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感想ありがとうございます

初感想だったんでとてもうれしいです

『ーーというわけでここに来た次第だ』

 

「・・何をおっしゃってるかイマイチ理解しかねますが? 我が【ホージョー国】があなたの【魔王国】と、同盟を結ぶとでも?」


『・・・。説明の仕方が悪かったな。というか。魔王国の使者の俺が、だ。『ホージョー国の城』ではなく、こうしてコソコソここ『フーマの里』に来てる時点で察してほしいが』


「フフ・・俗に言う『命乞い』、ですか?他の国でもいるんですよ。『暗殺から手を引いてくれ』って。なんでもするって。もちろんホージョー家には内密にね」


『それも違う。まず。同盟なんてそんな平和的なこと滅相もねえ。そして我ら魔王国はたかがイチ暗殺集団のフーマを脅威とは見ていない。所詮暗殺集団(笑)だろ』


「きさま・・! 言わせておけばっ・・!」


『ああ・・いや。こんなどうでもいい話じゃなくてな。どうせウチの国にもお前さんのトコの間者、ってヤツが紛れているんだろう?なら、今回の暗殺。どうなったか分かるはずだ』


「きさまはっ・・! 我がフーマ集団をっ!」


『え?まだ引きずってる感じ?いや、悪かったよ。ホントに言い過ぎた。・・・ところでお前らの送った暗殺者は既に失敗したぞ? というか寝返りだ寝返り。で、だ。どうせ超一流を自負してるなら『裏切り者には死を!』とかそんなんだろ?』


「超一流・・? フ、フン。少しは分かってるじゃないか」


『・・・。食い付くトコそこ?まあいい。お前らの送った暗殺者がね。ウチの大将の大のお気に入りでね。まあ、つまり。この暗殺者を何も言わずにスルーしろ、ってコトだ』


「超一流。超一流たる我々が・・首を縦に振るとでも?」


『お前それ、結構気に入ってるじゃねえか・・・勿論タダじゃねえーー』


「!?」


『手のひら大の魔力鉱石数えて100個だ! その目を開いてよーく見な!!』



ズッシリ・・・



「ーーおい。カシラを呼べ」


「カ、カシラですかい!?」


「そうだ。早くだ。大事な商談、があると」


スタッスタッスタッスタッ・・・!


『へえ。物分かりはいいみたいだな。話が早いヤツは好きだぜ?』


「それよりあれ・・・お前のトコの馬だろう?ヤメてくれないか? ウチの馬に片っ端からションベンかけるの」

 

『・・・』




ーーーーーー




「ヨ、ヨウコさん。ど、どう?この国の水源。ここから・・みんなの井戸に水が行くらしいんだ。キレイな水でしょう?」


「本当に・・凄く綺麗だ。全てを忘れちゃうくらい・・」


「これから毎日見れるよ? 見に・・来ようよ?」


「毎日は・・無理かもしれない。でも・・」


「でも?」


「来て良かった・・・本当に」


「そ、それでね? ヨウコさん? 昼はここでお弁当食べるんだ。この見晴らしのいい特等席で、さ。ど、どう?」 


「・・・」


「だ、大丈夫!大丈夫! ハハッ料理は得意なんだ! とびきりの弁当作るからさ! 今日も・・ホラ!作り過ぎちゃったかな?」 


「ユキムラ君、ありがとう。実は朝、ちょっとだけ迷ったんだ。本当にちょっとだけ。でもやっぱり。ここに来て。ここにいて良かった」


「ハハハッ! ヨウコさんはもう魔王国の一員なんだ!逃げよう、たってそうはいかないぞ~?」


「コ、コン・・コン!」


「ヨ、ヨウコさん? 泣いて・・るの?もしかしてその・・不味かった!?」


「コン・・おいしいよ。すごくおいしい」




ーーーーーー




『呆気なく商談成立か。クク・・まあ小娘一人にあの魔力鉱石100個だ。神様だって首を縦に振るだろうよ。終始バカにしたような態度が気になったがな』


ガサッ・・・


「ーーおい」


『ムッ・・殺気。お前は・・!先程の・・・超一流』


「・・・」


『クク・・おこぼれでも貰いに来たか? 残念だったな。宝石箱に入れたあれで全部ーー』


「お前マジか?」


『? なんのことだ?』


「なんのコトもなにも・・・あんな女狐一匹に大層な代物だ。正気の沙汰じゃねえ」


『・・・。まあ乗り掛かったフネだったからな。ウチのバカ大将に話をしたら2つ返事だったよ』


「元は動物、でもか?」


『なにっ!?』




ホー・・ホケキョッ・・・




「やはり知らなかったか。我らフーマからしたら何も知らないバカな敵国にこんな情報。渡す必要もないのだが。お前には・・・その・・超一流!そう。超一流の借りがあるから・・」


『・・・。お前。『女狐一匹』って言ったよな? あれは。『悪女』って意味か?それとも・・』


「そのまんまだ。妖狐のメス。小さい頃から、な」


『!!』



【妖狐】

絶滅危惧種の知能の高い狐。東部『サガミ』を中心に広く生息する。家族による集団生活を好むが、それ以外の同族間同士は閉鎖的である。特徴として人間に『変化』できるが必ず1日に1回、元の姿へ戻らなければならない。ただし極まれに例外もいる。



「・・我らは間者を通して【魔王】の力を目の当たりにしている。そこから出した結論。超一流故に『暗殺は非現実的且つ非効率』との考えに至った」


『だからと言ってフーマは・・あんな不安定なコを?』


「体裁だ。つまり『狐組』の出番だ。ヤバそうな任務は大体妖狐のアイツらだよ。動物のな」


『フーマは・・ていのいい・・『飼育』をしていたのか?』


「冷静に考えてもみろ?この平和なご時世。人間様に小さい頃から生死の訓練をさせたり呪いの順応化みたいなヤバい真似させるとか・・ないだろ」


『そしてお前らは・・幼い妖狐を乱獲して・・暗殺の道具に。神さえも思いつかぬ悪魔の所業・・・』


「・・・。まして唯一神の信仰厚いホージョー国だ。非人道的なコトはしない。だが超一流のフーマは質も数も落とすワケにはいかない。そこで動物様の出番、ってワケだ」


『アイツは・・ヨウコは人間だ。・・ステータスにもそれらしいコトは・・!』


「ステータス・・? ヨウコな。あのバカ。身内の狐が死んで死んで小さい頃からイカレちまいやがった。最後まで自分のコトを人間と思い込みやがって。チッ・・・俺の事を『兄ぃ』と」


『いびつな程強い思い込みによる『修正』、か。チッ・・考えてみればあの、およそ獣人より余程流暢な言葉。・・・だが。』


「だが?」


『それがどうした?』


「なんだとっ?」




ホー・・ホケキョッ・・・




『動物だからどうした? 獣だからどうした?関係ない。アイツは意志疎通をしっかりとしている。イカレてなんかいねえ。もはや魔王国の貴重な戦力。クク・・混乱させようとしても無駄だったな』


「分かってねえな」


『なにっ!?』


「・・・妖狐の平均天寿は知ってるか?」


『10~15歳、くらい』


「いかにも。そして・・ヨウコはなんと17歳だ。高齢も高齢。ヨウコの仲間の狐は・・当然みな死んでる」


『言っておくが。ヨウコはあの悪魔の様な薬で死んだりしないぞ? 魔王国の天才とやらが治してしまうだろうしな』


「・・・!治せるのか!?」


『あ、ああ。多分だがな。天才が居るって聞いた。優しくて天才。』


「・・・仮にヨウコが治ったとしてもな。天寿からは逃れられない」


『天寿どころか割とピンピンしてるぞ? それにあのルックスだ。フフ・・その内どこぞのバカな彼氏とか作っちゃったりするかもな』


「・・・ヨウコを幸せにするな」


『は?』


「以前あったことだ。俺は・・ヨウコの事は小さい頃から知ってるが・・アイツが10歳を超えた時だ。天寿が来たんだ。」


『言ってる意味がイマイチ分からないが?』


「アイツが自分自身を『人間』と思い込んでるのは孤独、絶望。からくる精神の異常みたいなもんだ。唯一の・・まぁなんだ。身内っていうのか。が近くに居ることによってコレが薄れてしまった」 


『この世界の孤独。絶望が薄れたと?』


「完全に見えた『思い込み』は完全じゃなかった。そして・・その身内とやらは死んだ、ってコトにしてヨウコに伝えたらだ。チッ・・ヨウコは泣き、そして絶望した」


『その身内は? 狐か?』


「・・・違う。まあとにかくだ。体調は回復した。それ以来ずっとな」


『お前・・・』


「アイツはもうとっくに死んでるんだよ。生きるには・・人間としての天寿が必要だ。人間であるという思い込み。自身が妖狐であることさえ忘れてな」


『・・・』


「つまりそのためには不幸であり続けるしかない。『幸せ』になれば瞬間、自身が人間ではない、と気付くだろう」


(自身が妖狐であると認識してしまうとーーか)




ホー・・ホケキョッ・・・




『お前、名前は?』  


「・・・コタロー」


『コタロー。まあお前がウソを言ってないのは分かる。何故か分かるんだ。ヨウコが天寿の際色々試行錯誤したのも何となくな。』


「俺は何もしてないっ・・! 何もっ・・・!」


『一言言うとな。ホージョー家が信仰する唯一神ってのが本当にいたとしたらな? 平和だろうが紛争だろうが妖狐をどうとする権利は人間様、どころか神様になぞも無いってもんだ』


「所詮!所詮動物だっ!」


『じゃあお前』


「!?」


『なぜ泣いている・・』




ホー・・ホケキョッ・・・




パカッパカッパカッ

パカッパカッ



『・・・。【森羅万象ウキペデア】』



【天寿】

天寿 - 予め定まっていると考えられる寿命





4.回避方法

ない。







パカッパカッパカッ

パカッパカッ

パカッ・・・




(「小さいころから訓練の日々。寝る前は無理矢理この剣を持たされて呪いにうなされる・・・ツライ日々だった。一緒にいた同世代の仲間達も訓練で死に・・・任務で死に」)


(「ああ、この剣な。眠れなくて剣を振るってる。本当に眠れなくて・・体中が興奮してる。これからの。新しい生活の期待感」)


(「これからずっと・・・夢を見られる? こんな私がか?」)




『クソッ!』


パカッパカッパカッ・・・

パカッパカッ・・・

パカッ・・・

どう・・どう・・



・・・!?



『・・・よ、よう女神。こんな城下町の片隅で目ェ腫らして。お前が拷問してねー日とか珍しいよなあ? 雨でも振るんじゃないか?』


『・・・』


『死んだのか』


『・・・』


『お前。【時間逆行】何百回使ったって言ったろ。やっぱりその・・・こういうコト。数え切れないくらいあったのか?』


『・・・』


『まさか1日だとはな。たった1日間。1日間で認識するほど・・・そんなに・・そんなに今日という日が・・幸せだったのか。』


『・・・』


『最後になんて言ってた?』


『ありがとう。私の【魔王】様、と』

 

『・・・そうか』



カァ~カァ~

カァ~カァ~



『この世界・・この国にいると・・調子が狂う』



カァ~カァ~

カァ~カァ~



『来るべきではなかった・・・クソッ! ここの色んなバカどもに関わってしまうとっ!』




「グッ・・グッ・・」


『・・なんだ獣人?肉ならねえよ? あーそうだ。聞いて欲しいことがある。実は俺神ーー』


「イモクッタ・・」


『えっ?』


「オマエノハタケノ、イモ、クッタ。ウマイ。トテモウマイ」


『・・・』


「オシエロ・・」


『!』


「イモソダテル・・タクサンツクル。イマスグニ! イジワルナニンゲン・・・」


『フフッ・・ハハハッ!』

 

「グルルッ・・モシオシエナイノナラッ・・・!」


『ああ。教える。教えてやる。無理矢理にでも。いっとくがな。あんな規模じゃないぜ?クク・・覚悟しとけよ?なんせこの国には人手が足りないんだからな。イヤと言う程教えてやるよ』

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