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腹ペコ姫がへそを捧げてくるので俺にはもうどうしようもない!  作者: 蒼真晟仁
第一章 へそ美人姉妹と出会ってどうしようもない!
9/26

へそ姫様と同居生活!?

 大皿にこんもりと作った野菜炒めは、九割方がティアラちゃんの腹に収められ、俺はなんとか白米で腹を満たした。

 一息ついたところで、バラエティー番組を見てげらげら笑っているティアラちゃんを余所に、リロルさんから事の詳細を聞く。

 彼女が言うには、昼間の一件を隠しきれずにバジル様の逆鱗に触れてしまったとのこと。

 地球の人間から奪い、祖国に戻って提供するはずだった食料をティアラちゃんのためだけに使ってしまったのが、我慢ならなかった。これならば自分一人で活動していた方が仕事がはかどる……と。

 正論過ぎてなんとも言えないが、ティアラちゃんが困っていることには変わりはない、か。


「うーん。なるほど」

「そこで傑殿に、折り入って頼みがあるのですが」

「な、なんでしょう?」

 すごく嫌な予感がするんだけど……

「ティアラ様を、しばらくこの家に置いていただけないでしょうか。私たちの事情を知っていて料理もできる。頼れるのはあなただけなのです、傑殿!」

「ほ、本気で言ってます……?」

「マジです!」


 ティアラちゃんと同居……うーん。

 願ってもないスペシャル級に俺得な話のはずなのに、なぜか素直に喜べない。

 まぁ、理由は明確なのだが。


 一つは、彼女らが宇宙人であるという事実を知ってしまったこと。

 二つは、単純に食費。

 三つ目に、あのバジル様を間接的にでも敵に回すかも知れないという恐怖だ。

 この三つのリスクを背負うのと、ティアラちゃんとの同居……。


 俺の脳内天秤が良い感じに平行を保っている。

 なかなかに悩ましい。

 俺が悩んでいるのを察したのか、リロルさんは更なる追い打ちをかけてくる。


「傑殿、よく考えてください?」

「何をです?」

「憧れのグラビアアイドルである、あのティアラ様と一つ屋根の下で暮らせるんですよ?」

 おお……

「朝のおはようも、夜のおやすみも、いただきますもごちそうさままで、独占できるんですよ!」

 おおおお…………

「添い寝やへその鑑賞、お風呂に入る際には鉢合わせなんてことも!」

 おおおおおおおおおおおおおおおお。

「彼女のおへそはあなたのものです! 傑殿!」

 おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!


 なんか巧みな口車に乗せられてしまった感は否めないが、リロルさんは正しいことしか言っていない!

 世界一へそが綺麗でエロいと話題の、俺が超大好きなグラビアアイドル皇ティアラちゃん!

 そんな彼女と一緒に暮らせるんだ! 宇宙人とか食費とか、おっかないクラスメートなんて関係無い!

 これは俺の意思だ!

 俺は、ソファーに座って自分が出ているCMのポーズを自らしているティアラちゃんの元へ行く。

 胸の下で腕組みをして、体を小刻みに揺らすことでおっぱいとへそのチラリズムを同時に楽しめる優れものだ。このポーズを考えた人は天才だな。


「ティアラちゃん!」

「え、あ、な、なぁに?」

 パッと腕組みを解いて「なんでもないよっ」という具合に手をフリフリしている。

 ……恥ずかしいならやるなよ。

「えーと、こんな所だけど、良かったらうちで一緒に暮らしませんか?」

「え、ホント!?」

「ほんとです! 力になれるかは分かりませんけど、場所を提供するくらいなら俺にもできるので」

「何言ってるのおにぎりくん! 美味しいご飯も作れるでしょ! 私は、あなたの料理のファンだもん」

 自然に俺の手を取るティアラちゃん。

 ふわっと良い香りがする。これは紛れも無く飯の匂いではない。女の子の――ティアラちゃんの匂いだ!


 近い。嘗てないくらい物理的にも精神的にも近くで彼女と触れ合っている!

 だってただ手を握ってるんじゃないもん。

 指と指とを絡めるように握り合う、恋人繋ぎだから!

 あぁ……普通なら、最低一時間以上は並ばないと握れない彼女の手をこんなに長く握っていられるなんて……。しかも恋人繋ぎ。こ・い・び・と・つ・な・ぎ!

 こんなに幸せなことがあって良いのだろうか。

 ……良いよな。うん! 良くないわけがない!

 ――でも、そんなにサービスされると俺の腹が……

 過去最大級にぎゅるってる。

 そろそろ、本気でトイレに行きたいかも知れない。


「いやはや、良かったです。では、傑殿」

「え、はい?」

 俺が興奮してんのバレた?

「ティアラ様が住むにあたって、軽くお屋敷の中を調査――拝見させていただきたいのですが、よろしいですか?」

「はぁ……まぁいいですけど?」

「では、少々失礼します」

 そう言うと、リロルさんは俺の部屋とか空き部屋のある二階へと上っていった。

 良かった、興奮して腹下してんのはバレてない。

 まぁ、お世話係としては気になるよな、こういうの。

「ねえ、おにぎりくん」

「はい、なんですか?」

 ずっと握りっぱなしの手を揺すって、ちょっと上目遣いのティアラちゃんに話しかけられる。


「もうおにぎりくんとは、一緒に住むくらいの仲なんだし、敬語とかはやめてほしいな」

 もじもじとお尻を振り、顔を赤らめて俺を見るティアラちゃん。

 な、なんだこの可愛い生き物は!?

「い、いいんですか?」

「うん! それと今度から、私のことは呼び捨てね?」

「え!?」

「はい、今から!」

「わ、わかり――わかった。ティ、ティティティ……ティア、ラ」

「よくできました♪」

「じゃ、じゃあ、俺からもお願いがあるんだけど」

「なぁに?」

「俺のことも、おにぎりくんじゃなくて、名前で呼んでほしい。傑……って!」

 うわぁ、俺どさくさに紛れてなんてことを!

「いいよ♪」

「ほ、ほんとに!?」

「うん。じゃ、今日から君はすぐるんね♪」

「すぐ……るん?」

 なんだそのマスコットキャラみたいな呼び方……

 まぁでも、

「分かった。それでいいよ……ティ、ティアラ」

「えへへ。これからよろしくね、すぐるん!」

「おう! こちらこそ!」


 皇姉妹……ティアラも、バジル様も実は宇宙人。へそから銃弾を出す宇宙人。

 しかも俺の大好きな食料を根こそぎ持っていこうとしてやがる張本人。さらにはあのとんでもねー妹もいる。

 けど!

 俺のティアラへの愛はこんなんで揺るぎはしない。もう驚かねー。

 いいじゃないか宇宙人。上等だ!

 我がへそ愛に二言はない!


「でさぁ、ティアラ」

「ん、なぁに?」

「と、トイレぐおおおおお!?」

「え、何!? どしたの!?」


 こうして、俺とティアラの同居生活が、幕を上げたのだ。

9話目でした!

こんな女の子とこういうシチュエーションで同棲できるとか羨ましすぎる展開ですよね_(┐「ε:)_

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