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_第二話

 おそらでお月さまがほほえんでいます。

 きみはお月さまに、

「こんばんは。」

 とあいさつしました。


「こんばんは。」

 お月さまはうれしそうにへんじします。


 しかし、

「それはニセモノのお月さまだ!」

 魚がそういったのです。


 海のなかには、もうひとつのお月さまが、ほほえんでいました。

 魚は、これがホンモノのお月さまで、おそらに見えるものはニセモノだというのです。


「いいや。海のほうがニセモノだ!」

 きみはいいました。

「ちがうね。おそらに浮かぶなんておかしいじゃないか。」

 魚もじしんをもってこたえます。


「そっちがニセモノだ。」

「いいやそっちがニセモノだ。」

 と、おさまりのつかないようすです。


 きみと魚を見て、

 おそらに浮かぶお月さまも、海に浮かぶお月さまも、

 こまった顔をしてほほえんでいました。

 どちらがホンモノなのでしょうか。


 しばらくいいあいが続いて、ふたりともつかれてしまいました。

 そこで、

「そうだ。カメさんにきいてみよう。」

 という話になりました。


 カメさんは、陸のうえでも、海のなかでも、いきてゆけます。

 そのカメさんなら、きっとどちらがホンモノかわかるはずです。


 きみと魚はききました。

「カメさんカメさん、お月さまは、おそらと海、どちらにいるのがホンモノなの?」


 するとカメさんは、ほほえんで、のんびりとこたえました。

「どちらもホンモノだよ。どちらも、きみたちにほほえんでくれるじゃないか。」


 そのことばで、きみと魚は仲直り。

 いっしょに自分のお月さまに、

「おやすみなさい。」

 とつたえて休みました。



 そのころ、うちゅうでは、

 ちきゅうのとなりで、

 ホンモノのお月さまが、

「どちらもぼくの、レンズにうつった像にすぎないのに。」

 と思っていました。

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