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プロローグ
一一一こんな事をするつもりじゃなかった
人の命を奪った。それも複数人の。
その事実が少年の思考を加速させ、溢れる罪悪感と後悔の念によって少年を押し潰そうとする。
明滅する視界の中血に染まる手と、その手に握り閉められた剣を横目に見る。
ここで初めて、少年は自分が立つこともままならず、大地に横たわっている事。自分の状態が如何に酷い物であるかを認識した。
全身の痛みは大小様々な刺し傷に切り傷、打撲等の戦闘行為による物だ。
流れ出る血はもう既に、生命維持をするのに必要な量以上に流れ出てしまっているだろう。
込み上げる吐き気と歪む視界の端で、自分が命懸けで助けようと奮闘した少女が見えた。
鮮血によって紅く染まる地面の上で、彼女が少年の命を救わんとするよりも早く、少年の意識は闇の中へと消えていった。