朽旧~くきゅう~
キラキラ笑顔が眩しい人でも悩みを抱えていたりする。
「そういえば考えてなかった」
実は約1時間前に起きて武器の手入れをしていたところある重要な事に気付いてしまった。
俺は剣銃士なので当然銃も使う、銃には弾が必要だ。
「まずいな、一応まだ残っているもののいずれ無くなるだろう」
ただでさえ通用しないのにもっと悪化させては本当にまずい。
ん、待てよ、この世界は夢のようなことが本当に出来てしまう、もしかしたら...。
「キユに頼んでみるか」
俺は外套を纏い外に出た。
「あ、兎角さん、話したい事が」
ちょうどキユと出会った、都合が良い。
「俺もだが先に聞いておこう」
「実は...」
どうやらキユは他の世界から来たことを皆にも話したらしい、こちらから言う手間が省けていいのだが。
「で、怒られたのか」
「ええ、あなたは国お抱えの魔術師なんだから暗殺でも...じゃなくて、酷いですよぉ」
一応コミュニケーションはとれている、最初こそは警戒されていたが今ではこの通りだ。
「実は困った事になりまして」
どうやら俺が魔法を使えないという情報が流出したらしい。
「すみません、これからの生活も阻めてしまい」
「別にその事は嘘ではない、それに俺は魔法は使えなくとも武器を手に取る事は出来るしな」
「そうですか、あ、私に用事があるんですよね」
「ああ、これを量産出来ないか」
「たぶん出来ますよ、明日届けていいですか?」
何、明日に出来るとは、もう少しかかるとは思っていたのだが。
「そういえばその外套の首の部分は何の為に付いているんですか?」
これは主に睡眠や毒のガスなどを防ぐものだ、俺はこの外套、いや、防具を気に入っている。
これで武器の事はまだ問題はあるもののましな状況になった。
「防具ですか...、あの、あくまでひとつの道なのですが冒険者になってみてはどうでしょう」
「ああ、それは俺も気にはなっていた」
「冒険者とはなんですが、この世界には無数のモンスターがひしめいてますよね」
俺は色々教えてもらった、この世界でもモンスターの素材を糧に人々は生活しているが人間の数倍から数十倍の体を持ち、鋭利な爪や牙を有するモンスターを倒すことは並大抵のことではない、そこで一手に背負い込む戦いのスペシャリストが冒険者なのだ。
「他にも迷宮というものもあります」
迷宮とは簡単に表すとモンスターの自然発生区域のことで、まるで人工的に作られたかのように階段などがあるが大体が岩ばかりで殺風景らしい。
迷宮ではモンスターは倒されるとアイテムに変わるらしい、たまに武器なども出るため初心者の大体がそれで経験を積みながら腕を上げていくらしい。
「確かに俺には戦うことしか出来ない」
冒険者、か、おもしろそうだ。
ようやく努力と結果がかみ合ってきた。