幸せの島と新しい家族?
気がつくとガゼボで横になっていた。
心配そうに皆が覗き込んでいる。
皆もわたしも涙が溢れて止まらない。
先に戻っていたじいじが強く抱きしめてくれる。
「じいじ……ごめんね」
何度も謝った。
何度も何度も……
もう会えないかと思った。
じいじには生きて帰って欲しかった。
いつの間にか、じいじは何よりも大切な存在になっていたんだ。
「ルゥ……もうあんな事はしないでくれ。ルゥ……」
じいじが優しく口づけをしてくれる。
優しくて悲しそうな瞳。
じいじの胸の音が心を落ち着かせてくれる。
「聖女様、もう大丈夫なのですか? 天族はどうなりました?」
グリフォン王が心配そうに話しかけてきた。
「もう悪い事はできないみたい。永遠に眠り続けるんだって」
「眠り続ける? という事は天族殺しはしていないのか?」
じいじが、抱きしめているわたしの顔を覗き込みながら尋ねてくる。
「うん。罪には問われないみたい」
ピーちゃんは大丈夫かな?
一人で置いてきちゃったけど……
わたしはどれくらい寝ていたんだろう?
「ルゥ……よかった」
ママが泣きながら呟いた。
パパもママの隣で泣いているね。
「ごめんね……パパ、ママ。心配させてごめんね……」
「もう、どこにも行かせない……分かったか?」
ママが泣きながらわたしの髪を撫でてくれる。
「うん……ずっと幸せの島にいるよ」
涙が止まらない……
こんなに愛されていたんだ。
「ヒメサマ!」
空からピーちゃんの声が聞こえる?
「ピーちゃん? え?」
初めて会った時の小鳥の姿になっているよ?
「ピーチャン、コレカラ、トリトシテ、イキテイクヨ」
え?
それって?
「テンシ、ヤクソクシタ。モウ、ユウシャ、ナラナイ」
ピーちゃん……
すごく嬉しそうだ。
「人間の姿じゃなくていいの?」
「ウン! トリノホウガ、タノシイカラ!」
そうなんだね。
これからは楽しい事がたくさんあるといいね。
もう嫌な事を無理矢理やらされなくて済むんだ。
それに、人間の姿だと『勇者になるかも』って魔族の皆から警戒されるかもしれないから……
これでよかったんだ。
「ヒメサマ。テンシガネ、コレカラモ、ホントウニ、ゴメンナサイッテ、アヤマッテタヨ」
ウリエル……
さっきは酷い事を言っちゃったかな?
でも……
やっぱり赦せないよ。
お父さんの事も二兵衛さんの事も、あまりに酷過ぎて簡単には赦せない……
いつか、わたしの気持ちが落ち着いたら謝ろう……
また会えるかな?
「ルゥ、無事にやりきったのね! ばあばは信じてたわ」
ばあば……
ドラゴンの姿の瞳にいっぱい涙がたまっている。
たまった涙がこぼれて、下にいるマンドラゴラの赤ちゃんがびしょ濡れになっているね。
でも嬉しそうに踊っているし大丈夫かな?
「ありがとう。ばあば……」
「いいのよ。かわいい孫の為だもの。それはそうと、宴はどうするの? 夕方からでしょ?」
え?
あぁっ!
つがいの宴!
でも夕方から宴って……
いつの間にか一日経っていたの?
さっきまでは前日のお昼過ぎくらいだったのに……
「どういう事ぉぉお!?」
わたしの大声が幸せの島に響いた。
……?
何これ?
わたしの身体から淡い黄色の光が溢れ出している?
この感じ……
ベリアルの力と同じ?
じいじに抱きしめられている、わたしの目の前に光が集まっていく。
何?
これはベリアルから吸い上げた力?
……!?
目を開けられないほど黄金に光った!?
ギュッと目を閉じたけど……
この光は何?
「うわっ!」
「眩しい!」
魔族の皆も目を開けられないみたい……
何が起こっているの?
「ピオ?」
え?
ピオ?
目を開けると、少し大きめのかわいい黄色のヒヨコがいる。
「うわああぁ! ヒヨコちゃんだあぁ」
パパがヒヨコを抱きしめた?
ヒヨコが大好きだからね。
でも……
このヒヨコ……
パパの顔が怖くて気絶しているよ。
「テンシガネ、ベリアルヲ、タノムッテ、イッテタヨ?」
え?
何?
待って……
そういえばさっきピーちゃんが……
ウリエルが『これからもごめんね』って言っていたって……
まさか、この事!?
「このヒヨコ、ベリアルなのぉぉお!?」
絶対絶対ぜえぇぇったいウリエルには謝らないぞぉぉぉおっ!




