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241.~250.

241.

ロープを引っ張って強度を確認する。これなら大丈夫だろう。椅子を持ってきて乗る。輪に頭を通す。ちょっと耳がつっかえたけど。休むことなく動いていた眼球がひたと僕を見た。ペタペタ這ってきて嬉しそうに椅子を引き倒す。ばかめ。もうお前の手は届かない。


242.

胸の谷間に熱い液体が滴り落ちる。男は恍惚に顔を歪める。昔もいなかったわけじゃないけど、最近は痛めつけることに喜悦や快楽を感じるやつが多過ぎる。ワタシは嫌悪感を堪えながら、更に深く男の喉に爪を突き刺す。気持ち悪いやつが多いけど、人間は毛皮が少ないから楽なのよね。


243.

最近、食欲が凄い。食が細いわけじゃないけど、朝は気持ち悪くなっちゃうから食べなかった。けど今はカレーとかヤキソバ食べれちゃう。昼も夜もお腹が空いて堪らないのでバイキングを荒らし回っている。でも太らない。羨ましがられるが、たぶん原因は背中に生えてきた茸の所為だろう。


244.

ベッドの真上に雨漏りの滲みを見つけた。水が垂れてきているわけじゃないが、大雨がくれば浸食は免れないだろう。どこに頼めば修理してくれるのかな、と思いながらベッドに入った。夜中頬にポタリと水滴。目を開けると、人の顔に似た滲みの口から垂れる水。私はライターに火を着けた。


245.

これは…鬼、なんだろうか。鬼といえば二本のツノに虎柄のパンツ、あと金棒?赤とか青とか色々いる。コレは大枠はそんな感じだが、もうちょいぬめぬめしているし要所が内臓っぽい。ソレはあちこちから響く豆まきの声に怯えたように庭に駆け込んできて、おもむろに庭の犬を喰い始めた。


246.

暦の上では春だというが、まだまだ冬だ。それどころか僕の家のまわりでも雪が積もった。さくさくと浅い雪を踏んで歩いていると、時々昨夜撒かれた豆を踏んだ。いく先の電信柱の下に雪の山がある。誰かが集めたのだろうか…近付いて見れば、それは全身穴だらけで息絶えた赤鬼だった。


247.

寒かったし疲れていたので、牛乳を温めてココアを作った。眼鏡を曇らせつつ味わう。何か塊を呑みこんだ。溶けきっていなかったココアパウダーかなにかだろうか?なんだか胃が痛くなってきた。腹の中で何かが暴れているかのようだ。暫く耐えていると、少しずつ静かになった。


248.

凍える寒さで硬くなった庭土をものともせず、巨大な樹が育っていた。昨日の夜までなかった。人の胴体よりも太い幹が捩じり合わされ、庭いっぱいに根を張り、雲まで届く樹冠が我が家と周囲に影を落としている。ふと思いだしたのは、節分の夜の嬉しそうな娘の言葉。「青鬼やっつけた!」


249.

掛け布団が冷たい。出社中に暖房をつけっ放しにはできないから、一人暮らしの部屋は容赦なく冷え切ってしまう。帰宅してすぐ暖房つけるが、建物に沁みた冷気には敵わない。風呂で温まった体から容赦なく熱が奪われる。息が苦しい。熱を求めて布団が軋む。自分の骨が折れる音がした。


250.

関東にあるまじき大雪の中、無理な外出は控えろというが、停電した我が家には灯油ストーブのみ。灯油は残り僅か。手に入れなければ生まれたばかりの我が子の命に関わる。もうすぐ家だ。角を曲がるとまっさらな銀世界。ぽつねんと私の手作りの郵便受け。傍らに巨大な足跡が残っていた。

そろそろストック分が消費されて追い付かれそうです

現状1週間に10話ずつ纏めて更新しておりますが、追い付かれ次第1週間に7話か、10日で10話纏めて更新のどちらかになるかと思われます


今後とものんびりご鑑賞いただきたく思います

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