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「へっ!相変わらず使えない・・反抗的な奴隷だ!やっぱりここの監督さんにケツを差し出すしかなかったんじゃねえの?馬鹿な真似しやがって!オラオラさっさと働け!」
ビシッ!ビシィ!!!
「・・・」
(殺す!コイツもいつか・・必ず!アイツも殺す!ここにいる全てのヤツをぶっ殺してやる!)
ビシッィ!ビシッィ!
「オラオラどうした?あっ!指無いんだっけか?だからそうして口でくわえて石を運ぶしか無いんだったなあ?ヒャハハ!しかし間抜けな光景だ!お前、犬以下だよ、マジで」
ビシッィ!ビシッィ!
(憎い・・・この世の全てが!こんな世界・・無くなってしまえばいい!)
ーー『チカラガホシイカ?』ーー
・・・
(!?今・・・頭の中で声が!?)
ーー『コノヨノスベテヲハカイスルチカラガホシイカ?』ーー
(間違いない!たしかに声が聞こえる!!)
ーー『キョウモワタクシ、キマシタワヨ。ッテアレ!ナニヒトリデカッテニタノシソウナコトヤッテルーー』ーー
(??)
ーー『オ、オイ!イマダイジナトコナンダカラーー』ーー
「・・まあいい。普通にするか」
(俺はいったい!?ついに気がふれたか??)
「あー。驚くよな普通。まあつまらん茶番は抜きにしてだ。俺はこの世界の神、だ。神。【創造神】ってヤツらしい」
「わたくしは【創造と平和と美の女神】ですよ」
「(コイツ・・この場で設定盛りやがった・・!)・・あー。人間よ。この世界の全てが憎いだろう?ぶっ壊したいだろう?俺がお前にーー」
ビシッィ!
「オラオラ!手ェ止めてるんじゃねぇぞ!監督さんにお前はぶっ壊していい、っていわれてるからな。この愛用のムチでお前の顔面をーー」
「チッ・・・ちょっと邪魔だな・・・武力5のゴミが。神技<書き換え>。武力10以下の生物を等価の生物へと変える。」
「あ?なんだ?か、体が・・・あびっ!」
「これでなんも喋らないかわいいジャイアントスライムの出来上がりだ。」
(なんだ?!なにが起こったんだ!?)
「ところでお前・・舌は抜かれ指は手足共に全て潰されてる。おまけに全身傷だらけで・・高熱、破傷風、栄養失調ときたもんだ。悲惨だな。悲惨。生きてるのが不思議なくらいだ」
(俺だって好きでこうなったわけじゃ・・!)
「・・神技<創生回復>。生物を健康且つ完全な状態に即座に回復する」
シュオオオン!
「・・・傷が!いや!傷だけじゃない!体の至るところが治ってる・・?しかも・・俺は今・・言葉を話せているのか!?」
「そりゃ、舌も治したからな。感謝しろよ。で、だ。俺がこの世界の【創造神】ってのはわかってくれたと思う。そこで神として、問う。力があるとしたら・・・お前はどうしたい?」
「・・・あんたがこの世界を創ったのか?」
「ん・・?あ、ああ。そうなる・・・のかな?」
「ならまず・・・あんたを・・・ぶっ殺す!この手で!必ず!こんな忌々しい世界を創ったあんたを・・必ずぶっ殺す!!」
「これまた・・・スゴい逸材ですねえ~!感謝のかの字どころか・・・『ぶっころ』ときましたか~!いやあこれは1週間血眼になって探しまくった甲斐がありましたねえ~!」
「【創造と平和の女神】よ。少し静かにな。今、シリアスな感じなんだ。わかるだろ?・・・俺を殺すか。まあ、合格だ。てか完璧な回答だ」
「わたくしは創造と平民と美のーー」
「俺もこの世界は望んで創ったワケじゃないんだ。決してな。で、この世界を創り変えたいと思ってる。なにか創るにはまず今あるものを壊さなきゃいけないだろう?この世の全てを憎んでいる・・・無くなってしまえばいいと思っているお前とはある種・・・利害が一致していると思わないか?」
(正確には全てを壊すなんて、そんな平和的で勿体ないことしないんだがな)
「この1週間何処に行っても平和で穏やかで・・・あなたのこと尊敬してるモブばっかでしたもんねえ~ププ・・・おお神よ!感謝します!とかそんなのばっか。どんだけあなた、うやまれてるんだっつー」
「クソッ・・・忌々しい。とにかくだ。この世界をぶっ壊しえる力を授けると言ったら・・・どうだ?お前はこの世界を壊したくて、俺も壊したい。いい取引だと思わないか?」
「・・・ユキムラ」
「?あ・・?なんだって?」
「ユキムラ。それが俺の名前だ。1つ聞くが。力とやらを授けられたとして。行動の制限はないのか?例えば俺は世界を壊す前に・・・信じていたのに!俺をハメて!俺を騙して裏切って!奴隷商に売り飛ばしたあの女を殺したい!俺から指を・・・舌を!地獄のような拷問の末!切り落としたこの鉱山の監督を殺したい!そこのジャイアントスライム!手始めにコイツを殺したい!それから!それから!」
「ま、まあいーんじゃないか?てか、お前につける制限は3つだけだ。まずこれからは【魔王】を名乗ってもらうこと。最終的に世界を破滅させること。それと・・世界を破滅させる意思を各国に発することだ。まあ、最後のは序盤はキツいか。戦力が整ってからだな。つまり秘密裏に世界を破滅させるなってことだ」
「誰が秘密裏なんてそんな・・つまんないことするかよ」
「おー・・悪い顔してますねえ!これ!すでに【魔王】の貫禄ありますよ!まだ力、もらってないのに!これは10年に一人の逸材かあ~?」
「・・・契約は成ったな」
「ああ。神・・様。よろしくお願い・・・します」
「ちなみにわたくしは創造と平和と美のーー」
「別に無理して敬語使うなよ。俺とお前は似た者同士だ。じゃ、また後でな。この力を授けるってのがなかなか骨なんだ。・・神技<ステータス編集>。ステータス値を等価内で上げ下げする」
ユキムラ(17)
格付け:C
職業:奴隷
------------
政治 3
武力 7
→『ステータス』
Lv:8
Hp:46/46
Mp:0/0
武勇 13
統率 6
魔力 5
『スキル』
窃盗
『ユニークスキル』
信じる心
『経験値』
277P
状態:良好
「・・・まあ人間ならこんなもんか」
「面白いもんですね~かなりレアなユニークスキル『信じる心』持ちだったんですね~。環境さえよければ・・・本来高位な神父さんとかにもなってたかもですのに」
「・・・コイツを今からチートキャラに仕上げる」
「神技<ステータス編集>はあくまで等価内ですよ?等価。戦闘に直結する武勇を5上げたら魔力とかその辺を5下げないとですね。スキルもです。スキルも。良スキル一つ追加につき。武勇ポイント10下げ、とかざらですから。チートキャラを創るにあたって・・・チラッ、チラッ、これは困りましたね?実は裏技がーー」
「ああ・・・経験値を大幅にマイナスにして等価にするしかないな」
「裏技がーー・・・あったらいいのになあ~!」
「まあしょうがあるまいよ。レベルは上がることはないだろうが。この先ずっとな。【魔王】、だしな。いいだろ。経験値とかどうでも」
「チートキャラ創るなら地味ーに職業も大事ですよ。マスク扱いですが職業補正、マジで馬鹿になんないですから。あと格付けもーー」
・・・
「そんなこんなで出来たわけだが・・・どうだ?」
ユキムラ(17)
格付け:S
職業:魔王
------------
政治 23
武力 97
→『ステータス』
Lv:8
Hp:978/978
Mp:0/0
武勇 99
統率 92
魔力 5
『スキル』
恐怖付与 即死付与 全状態異常無効 魔法無効 籠城達人 槍術(神域) 馬術(神域) 軍略家 兵法家 カリスマ 魔王 不身借命 魔王陣 魔王丸
『ユニークスキル』
信じる心
『経験値』
ー7658342P
状態:良好
「まさかの脳筋・・・」
「ん?なんか言ったか?」
「あ!いえ!・・・『侵攻』とかつけなかったんですね。割りと他国に攻めいるならあったほうが良いと思ったのですが」
「あー。いらんよ。攻めねえし。世界を壊したい魔王くんには悪いが・・・専守防衛をやってもらう。この前創った城と・・・その中にある魔力鉱山のとこでな」
「その魔王くん、世界を滅ぼす気・・・攻める気満々ですが?」
「そんなヒマ与えねーよ。世界を滅ぼす魔王ってのは勝手に本人が流布してくれるしな。平和大好きな人間どもならほっとかねーだろう?それにあの魔力鉱山。コイツがキモだな。死ぬほど質が高いの創ったから。『魔王討伐』の大義名分をかさに討伐後も争いが起きるぞ?国同士、利権を争ってな!」
「なるほど・・・だからあんな大国がひしめく中に魔王城を創ったんですね」
「下手に超級範囲魔法とかブッパされても味気ないから魔力は与えない。権謀術数を駆使した調略外交をされても萎えるから政治も最低限しか与えない。なにげ色々考えてるだろ?」
「つまり・・!兵士同士による武具による血で血を洗う肉弾戦が毎日の様にみれるワケですね!アレ好きなんですよ!わたくしの世界では魔法戦はおろか、発展してからは鉄砲戦・・兵器戦・・いやあ!味気ないのなんのって!やっぱり戦争は剣ですよ!弓ですよ!」
「お前本当に【創造と平和の女神】か?・・まあいい。唯一の心残りは『ユニークスキルは変えることが出来ない』。これだけだったんだがな。生まれつきのヤツだからダメだと。なんだそりゃってなったよ」
「あ~!それ分かります。スゴい分かる。お気に入りのキャラメイクした後に1つしっくりこないトコがある、みたいな。【魔王】なのに『信じる心』持ちとか・・どうなんだそれ、って感じですよね。そんなことよりわたくしは創造と平和と美のーー」
「賽は投げられた。後は簡単だ。まあ見ていろ。この世界の平和が崩れていく第一歩だ」