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「ヴィアがグントに跳ばされたって!ふが」

 メクレルは口から手を離す。

「すまん」

「いや……」

 メクレルも言葉に詰まる。

 確証は無かった。

 僅かに、痕跡を読んだだけだ。

 リヴィア・ファズ・ホリッシュロートン


 宿舎で有志が顔を並べていた。


 ハウリー・ヴィア。

 一言で言えば「問題児」


 但し、魔力は強大だ。

 [初代]の再来と呼ばれている。

 だから尚更なのだが。

 だからと云って……。

「当主か」

 巨漢のゴラゴがぼそりと呟く

 不承不承、メクレルは頷く。

 ロートンの「御家騒動」の噂は、仄聞程度には有名だ。

 当主は極めてリアリスト。

 ヴィアの親父は。

「魔道再興とか。俺らだっていわんぜ」

「しかもヴィアを旗印に、かよw」

 しかし当代は本気のようだった。

 本気と書いて真面と読む。

「で、なんでヴィアが跳ばされるんだよ!」

 マーシュが堪らず、叫ぶ。

 目障りだし、邪魔だったんだろ。



 酷薄な自分の言葉に、場が凍りついた。


「メクレル」


「あ、ああ。すまん」


 一番動揺したのは自分だった。


 なぜ。


 俺はこんな、言葉を。


「で、どうする」





「……どうするって」


 俺達には、無国境符がある。


 また、自分の言葉だった。


 そう。ウェンスノーセ魔道軍に国境は無い。

 征くは友軍。

 征くは戦場。


「……義勇軍か」

 グントに渡るのは簡単だ。

 ポータルを経由すれば何れ、着く。


「ちょっと、貴方たちほん……正気?」

 マルガが思わず声を上げる。

「そうよ!実践、実戦になるのよ?!」

 ペナーデも唱和する。

 グントとベレアの戦況は彼らも聞き及んでいる。


 末期だ。

 グントの滅亡は近い。


 私たち、まだ訓練生よ! 魔道候補生ですらないのよ?!


 悲鳴が上がる。





 グントも、ベレアも。


「魔道後進国だ」


 俺達の、敵じゃない。



 顔から血の気が引いていく。


 なんだ、この言葉はなんなんだ。


 俺は何を喋っているんだ。


「メクレル……」

 マルガは眼を見開く。

「そう言われれば、そうかも」

 ぽつりとペナーデが呟く。


「箝口令

だぞ

かのじょ

すくえる

のは




 おれたちしかないんだ




 勝手に口が動くとまらない



 誰でもいい。

 おれを、俺達をとめてくれ。

 頼む。


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