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011.~020.

011.

減量目的で始めたハイキングに思いのほかハマって数年。山は危険であることを念頭にしていたのだが、ついに今日運命が尽きたらしい。粘液塗れの黒い紐が蠢く木のような象のような生き物が熊笹の藪を割って現れたのだ。唐辛子スプレーを構えた手にぬるりと黒い触手が巻き付いた。


012.

雨後の筍とはよくいったもので、雨の後の竹林は密度一気にが増える。筍の食べごろは頭が出るか出ないかで殆ど地中に埋まっている奴だ。地面の僅かな膨らみを探すうち、人間ぐらいある茸を見つけた。ぼふぼふと湧き出る黒い胞子を吸い込んでしまい、根が生えたように動けない。


013.

久し振りに腹いっぱい食べて満足し、窓を開けて風を入れつつ俺は部屋の真ん中に大の字に寝転がった。タタタと軽い音に顔を上げるととても美しい猫が窓枠に座っていた。金色の瞳をつり上げ一声鳴くと無数の猫が部屋になだれ込み俺に襲いかかってきた。仕方ないだろ、腹が減ってたんだ。


014.(14日はツイノベの日お題「ぐるぐる」)

天体望遠鏡を買いベランダに置いた。今夜は肉眼でも見えるアンドロメダ銀河を探す。淡い天体なので時間がかかったがぼやっとした輝く雲を見つけた。嬉しくて見入っていると星雲がぐるぐる渦を巻き始めた。ぐるぐるぐーるぐる。私はベランダの手摺を乗り越えた。


015.

あの不思議な鏡で過去の世界を覗いてから、俺はあの猟犬に追われている。奴らは部屋の隅のような鋭い角度からやってくる。撃退方法を探す日々の中、ネットで噂を見つけた。自殺者が多発する山道を走り抜ければ振り切れると。俺はトップスピードのまま死の急カーブへ突入していった。


016.

仲間と一緒にホームレスを殴っていたら、荷物から酒を見つけた。とても綺麗な金色で、興味本位で飲んだら味わったことのない心地好い酩酊感。仲間ともども陽気になって脳裏に浮かんだ意味不明な言葉を唱えながら踊っていたら、でかい蟻の化け物に捕まって、今宇宙を飛んでる。


017.

私の田舎は雪深い村だった。毎年吹雪で村の半分が埋もれてしまうが雪風の神に生贄を捧げているおかげで村人は無事に春を迎えられた。こんな都会にも雪風の神は来てくれるか案じていたが流石は神だ。夫は今朝、高所から落とされたように上半身が真っ直ぐ土に刺さった姿で見つかった。


018.

お囃子が聞こえる。携帯電話で時刻を確認すると深夜の3時。この時期、しかもこんな時間にお祭りなわけないし、練習もあり得ない。じゃあTV?ラジオ?私はベッドから起き上がり、カーテンを開けた。一面霧が広がっていた。私は窓を開け、霧の向こうで踊り狂う影の方へ走りだした。


019.

銃(?)を拾った。最初は特撮系の玩具の銃かと思ったが異様に重い。生物的だが、やっぱり銃としか言いようがない。いじり回していると窓を破って虫っぽい生き物が『銃』を向け、撃った。俺も反射的に撃ち、相討ちになった。やっぱり銃だったと思いながら、俺はばらばらになった。


020.

10年大切に飼育していたワニが死んだ。名前を呼ぶと来てくれたし、お互いに怪我をするようなこともなかった。埋葬してから数日後、近くの川が決壊したが家に被害はなかった。豪雨の中、ワニの頭の男性が玄関前に立っていたと噂になったが、うちの子はメスだから無関係だろう。

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