第八話/ちなみに私は未だにジャスコと呼んでいる by十八番
デビュー戦を勝利で飾った私は、尋常ならざる筋肉痛に襲われていた。具体的には腰。ボーリングを遊びつくした翌日のような、じわじわとした痛みが腰から離れない。おかげで椅子に座るのにも一苦労だ。しかし痛みが翌日に来てくれる辺り、まだ私は若いのだと心のどこかで安心した。大丈夫、私はまだ若い。
そんな中、先輩が唐突に一言放った。
「チャンバコ、そろそろステッキ買いに行こうぜ」
「はあ」
私は冴えない声で答える。ステッキですか。
「一応ウチらの決まりでは新米が初戦終わったら専用のステッキ買いに行く決まりになってんだ」
「そもそもステッキって買うモノだったんですね」
そういえば。と、先日やってきた福沢さんのことを思い出す。そういえば彼はステッキを作る会社で働いているらしいし、文脈から考えてまあ買うモノなのだろう。一体どんな買い方をするのか。
ぼんやりと考えを巡らせる私をよそに、先輩はテキパキと荷物をまとめる。
「じゃ、いこっか」
「どこへいくんです?」
まさかダイアゴン横丁なんて言い出さないだろうか。そんな緊張感が私を包み込む。
身構える私とは打って変わって、先輩は軽い調子で手を振った。
「イオンだよ、イオン」
「イオン」
それはそれでアレだ。なんと言うか、アレだ。