉妬のような醜い感情が生まれることがなかったのだ。

 だから今も、そんな千尋を隣で見ても、嫌な気持ちにはならない。ただ少し、今だけ千尋が遠い存在になってしまったような気がして、寂しいだけだ。

 そんなことを考えていると、すみれの存在に気づいた一人のプレイヤーが声をあげる。

「あれ……もしかして、回復魔導士のスミレさんですか?」

 突然声をかけられて、すみれは驚きつつも頷く。

「は、はい。そうです」

 すると先ほどまで千尋と話していたプレイヤーたちが一気にすみれの方に来る。

「クエスト行く時はいつもありがとうございました!」

「難易度高い時、スミレさんに本当に助けられて、感謝してます!」

「スミレさんがいるだけで、すごく安心できるんですよ!」

 次々と言われる感謝の言葉に、すみれは戸惑いながら、ぎこちない笑みを浮かべる。

 直接、こんなに多くの人に感謝されるのは初めてだ。ゲームで助っ人をするたびに「ありがとう」とは言われていたが、直接言われると、自分が、ゲームでの存在がどれほど心強いものなのかが、分かった気がする。

 照れながらも他のプレイヤーと話をするすみれを、千尋は隣で優しい目で見つめていた。


 他のプレイヤーと話をして少しした時、すみれと千尋の後ろから声が聞こえてきた。

「―――人だかりができてると思ったら、チヒロか!」

 その声にその場にいた全員が振り返る。そこには、二人の青年がいた。

 一人は千尋より少し身長が低い、金髪碧眼の青年。もう一人は、身長が二メートルくらいありそうな、濃い紫色の髪をオールバックにした、茶色の瞳の、二十代半ばくらいの男性だ。

 彼らの姿を見たプレイヤー、特に女性プレイヤーたちが色めき立つ。

 その様子を見た金髪の青年が、困ったような顔をして、こめかみ辺りを掻く。

「……とりあえず、落ち着けるところで話そうか」


次話は3月20日に投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ