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ルゥと人間のおばあ様(1)

 次の満月はいつだっけ?

 結婚式まであと何日?

 あぁ……

 結婚式といえば人生の一大イベントだよ?


 ソワソワする!


「ルゥ? 落ち着かないのか?」


 二人きりのガゼボで、じいじが心配そうにわたしを見つめている。


「だって……宴って何をするの?」


 初めてなんだもん。

 不安だよ。


「簡単だ。食事をして終わりだ」


 え?

 余興とか親戚紹介とかは、しないの?

 安心したよ。

 

「ただルゥとじいじが、つがいになった事を知らしめる為の宴だ。おいしい物を食べるだけだ」


「おいしい物? やったぁ!」


 笑顔になるわたしを見てじいじも笑顔になったね。


「宴は明後日だ。気楽に待てばいい」


「明後日!?」

 

 思ったより早いな……

 決まったのが昨日だよね?

 準備期間が三日?

 これ、たぶんヴォジャノーイ族のおじちゃん達が準備しているんだよね?

 大丈夫かな。

 無理をしていないといいけど……


「じいじ……わたしも準備を手伝いたいんだけど」


 おじちゃん達が心配だよ。


「大丈夫だ。もうほぼ終わっている」


「え? 昨日決まった宴なのに?」


「あぁ。張り切っていたぞ」


 おじちゃん達……

 ありがとう。

 張り切っている姿が目に浮かぶよ……


「ルゥのドレスも明日には仕上がるぞ?」


 ドレス!?

 ウェディングドレスもあるの!?

 夢だったんだ!

 嬉しい!


「じいじ! ありがとう! すごく嬉しいよ」


「ルゥは、じいじの隣でおいしい物を食べていればいい。防御膜の中でな……」


 じいじが、わたしの髪を撫でながら呟いたけど……


 ん?

 防御膜の中って言った?


「じいじ? 今、防御……」


「プリンできたよぉ」


 パパが家の窓から顔を出して呼んでいる。

 プリンだ!


「じいじ! プリンを食べよう?」


「あぁ、そうだな」


 じいじと手を繋いで家に入る。

 新婚さんかぁ。

 嬉しくて、くすぐったい感じ……

 幸せだよ。


 

 翌日___


「ドレスの調整をしよう」


 じいじがドレスの入った箱を持っているけど……

 ヴォジャノーイ族が作ってくれたのかな?


 箱を開けると真っ白いウェディングドレスが入っている。

 綺麗……

 レースがたくさん使われていてフワフワのドレスだ。

 あれ?

 ドレスの胸の部分に全魔族王会議の時に置いてきたイヤリングの宝石がついている?

 どうして?


「ルゥ……実は会わせたい人間がいるのだ。このドレスを着て今から出かけよう」


「え? 人間? でも、いいの? 人間をやめるって言ったのに」


「大丈夫だ。問題にならないように、イフリート王とケルベロス王も来る事になっている」


 王様達が?

 一体誰に会いに行くんだろう?


「うわぁ……」


 真っ白いウェディングドレスを着ると実感が湧いてくるね。

 鏡に映ったドレス姿に嬉しくなる。

 本当にじいじと結婚するんだ。

 あ……

 鏡の中のわたしのほっぺたがピンクになっている。


「じいじ……? 似合うかな?」


 恥ずかしそうに部屋から出て来たわたしに、じいじが微笑んでいる。


「よく似合っている。ルゥ……最高だ。さすがわたしのルゥだな」


 わたしの髪を撫でながら、ママがご機嫌で話しかけてきた。


「ルゥ……綺麗だよぉ」


 パパは泣きそうになっている。


「姫様。お美しいです」


 ダディは感動しているみたい。

 

「「「キュキュッ」」」


 マンドラゴラ達は喜んでいるね。

 赤ちゃんがいつもの踊りを見せてくれている。

 かわいいなぁ。

 

 結婚するってこんな感じなんだ……

 こんなに喜んでもらえるなんて、嬉しくて幸せだね。

 胸が熱くなる……


「行こうか」


 じいじが微笑みながら手を差し出している。

 少しひんやりするじいじの手を握って波打ち際に歩く。

 あ……

 魚族長と魚族達が集まってくれている。


「姫様……おめでとうございます……」


 魚族長が泣いている。

 いつも優しい魚族長……

 わたしが赤ちゃんの頃からずっと見守ってくれているんだ。

『ありがとう』って言ったら、もっと泣いちゃうよね。

 でも……


「じいじ……魚族長は明日の宴に来られる?」


 魚族は陸に上がれないから……


「あぁ、魔王城の中ではなく砂浜で宴をするのだ。ルゥは魚族長を大切に思っているからな。参加して欲しいだろう?」


「じいじ! 嬉しい! ありがとう」


 じいじに抱きつくと、満足そうな顔をしている。

 いつもわたしの事を考えてくれるんだよね。

 嬉しいな。


「魚族長。宴に来てもらえて嬉しいよ! じゃあ、じいじとお出かけしてくるね」


「姫様……お気をつけて」

 

 魚族長が泣きながら微笑んでいる。

 魚族達は心配そうに魚族長の周りを泳いでいるね。

 

 じいじの魔術で海の中を進む。

 赤青クラゲがいつもより多く見える。


「じいじ? 今日はいっぱい赤青クラゲがいるね」


「ルゥは赤青クラゲを知っていたのか? このクラゲは魔王様が作った物なのだ。海で危ない事が起きている時は赤に、問題ない時は青に光るようになっている。今は平和になったから赤と青交互に光っているがな」


 お父さんが作ったの?

 前の世界の信号みたいだね。

 不思議だな。

 お父さんはもういないのに、すごく身近に感じる。


「ルゥに『おめでとう』と言っているようだな」


 クラゲ達が?


「ありがとう! 赤青クラゲ、嬉しいよ」


 赤青クラゲがわたし達の周りを赤と青に照らしてくれる。

 優しい光だ……

 あぁ……

 お父さんにもウェディングドレス姿を見て欲しかったよ。

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