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「ふうん。配下になりたい、ねえ。この気絶している女の子も一緒に、か。・・って!そしたらなんで【魔王】の俺が背負ってるんだ!」


『別にいいだろ?配下くらい。てか魔王国って既に僅かながら人口・・住んでるヤツいるじゃねえか。アイツらも配下なんだろう』


「?俺の城にいる輩のことか?あれは勝手に住み着いている山賊だとか・・目つきの悪い獣人とか・・話したこともないし関わりたくもないよっ。・・・って!何、頭抱えてるんだっ!」


(ユキムラ君・・・俺が手塩をかけて創った城を・・・そんな輩に占有されて。しかも。放置しているのか・・)


『そ、そういえば!へへっ・・【魔王】様。聞きましたよ~魔王様には天下無双の10人の魔族。強大な力にしてその忠誠は超絶無比!魔王十勇士がいるとか!』


「?そんな呼び名がついてるのか!?確かにいいヤツらだけどーー」


「あっ!魔王さん!チーーースッ!」


「おおーっ!カケイ君!奇遇だねえ!何してんの?」


「へへっ・・・これから他国に酒の買い付けに行くんでさあ。」


(これは・・・)


「そっかあ。別にウチにある酒でもいいのに。ほらあの魔力鉱石。うるかせばいくらでも酒できるだろう?」


「いやいや。飲み比べ、ってヤツですよ。自国と他国のね。酒好きとしてはこういう事には目が無いんでさあ」


(うん。間違いない。これは)


「そんなもんなのかあー。気をつけて行ってきてね。ま、路銀は魔力鉱石あればなんとかなるでしょ。好きに使っていいから。あ!あと!お土産よろしくね~!」


「お土産楽しみにしてくださいよ。へへっ。まあ。あっしの脚力ならすぐ、でさあ」


(間違いない。女神。女神よ。どうやら奥の手を予想以上に早く使うことになりそうだ。このユルさ。この国ともいえないユルさ。そしてこの【魔王】くんの威厳の無さ。お前に見せてやりたい・・・)


「今のがまさに。君が呼んでる十勇士の一人だよ。結構いいヤツだよ」


『えーーっと。天下無双の十勇士。その守りは鉄壁の守り。24時間、四六時中。魔王様の御肌離れず身辺警護してると・・お爺ちゃんに聞きましたが』


「アッハッハッ!なんだそりゃ!彼らは部下だけど・・こんな俺について来てくれてるんだ。こっちも信頼には信頼で答えないと。好きにしてもらってる。俺?俺は言っても【魔王】だからさ。威厳と恐怖の【魔王】。ここら辺・・・魔王城の周辺のパトロールとか城の掃除とか・・・って!なにまた頭を抱えてるんだ!」


(マズイ・・早くなんとかしないと・・・!どうする?女神に神言して神界から神技発動させるか?神技<威厳の王制>でまずユキムラ君の回りに対する目から改めさせて・・)


『ひ、人を呼びますわよっ!』


「なんだっ!?」


「へっへっへっ・・いいじゃねえか。姉ちゃん・・俺らもあのイカれた【魔王】を討伐しにいく【勇者】一行なんだ。これから歴史に名を刻む英雄様といい事出来るなんて、そうそうねえよ?」


『離れなさいっ!汚らわしいっ!わたくしを・・・チラッ。ローラシア大国の姫・・・聡明で若くて美しく慈愛の精神に満ちた完全無欠のこの世が生んだ奇跡・・・チラッチラッ。100万年に一度の奇跡の・・・生ける伝説と知っての狼藉ですか!』


「ああ?なんだその国?聞いたこともねえよ?そんなことよりだなーーー」


「マズイッ!助けるぞ!!ーーーって!何口から泡吹いて・・・白目むいてるんだよ!!」


『あー・・【魔王】様。助ける必要はありません。絶対。絶対に助ける必要ありません!見なかったこと。つまりスルー。超絶スルーしましょうここは。いいですか?ここは超絶スルーするとこです』


「どうしたんだ・・ちょっと怖いぞ・・そもそもーーー」


『そこの旅のお方!チラッ。どうかお助け下さい!』


『・・・・』


『そこの旅のお方っ!シカトしないでっ!大声あげますわよっ!』


『・・・』


『そこのっ!ガン無視すなっ!いいんですか?あなたの秘密をーー』


スタスタスタ・・・

スタスタ・・・

スタ・・・


『山賊さん?コイツ。実は女神なんーーー』


『ゴラアッ!!ストーーーープッ!!』


(ゴラアじゃねえよ!ゴラアじゃ!お前何やってるの?何やっちゃってるの??神界からサポートしろ、って言ったよね?たしかに言ったよね??それがなんで・・なんで神移しちゃってるの??ねえ、ホントになんで?あと、そのお姫様設定何?てかいったい何なの?これ?何が何なの??)


(ビックリしました?これ。絶対ビックリしましたよね?今どんな気持ち?ねえねえ今どんな気持ち?・・ムフッ。その顔が見たかったんですよね。いやあ~生きてて良かった!我が人生一片の食いーーー)


『・・・いいですか。山賊さん。よく聞いて下さい。これから言うことはホントのホントの事実。嘘は言いません。神に誓って。それでは・・コホン・・ここにいる女は実はーーー』


ドゴッ!!!!


(何、神バレしようとしてるんですかっ!せっかく来たのに!神バレペナルティ!神界に戻されたら!<異世界神移>!1ヶ月使えないんですよっ!)


(ツツ・・いきなり後頭部をグーで思い切り殴るヤツがあるか?いいじゃねえか。ってか戻れ。今すぐにだ。ペナルティでもなんでも。そして神界からすぐにサポートしろ。状況は思った以上にマズイんだよ)


(・・・ムフッ)


(・・・なんだよ)


(わたくし一人で寂しく神界からサポートさせようだなんて・・・そうはいきませんよっ!というかこんな寂しがりやでメンタルの弱い可憐な【創造と平和と儚げの女神】が強制的に神界に戻されようものなら・・・どうなっちゃうんでしょうねえ?きっと【嘆きの間】に籠もって・・・サポートどころか・・ププ・・毎晩枕を濡らすいたいけな少女になってしまうことに・・・)


(なっ・・・!)


(お分かりになりましたか?わたくしだってサポートしないとは言ってませんよ?むしろする気満々です!ただ神技・・・ズルはよくないんですっ!わたくしはスポーツマンシップに乗っ取って正々堂々ーー)


(お前・・ズルって。楽しみたいだけだろが。間近で。・・まあいい。本当にクラクラしてきた。とりあえず現況を話すぞ。思ったより悪い状況だ。まずーーー)


「あ、あの~」


『なんだ?山賊?』


「か、帰っていいですかね?」


『あー。いいんじゃねえの?・・・って!魔王城に帰るんかい!』


「まあ彼らは最近住み着いたしね。しょうがないよ。なんでもA級山賊のイデウラってヤツを頭領にーーー」


『ユ・キ・ム・ラ君~。会いたかったですわ!』


「うわあ!急に抱きついて!!なんなんだ君は!なんで俺の本名を知っているんだ!」


『申しおくれました。わたくし、遥か遠くの異国・・・聖国ブリュンヒルドより遣われし姫君ですわ。聖国は【魔王】様に恭順の意を示しております。その証拠に姫であるわたくしが。お力になるためやってきたのですわ!』


(おい・・・さっきと設定変わってるぞ。あと『ですわ』ってなんだよ)


(いいんですよ。ほらわたくし、言っても姫だし。こういうのはノリと勢いが大事なんですよ)


(だからそのお姫様設定・・・)


「そ、そうか!俺の知らない国だけど・・うん!俺の本名も初めから知ってる不思議な力があるあたり聖国の姫様ってのも本当みたいだっ!もちろん。同盟の話なら喜んで受けるぞっ!今日はめでたい日だっ!2つの国と同盟を結んだんだ!早速サルトビに知らせないと!宴の準備だっ!」


(脳筋・・・)


(脳筋・・・)




ーーーーーー




『おはようございますわ。本日もご機嫌麗しゅう・・』


『その喋り方やめろ。ってか。よく短時間でその姫衣装創ったよな。・・まあいい。事態は深刻だ。それも相当な。昨日でさえちらほら勇者どもが来てたんだ。今日あたりから本格的に来るぞ。それこそ波のようにな』


『・・どうしましょうっ!わたくし、お箸より重たい物持ったことがっ・・・!』


『・・・。一応十勇士どもには釘を刺して置いた。アイツらもユキムラ君と同じく俺達が神だと気付いて無かったがな。まあ創って使命与えた時、声だけだったし。逆に都合いいからこのままいくぞ?』


『ここだけの話・・・とかで十勇士さんが聖女さんとかに神バレするパターンが怖いですもんねえ~』


『まあ全員脳筋に創ったからな。裏方、ってことで。だが政治できるヤツが皆無だ。皆無。魔王含めてな。ハッキリ言ってマズイ』


『軍とは思えないユルさですもんねえ~。宴の席なんか魔王さんが料理したり配膳したり・・果ては片付けしたり・・』


『アイツ本当に【魔王】ヤル気あんのか?いや・・愚痴ってもしょうがないが』


『そういえば聖女さんは?昨日宴の席でウマイ、ウマイって。目をまん丸にしてユキムラ君の料理食べていたコ。てっきり性奴隷目的で連れてきたのかと・・』


『お前本当に【創造と平和の女神】か?・・・聖女な。聖女マリア。神眼でステータス見てみろよ今度。武力は壊滅的だが政治力はまあ・・及第点だ。というか今の魔王国には喉から手が出るほど欲しかった政治キャラ。まあ文官だな。当分内政はアイツが軸になりそうだ』


『ププ・・ぼっちの文官・・・クッソ忙しくなりそうですねえ~。あとはやはり軍事。今は・・勇者対策、ですか~』


『ああ。なんせ実体化した俺達神は・・死にはしないが戦闘力は皆無だからな。おまけに当の【魔王】・・・ユキムラ君は今日も元気にお散歩と来たもんだ。結構ヤバイ状況だぞ?』


『まーチートキャラだし案外どうにかなっちゃうんじゃないですか~?そんなことよりやっぱ。魔王国ーー人口98兵力12ーー。ププ・・これ笑っちゃいますよね?』


『それなあ。やはり優先順位ははるかに。はるかに人口兵力の確保、になりそうだ。所詮、【個】の勇者の脅威なんかより【集】の軍の脅威だしな。こればっかりはチートキャラにもどうにもなるもんではない』


『ムフッ』

                 

『そうと決まれば早速いくぞ。昨日思わぬツテが入ったんだ。今日は魔王国の秘密裏の使者として、とある国へだ。』


「おーーーいっ!朝ご飯、食べないのかいーーっ!?」


『・・・まあ食べてからいくか・・』


『それもそうですね・・・』

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