第1話
ここはソフィーア王国がおさめる国。
自然豊かな美しい国である。
争い事が全く無い…わけではないが、国民は穏やかに暮らしていた。
その隣の国。
トレゾァ王国はとても貧しく、贅沢な生活は出来ない状態ではあったものの…
王様のモットーで国民は大切にされ、心豊かに暮らしていた。
『あぁ…
今日は良い天気だな。
たまには散歩も良いもんだな。レイナ』
『トレゾァ王国の王子ともあろうお方が、城下をウロウロされてて大丈夫なんですか?
しかも、この当たりの土地からはソフィーア王国じゃないですか!
私がついておきながら、命でも狙われたら…
王様に顔向け出来ませんよ。』
レイナは当たりを気にしつつ、落ち着かない様子だった。
『お前気にしすぎなんだよ。
こら!後ろ見すぎ!!
変なヤツだと思われて、逆に怪しまれるだろうが。
まっ、お父様のことは気にしなくていいぞ。
もし命を狙われたら、無言の帰宅になるだろうし…
アハッ!アハハッ!』
レイナの不安をよそに、呑気に笑うトモであった。
『まったく…
こんなんで国を継ぐ事は出来るのかしらねぇ。』
レイナはあまりの情けなさに小言を言い始め、トモがついて来ないことに気付かず一人歩いて行った。
『…いいですか。
王子であるからには、この貧しい国の為にも、どこかの姫と結婚して、後継ぎを育てなければならないのですぞ!…って聞いてます!?』
レイナが振り向くと…
遠くでアホズラをかいている、トモの姿があった…
『あのアホ王子…
また面白いものでも見つけたかな?
まったく世話がやけるなぁ〜』
不機嫌なレイナの顔を見ることなくトモは口を開いた…
『なぁ…
レイナ…
僕…
天使を見つけたよ…』
トモの視線の先には…
言葉では言い表せないくらいの…
美しい女の子がいた。