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『いいですか?今回は言葉だけではなく。実体ごとあなたの世界に行くワケです。これがどういうことかワカリマスカ?』
『まあ、世界の約定の法則とやらで・・神技は使えなくなるわな。あのクソ便利な神技。あとは・・』
『既に神バレしている者以外には決して神バレしてはいけない。』
『そうなんだよな。神技<異世界神移>。もし神バレしてしまった場合。つまりユキムラ君と俺らの創った10人の魔族以外に、だな。強制的に戻されてしまう。そしてこの神技の厄介なところは・・』
『使ってから1ヶ月間。無条件で封印されてしまう。・・こわっ!クールタイムこわっ!神移してから3日後とかに神バレした日にゃあ・・』
『・・ああ。失敗は許されない。ガチでいく。ガチで。ただでさえ俺の世界で実体化したら神技は使えないんだ。超絶ガチでいく』
『ムフッ』
『女神。度々手伝わせて悪いが・・・神界からのサポート頼むぞ?できるだけ俺一人で片付けるつもりだが。いざヤバくなったら頼むかもしれん』
『ムフッ。つまりわたくしは奥の手。あなたの秘密兵器、というわけですよね?ところで報酬はーー』
『ま、まあ神界から優雅に見てろよ。ユキムラ君の国。いい感じにしてくるから。んじゃ、いってくるーー』
『報酬ーーー』
ーーーーーー
『ふむ。とりあえず成功、か。魔王城の近くに神移完了。先に送った10人の魔族・・・十勇士が迎えに来る手筈だけど・・』
「ーーーひ、人を呼びますよ!ワタシをオータ家の【勇者】と知っての狼藉ですか!」
『なんだっ!?』
「へっへっへっ・・いいじゃねえか。姉ちゃん・・俺らもあのイカれた【魔王】を討伐しにいく【勇者】一行なんだ。これから歴史に名を刻む英雄様といい事出来るなんて、そうそうねえよ?」
『これは・・!』
「よくもぬけぬけとそのような嘘を・・!離れなさない!フケツな!ほ、本当に人を呼びますよ!」
『テンプレの山賊どもによるアレか・・・まだまだこの世界も捨てたもんじゃない・・まあ、スルーだな。スルー。余計なことには関わらない。ガチモードだ』
「人ォ?人なんざこの辺居るわけねえよ!なんたってここは魔王城のふもと・・『嘆きの谷』なんだからなあ!」
「くっ・・・神よ。これも試練なのですね・・分かり・・分かりました。これはワタシの先祖代々より伝わる伝説の家宝『聖なるナイフ』。どうかこれで・・」
「おっ!なかなか聞き分けのいい姉ちゃんじゃねえか!契約成立・・へへっ。じゃあ有り難くもらってくぜ?あー全く。勇者狩りはボロいなあ!じゃあな!せいぜい【魔王】様とやらをご立派に倒してくれや。おい!者共!ズラかるーーー」
『ちょっと待ったああ!!』
「な、なんだ!?」
『さっきから聞いていればなんだ?まあ客観的に見てだ。お前のやっている事は追い剥ぎ。それも人気のないところで、な。これがどういうことか分かるか?』
「・・・」
『ソコの女が泣こうが喚こうが助けは来ない、ってことだ。そればかりかお前らがこの女に何をしようが罪にはならない。最終的には・・・むごたらしく殺しちまえばいいからな!証拠隠滅、ってヤツだ』
「・・・ヒィッ!なんだコイツは・・」
『さあ現状は理解出来たか?追い剥ぎの概念は理解できたか?だったらまず・・何をすべきか分かるよな?獣のように犯すんだよ、ほら。ナイフ1本で契約成立?・・バカなっ!平和ボケしたクズどもがっ。女の衣服はもちろん・・そのキレイな長い髪から青い瞳・・果ては臓器まで。金になりそうなもんは根こそぎ・・・それこそ身ぐるみ剥いでしまえ!』
「ヒ、ヒィィッッ!!こいつ・・本格的にイカれてやがる・・!おい!者共!さっさとズラかるぞ!今すぐに、だ!!」
『ああ・・性奴隷、って手もあるなあ!みればなかなかの美人だしなあ!お前ら【勇者】狩りしている山賊だろ?アジトで手錠ハメて薬漬けにしちまえばーーー』
「・・・あのっ!」
『・・んっ?』
「山賊さん達・・もういません・・」
『・・・ど、どうも・・』
「どうも・・・」
・・・
「ワタシは聖女マリア。オータ家の勅命で魔王討伐に向かう途中の勇者です」
『・・・』
マリア(15)
格付け:C
職業:聖女
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政治 54
武力 15
→『ステータス』
Lv:14
Hp:26/26
Mp:22/38
武勇 3(+1)
統率 27
魔力 18
『スキル』
回復魔法(1) 治癒魔法(1) 聖魔法(1) 内助の功 不運 (聖攻撃付与)
『ユニークスキル』
聖女の血
『経験値』
17P
状態:良好
『ふむ・・・体の一部だからか。神眼は発動できるな。これは大きい。神技が封じられてる中でこれは非常に』
「形はどうあれ先ほどは助けて頂きありがとうございました・・無事、我が家宝『聖なるナイフ』。これを奪われずに済みました。これも神の思し召し」
『・・・』
聖なるナイフ
近接武器
レアリティ D
効果 武勇+1。聖攻撃付与
装備条件 聖魔法所持
※聖なる力を宿したナイフ。小ぶりで扱いやすい。宗教国家オートにて割と量産されている。攻撃力は低い
『・・・クソ武器だな』
「なっ・・・!」
『武器だけじゃない。お前だ。お前自身。勇者とか冗談だろ?多少修練は積んでるみたいだが・・ハッキリいって自殺行為だ。そのステータスで魔王に挑むのはな。魔王はおろか、十勇士の一人にさえキズ一つつけれやしない』
「ステータス・・?なんの話ですか?」
(マズッ!この世界のヤツらはステータスの概念無いんだっけか!?)
「と、とにかく!やってみなければ分かりません!」
『あ、ああ。そうだな。そうだ。その通りだ。どこぞの偉い人も言っていた。何事もチャレンジあるのみだ!じゃあそろそろ俺はいくからーーー』
「そう・・ワタシには・・ヒグッ・・ワタシにはやるしかないんですよ・・」
『え・・・』
「ワタシにはやるしか・・ヒグッ・・・ヒグッヒグッ・・ウエエエエンッ!!」
『・・・ほう、これは・・なんとなく読めてきたぞ。お前、勅命という名の生贄。スケープゴートにされたクチだろ』
「っ!」
『図星か。図星なんだな?初めから違和感があったんだよ。パーティーどころか女一人にクソ武器。たしか・・オータ家の勇者と言っていたな?なるほど、あそこは弱小国。ホントに勇者クラスの人材が居るならまずは絶対温存。温存するからな。国力のために。こんな馬鹿げた討伐には体裁だけ・・つまり要らないヤツだな。』
「ヒグッ・・ヒグッ・・」
『まあ飲めや。(女神からかっぱらってきた)特製のジュースだ。アルテミスの水?とかいったっけか。どうでもいいが。結構うまいぞ』
「ヒグッ・・・ヒグッ・・・っ!えっ・・?こんなにうまい飲み物・・初めて・・それにMpが全快・・」
『・・・落ち着いたか?まあ話せ。俺が敵じゃない、邪悪じゃないのは聖女の力でなんとなくわかるだろ?まあ話せよ』
「・・ワタシはーー平民の出ながら『オータ国の才色兼備』の名までつくほどの英才、でした。ワタシもその期待に答えるように・・・育った国ーーオータ国に少しでも報いるために。必死で勉強しました。そして15の春。女性が婚姻できるようになった15の春です。」
『どこぞの貴族あたりから花嫁として迎えたい、一生大事にするよ!ってか?』
「似ていますが違います・・全然違う。ワタシは当主のオータ様から側室として来るように命じられました。当主として平民に出す、命令です。命令。拒否権など当然ありません。ーーその時、今まで必死に頑張っていたワタシの・・張り詰めていた糸がプツンと切れました」
『さては断ったな?お前・・英才どころか。バカじゃねえか。当主様にたてつく平民とかな』
「ワタシも多少。名が通っておりましたから。オータ様が直接手を下せるわけもなく・・こうして【勇者】に祭り上げられ、魔王討伐にいかされているわけです」
『カカカッ。完全に逆恨みされたかっ!男の嫉妬は怖いからなあ!それこそ女の数十倍なっ!カカカッ!』
「あなたはっ・・!人のことだと思ってーーー」
『・・・どうする?お前。詰んでるじゃねえか。ほぼ。あー笑い事じゃねえよな。すまん。俺も似たようなもんだ。生贄だ生贄。スケープゴートだよ』
「・・・えっ?」
(方針変更。この女は使える!イヤ、こいつだけじゃない。いわゆる国に捨て石にされた【勇者】がこれからゴマンとくるはずだ。ガチの勇者は十勇士に処分させるとして。捨て石の勇者は魔王国の貴重な兵力として併合。有効利用させてもらおう)
「まさかあなたも!あなたも・・・国に捨てられたのですか!?」
『ん、あ、ああ。そういうところだ。正直悔しいよなあ?今まで国のためにやってたのに・・・どうでもよくなっちゃっうよなあ!祖国なんてもう、どうでも』
「ヒグッ・・神よ!この出会い・・・おお神よ!あなたとは運命じみたモノを感じます!これも神の思し召し・・」
(イヤ。チョロ過ぎだろうよ・・いくらなんでも。まあ聖女の職業補正で俺が邪悪な存在ではない、と認知しているからか?ってか神だしな神。神バレには気をつけねえと)
『お、おい。泣いてないでだな。これを聞いたら涙もふっ飛ぶぞ?実は俺らは詰んでいる。と見せかけて助かる道がまだあるんだーー』
「っ!!」
(<異世界神移>はまさに一発勝負。ガチでいくぞガチで。なんせ時間がないんだ。利用できるもんは何でも利用してやる!)