コント「カリスマ美容師」
A「俺は、世間にその名をとどろかすカリスマ美容師。青山の一等地に店をかまえ、メディアに取り上げられた事は数知れず。カリスマ中のカリスマだ。どんな客のどんな要望にも100%こたえるのが俺のポリシー。さあ、次の客がやってきた」
B「どうも。予約していた者ですけど」
A「HAGEてる!! HAGEている!! この店の客層にはいないタイプだ!! なぜならこの店はカリスマ店!! お洒落なイケメン以外の入店を拒む雰囲気を醸し出している!! それを無視して入店するだと!? こいつ、どんなメンタルしてやがる!!」
B「あの……」
A「失礼しました。こちらのお席へどうぞ。それで、今日はどのような風に?」
B「格好よくしてください」
A「無理だ!! だって、波平さんみたいな髪型してるんだもの!! どう頑張っても波平さんは格好よくできないもの!! つうか、材料がないもの!! 無から有は生み出せないもの!! 俺は、神ではないもの!!」
B「ひょっとして、できないんですか?」
A「は?」
B「いや、できないんならしょうがないですよ。別に、できないのは、あなただけじゃないんですよ。私は今まで色々な美容店・理容店を回ってきました。そして、格好よくしてください、と注文しました。するとね、みなさん、今のあなたのような表情をされるんですよ。途方に暮れるというか、自分の無力さに押しつぶされるというか、そんな絶望的な表情をね」
A「……」
B「この店は超有名店ですよね。その店のオーナー美容師であるあなたなら、ひょっとしたら、と思っていたんですが、どうやら私の見込み違いだったようですね」
A「……ちょっと待てよ。誰ができないって言った?」
B「じゃあ、できるんですか? この私を格好よく」
A「ああ。やってやんよ。カリスマなめてんじゃねえぞ!!!! 俺の本気を見せてやんよ!!!」
Aが油性マジックを手にする。
A「おらぁああああ!!!!!!! これがカリスマの力だ!!!!!!!」
キュッキュッキュッ
B「めちゃめちゃキュッキュッいってますけど大丈夫ですか!?」
A「うるせえ!! 黙ってろ!! 糞っ!! マッキーがいくらあっても足りねえ!!!」
キュッキュッキュッ
Bのむき出しの頭皮が真っ黒に塗られる。Aの操作するドローンがBの頭頂部に着陸する。AがホールケーキをBの顔面に叩きつける。
A「カリスマなめんじゃねえぞ!!!! 糞が!!! さっさと帰れ!!!!!!」
その後、Aは普通に訴えられた。