12
「ナニ、ヤッテイル・・・」
『ん?ああこれか?種植えだよ。種植え。そしてこっちはサンプルの穀物。イモだよイモ。何故か我らがマリア様が内政にやる気だしてくれたからよ?その下準備ってヤツだ。クク・・ボロ雑巾のように使ってやる』
「ニク、ジャナイノカ・・・」
『何処をどう見たらコレが肉に見えるんだよ。猫型ロボットの肉成る木じゃねえんだぞ。こうして見本を作んないとお前ら、意地でもやらねーからな。言っとくが・・タダの種じゃないぞ?『2期作』用に品種改良した魔法の種だ。フフ・・収穫後更に土壌は豊かに成りあらゆる環境下でもーー』
「ニク・・・モッテルカ?」
『え?何お前。たかりに来ただけ?この状態で肉持ってると思う?いや。あったわ。干し肉。示し合わせたかのように懐にあった。つかお前獣人だしな。おおかた匂いに釣られてきたんだろ。いいわ。やるよ、やる。』
「グルル・・・モットダ・・モットヨコセ・・」
『この流れでなんで怒られる感じに?絶対今の俺、いいヤツの流れだったろ。てかさ。ちったあ感謝の1つくらいしろって話だ。完全なクレクレじゃねえか』
「シュン・・・」
ドタッドタッドタッ・・・
「トウチャン・・・オニク、タリナイ」
「ガマン、シロ。イジワルナニンゲン・・。ソレダケシカ、モラエナカッタ」
「ヒモジイヨウ・・・ヒモジイヨウ」
『・・・』
(イヤ・・・お前ら・・雑食だろが・・)
「・・・!グルルッ!?」
『!?ど、どうした!?』
パカッパカッパカッ・・・!
パカッパカッ・・・!
パカッ・・・!
【魔王】が抱えしその女
見れば細い体に纏いし和の軽装
腰には2本の剣を携える
その整った顔立ちに頭部のキツネ耳が印象づける
「君はっ・・・!スマナイッ!この人を助けてくれないかっ!?」
『そ、その和風ネコ耳は・・!?とにかく分かった!・・・じゃ、ねえよ。ったく。今、お前が抱きかかえてる女な。明らかに【勇者】の出でたちじゃねえか。知ってた?お前の敵だよ、敵。助けて、じゃないよ。何処に【勇者】を介抱する【魔王】がいるんだよ』
「グルルルルッ・・!」
『ほら勘の鋭い獣人さんもビビってるじゃねえか。分かったらさっさとその女を、めが・・聖国の姫様のトコ持ってくんだよ。あの拷問狂のバカ。見れば美人だしスタイルも、いい。姫様、狂った様に喜ぶぞ』
「それは・・そうなんだがっ!」
ジロジロッ・・
ジロジロッ・・
ジロジロッ・・
(これはっ?ははーん・・なるほど)
『いいよ。治すって。治す治す。誰かさんから何個か盗んだ【アルテミスの水】が手元にあるんだ。どーせ1発だろうよ。このチート水』
「・・・!すまないっ!恩に着るよっ!」
『・・・』
ヨウコ(17)
格付け:A
職業:暗殺者
------------
政治 1
武力 42
→『ステータス』
Lv:45
Hp:322/322
Mp:0/36
武勇 87
統率 12
魔力 16
『スキル』
剣術 (熟練) 暗具 (4) 忍術(1) 暗殺 隠密 即死無効
『ユニークスキル』
二刀流
『経験値』
1257P
状態:気絶
『あー悪いな獣人。家とベット借りちゃって』
「イジワルナニンゲン・・コレハ『カシ』ダ・・・。マオウノタノミ・・コトワレナイ・・」
『・・・。まあこの女。Mp・・魔力切れによる気絶・・だと思うな。っていうか。やっぱ殺そう。今のうちに』
「なんでだよっ!」
『コイツからは・・なんか禍々しいモン感じるんだよな。絶対殺しといたほうがいいって。信じろって。な?な?』
「サンセイダ・・コノオンナ・・・マオウニトドキウル・・」
(分かってるじゃねえかクソ獣人。コイツの武力はともかくその片寄り・・武勇87!獣人?にしてもこれは・・。武勇99の【魔王】には届かないが80の壁を越えてきた。79と80では大きな開きがある・・)
「そんな?騙しうちのような真似っ!俺には出来ないっ!」
(武勇は正に『個』の力みたいなもんだ。【勇者】には一番遠慮願いたい数値。オマケにこの・・暗殺するために生まれてきたかの様なスキル群だ。状況によってはひょっとする)
『・・・』
魔剣ムラマサ
近接武器
レアリティ B
効果 武勇+5。即死付与
装備条件 ユニークスキル『魔剣装備』
※名工が作りし呪われし魔剣。装備すると装備者の生気を吸いとる
(おまけにこの禍々しい剣だ・・それも2本!二刀流する気か?これ。装備されると・・・武勇87+5×2の・・97!コイツ間違いなく。ガチ勇者だろう。それもA級の)
「利用・・・されているのかもしれないっ!」
『ん?』
「以前言ったろ!?『利用される勇者を保護する』って!忘れたとは言わせないぞっ!こんなあどけないコ!利用されているに決まってるんだ!!」
『いやな俺・・なんか分かるんだよ生まれつき。ソイツがどれくらい修練積んだのか大体な。そして今。お前・・『あどけない』って言ったな?とんでもない。剣術は達人の域だし相当・・鍛えてるよ。それこそ幼児のウチからずうっと。まあ修羅。阿修羅ってレベル』
(何よりLV45!コイツ・・17歳でやり過ぎ。修行し過ぎだろ)
「なんだよっ!その生まれつきとかいう急なチート設定!ウソつくんじゃないよ!絶対殺させないからなっ!」
『お前何処でチートなんて言葉覚えたんだよ・・・はぁーッ。まあいい。言っても【魔王】に。水持った俺も居るんだ。なんとかなるでしょ。今、治す。治すってば。だから立ってないでーー』
「ホ、ホントかっ!?すまないっ・・・すまないっ!ホントに君ってヤツは・・!」
(イヤイヤ。どんだけ女に弱いんだよユキムラ君。そいえばコイツ。過去に女に騙されたんだった・・っけ?あれ?治していいのかな。これ。完全にフラグ立つような・・・)
トクットクットクッ・・・
トクットクッ・・・
トクッ・・・
「き、気が付いたかいっ?」
「ハッ!・・・ここは?私は一体・・」
・・・・
・・・
「コン・・私は倒れて・・・すまないッ!お主達は命の恩人だ」
「・・・」
『(あのバカッ!見とれてやがるっ!)あ、ああ。ちょっとした農民の善意、ってヤツさ。だけどな。結構治療に元手が・・クク・・報酬ってモンじゃねえが。なあに。あんたには2本あるんだ。1本くらいその立派な剣をーー』
「ヨウコさんの大切な剣だぞっ!そんな事!この俺が許さないッ!」
『・・・』
「あげたいのは山々だ。出来ることなら。本当に・・。だが。やらなければいけない事があるんだ」
「ヨウコさん・・!その・・やらなければいけない事って・・・」
「・・・【魔王】を倒す事」
シーーーーン・・・
「グルルルルッ・・・!マオウ、ヤサシイ!キガイ・・・クワエルヤツ・・!」
「わあ!ちょっと待ってって!」
『まあ俺に任せろって。フフ・・ここは既に魔王国。お前のその言葉はーー』
「ヨ、ヨウコさん?その【魔王】を倒すのって・・誰かにやらされてたりしない!?君はやりたくなかったりしない?」
「!?」
(ユキムラ君。あかん・・・ド直球過ぎる・・・)
「・・・その通り」
『は?』
「その通りだっ!私はやらされているッ!だいたい。この国に来て思った!お主達に助けてもらって思ったッ!こんな美しくて平和な国・・・噂とは全然違うじゃないかっ!」
『えっ?マ?ガチ勇者だよ?君?』
「相手が苦悶の表情で死ぬ顔・・なんの恨みもないのに・・。夢に出てくるんだ。毎晩殺した人の死に顔が。私はもう・・生きる資格なんて!」
『ガチ勇者・・阿修羅・・・』
「暗殺なんて・・・もうウンザリなんだ・・・」
シーーーーン・・・
「わるくないっ!」
「な・・に?」
「ヨ、ヨウコさんっ!君は・・悪くないよ。悪くない!悪いのは君を・・利用する人達だっ!ヨウコさんは道具なんかじゃない!だってスッゴく・・」
「スッゴく・・なに・・?」
「その・・・キレイなただの女のコなんだからっ!」
「・・・!」
カァーーー!
「コン!コン!そんな風に・・言ってもらったのは初めて・・デス」
「ヨウコさん・・」
(えっ・・ウソ・・・ですよね?夢?こんな・・チョロいの・・・今時のガチ勇者・・)
ーーーーー
「この家なら空き家だから・・大丈夫だよっ!」
「本当にいい・・のか?たしかに・・この国に住めれば夢のようだ、とは言ったが・・」
「帰りたくないんでしょ?気のすむまでここにいるといいよっ!」
「すまない・・ありがとう。何から何まで・・」
「い、いいんだよ!何か困った事があったらなんでも言ってね!そ、そうだ!今度歓迎会するよっ!みんないいヤツなんだっ!ヨウコさんも・・・お互いきっと仲良くなれるよっ!」
「グルルルルッ・・・」
「こ、こらっ!とにかくっ!へへっ魔王様とは俺、仲が良いんだっ!言っておくから!その・・・キレイなコが魔王国の住人に増えたって!今は・・・もう普通の女のコなんだ。ゆっくり休んでね」
「ユキムラ君・・」
「ヨウコさん・・」
「あ、明日も!」
「明日?」
「明日も・・来て・・くれるんだよねっ?」
「も、もちろんっ!もちろんっ!約束するっ!絶対行くよっ!」
パカッパカッパカッ・・・
『まあ・・うん。なんかスミマセンね。うん。なんか殺そうとして。なんかしっくり来ないけど』
「いいんだよっ!君は助けてくれたしっ!フフ・・やっぱり俺の言った通り。いいコだったろう?」
『はい。その通り。言った通りでございます。因果チェッカー決意チェッカーもオールクリア。怪しいところは特にございません。なんでしょう?この敗北感・・』
「因果?とにかくっ!明日もヨウコさんのトコ行かないとっ!急な引っ越しなんだっ!これから毎日行かないとっ!忙しくなるなあ!」
パカッパカッパカッ・・・
『クソッ・・ドヤ顔しちゃって。』
パカッパカッパカッ・・・
『良かったじゃねえか。愛しのハニーが出来そうで・・・そのうちチート魔王でハーレム作っちゃったりってか?アイツ・・過去は大変だったみたいだしなあ。クク・・まあクズでゲスな俺だが。応援してやるか。一応』
パカッパカッパカッ
パカッパカッ
パカッ
・・・
『神器【森羅万象ウキペデア】。寝る前に見るのがささやかな楽しみだぜ。おっ・・これは・・ユキムラ君のハニー。チョロい獣人。ヨウコさんの剣の項目か。あの女。1本くらいくれても・・』
神器【森羅万象ウキペデア】!
神界でのみ創られる幻の超レアアイテム!
【森羅万象ウキペデア】はこの世のあらゆる情報を網羅した大辞典!
さらにさらに神界の情報もちょっと載ってるオマケつき!
これはまさしく・・・幻の超レアアイテムだ!
『・・・』
【魔剣ムラマサ】
魔剣ムラマサ(まけんむらまさ)は刀工の名。または、その作になる日本刀の名。同銘で数代あるとみられる。別称は「千子村正」(せんじむらまさ、せんごむらまさ)。
この項は伝説級の刀、『妖刀村正』ではなく、亜種の『魔剣ムラマサ』について表記する
『ホジホジ・・・へえー』
主訓練など、が必要となる。
3.呪いによる症状
症状は、関節痛、頭痛、肩こりなど局部症状、および発熱、倦怠感、のほか、Hp減退など。
長時間装備していると症状が大幅に悪化する。
※ユニークスキル『魔剣装備』を所有してない装備者は、これに加え本人の意思とは関係無く『強い殺意衝動』が加わる
4.呪いの順応化について
『これは・・・!』
※ユニークスキル『魔剣装備』を所有してない装備者は、これに加え本人の意思とは関係なしに『強い殺意衝動』が加わる
ガタッ!
『クソッ!寝る時間だというのにっ・・!』