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波紋のように広がる未来

 どういう事なのかは分からない。

 でも、お兄ちゃんがもらって来た年をとるっていう実は今のわたしにとって何よりも必要な物だ。

 神様だって名乗った天使はどうして、それを知っていたの?

 また、何かに巻き込まれそうな予感がする。

 というよりも、これから起こる事の方がこの世界に転移した本当の理由のように思える。


 その日の夜___


 幸せの島の波打ち際で、お父さんとじいじと魚族長に今日分かった事を報告している。

 お父さんはお兄ちゃんの事を覚えていた。

 お兄ちゃんには父親がいなかったから、わたしのお父さんとよく一緒に遊んでいたらしい。


「まさか陽太君が勇者だったなんて。ボクが転移した十年以上後にこの世界に来たのに、どうして三千年前に転移していたんだろう?」


 お父さんの言う通りだよ。

 ベリアルがお兄ちゃんを転移させたのはお父さんよりも後だった。

 何があってそうなったんだろう?

 それに、お兄ちゃんの話から考えるとベリアルは堕天使になってすぐにお兄ちゃんを転移させたみたい。

 それから約三千年後のこの世界に、ウリエルがお父さんを転移した?

 この歪みみたいなものは何だろう?

 わたし達、異世界の人間が転移して来たのはベリアルの暴走を止める為だってウリエルは言っていた。

 でも、ピーちゃんがお兄ちゃんだって分かったら色々とおかしな事があるのに気づいた。

 自称神様は、まだわたし達異世界の人間に何かを望んでいるんだ。 

 だから、年をとる実をお兄ちゃんに渡した……?

 

「自称神様がこの実をくれたのは、わたしにじいじとの赤ちゃんを早く産ませる為としか考えられないよ。わたしが成長するまで赤ちゃんを産まないって決めたのを知っているんじゃないかな?」


 わたしの考えは間違っているかな?

 ただの優しさでくれたとは考えられない。

 それにお兄ちゃんしか会っていないのも気になる。

 どうして直接渡しに来ないんだろう?

 本当に神様かも疑わしいよ。


「もしくは、ルゥに早く永遠に近い命を授けさせたいか……だな。もちろんその先には赤ん坊の事もあるだろう」


 じいじ……

 やっぱり自称神様は、わたし達の子供に何かをさせるつもりなのかも……


「一度、シームルグに自称神に会えるよう話してみてはどうでしょう?」


 魚族長の言う通りだ。

 ここで話していても仕方ないし。

 そういえば、お兄ちゃんはまたベリアルと出かけたけど自称神様の所に行ったのかな?

 酷い目に遭っていないといいけど。


「じいじ、魚族長? 神様ってこの世界には本当に実在するの? って言うより目に見える存在なの?」


 実際天使も見たし、いるんだろうけど……


「ああ。いる……な。()()()()()()()はないがな。過去の魔王との話し合いの場にも代理の天族が来ていたようだ」


 そうなんだ……

 人前に出られない理由でもあるのかな?

 どうしてお兄ちゃんには会っているんだろう?


「シームルグが帰って来たらもう一度話を訊いてみよう」


 じいじがそう言って髪を撫でてくれる。

 ひんやりする手が気持ちいい……


「月海? もうひとつ大切な話があるんだ」


 お父さん?

 何だろう?


「来月、月海の身体のルゥは十五歳になるよね?」


 あれ?

 誕生日の宴の事は秘密じゃなかったんだ。

 明日ヴォジャノーイのおじちゃん達に教えてあげよう。


「ルゥの双子のお兄さんが明日、パーティーを開くらしいんだ」


 パーティー?

 誕生日の一か月前に?


「お兄さんは王になったばかりで落ち着かないらしくてね。国が安定しないらしいんだ。まだ若いしね。民には人気があるけど、昔からの重鎮の家臣が受け入れないらしいんだ。ルゥがパーティーに参加する事で良い方に進まないかと思ってね」


 ルゥのお兄さんが……

 わたしの為に予定より早く父親を討ったんだよね。

 行方不明になっていたルゥをずっと捜していたっておばあ様が言っていた。


「わたし……パーティーに出てもいいのかな? 人間をやめるって言ったのに」


「月海……魔族はいつでも月海の味方だよ? 全種族王の許可も取ってあるしね。それに明日はヴォジャノーイとイフリート王が人間の姿で付いて行ってくれる事になっているんだ」


 じいじとイフリート王が?

 魔族が参加しても平気なのかな?


「ルゥのおばあ様が、月海の支度のお手伝いをしたいと申し出てくれたんだ。ドレスはヴォジャノーイが用意してくれてある。前ヴォジャノーイ妃として参加するんだよ? 人間として参加すると、月海の事を利用しようとする人間が現れるかもしれないからね?」


 魔族達はわたしがルゥのお兄さんに感謝している事を知っているから……

 わたしの為に皆で色々と考えてくれたんだね。

 グリフォン王とウェアウルフ王は人間が嫌いなのに行かせる事に賛成してくれたんだ。

 あ……

 だから今日、わたしに何かあったら人間を赦さないって言ったんだね。


 魔族の皆は、わたしの為に行かせてくれるんだから明日は前王妃として頑張ろう。

 ルゥのお兄さんにルゥの身体を使わせてもらっている事をきちんと謝らないと。

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