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じいじの気持ち~前編~

 今回はじいじが主役です。

 全魔族王会議に向かう海の中___


 前世での家族を思い出し泣いているルゥを抱きしめている。


 いつからだろう……?

 ルゥの事を一人の女の子として見るようになったのは……

 ずっと魔王様の娘として愛を注いできたはずなのに。


 家族以外の者がルゥと親密にしていると腹が立つ。

 ウェアウルフ族やグリフォン族は犬猫だからいいとして、ベリス族とイフリート族の王子は八つ裂きにしたくなるほど憎い。

 幸せの島にいる姿を見るだけでも許せないというのに、ルゥに近づくとは……

 やはり二度と近づけないように……


「じいじ……わたし……病気なのかな?」


 ルゥが苦しそうに話している?

 魔素が濃い魔王城に近づいているからか?


「どこか身体が辛いのか?」


 大変だ。

 全魔族王会議をやめさせよう。

 すぐに幸せの島に戻……


「じいじに見つめられるとね……ドキドキするの」


「え?」


 わたしに見つめられるとドキドキする?

 

「パパとママは平気なの。じいじにだけドキドキ……え?」

 

 今、わたしを好きだと気づいたのか……?

 ルゥも同じ気持ちでいてくれたとは……


「嬉しいよ」


 あまりに嬉しくてルゥの額に口づけをする。

 ルゥのドキドキがもっと大きく速くなる。

 耳まで真っ赤になる姿に微笑んでしまう。


「じいじ……好き……」


 ……!

 強い衝撃を受けたかのように身体が固まる。

 最恐の魔族と呼ばれるこのわたしが……

 あぁ……

 恋心で身を滅ぼす者の気持ちがよく分かる。


「じいじもルゥが好きだ」 


 そうだ。

 いつの間にか家族への愛が恋心に変わっていたのだな。


「孫として……だよね。お父さんの娘だから……」


 ルゥ……

 確かに初めはそうだったが……

 今は違う。


「一人の女の子として……好きだ……」


 わたしの唇がルゥの唇に優しく触れると…… 

 温かい。

 ルゥの唇が小さく震えている。


「これからは、色々な事を話そう。不安がなくなるように。ルゥがいつも笑顔でいられるように。じいじは絶対に……ルゥを置いていなくならない」

 

 そうだ。

 絶対にルゥを独り残したりはしない。

 もっと強くならなくては。


 魔王城に着くと魔素が薄くなっていくのを感じる。

 ルゥの光の力は、かなりのものだ。

 魔族からしてみれば光の力は嫌なものだが、ルゥの力は一緒にいて心地いい。

 最期に魔王様がルゥにかけた術のおかげか?

 

『全ての魔族に好かれる魔術』

 

 魔王様らしいな。

 正確に言えば魅了の力で無理矢理にではなく、人間という種族の違いを感じさせなくする魔術。

 それだけでルゥは魔族に好かれるようになった。

 元々ルゥには生き物を惹きつける魅力があるからな。


 魔王様は、力ではなく心で世界を治めたいと願っておられた。

 あの頃は魔族の争いが絶えず難しかったが、今なら……


 いや、ルゥは魔王になる事を望んではいない。

 それにルゥが産んだ子が勇者とは……

 わたしの息子が勇者なのか?

 魔族最恐と呼ばれるわたしの子が勇者……


 ルゥの子……

 絶対にかわいいに決まっている。

 賢く強く、美しいはずだ。

 ルゥを溺愛しているように、その子の事も溺愛するだろう。

 だが……

 わたしの子でもあるのか……

 醜いヴォジャノーイ族のわたしに似たら……

 いや、子孫繁栄の実の力で産まれる子は母親側の種族だ。

 ルゥに似たかわいい子が産まれるはずだ。


 その子を勇者だからといって殺されるわけにはいかない。

 まぁ、いざとなれば子に危害を加えようとする愚か者どもを消せばいいだけだがな。



 それにしても……

 全魔族王会議は常に厳粛に行われるものだというのに……

 わたしがヴォジャノーイ王でなくなったとたんに、このざまか。


 グリフォン王やウェアウルフ王がルゥに見とれるのは犬猫だからいいとして、それ以外は許せない。

 特にベリス王は今、ルゥに魅了の力を使っている。

 ルゥには魅了の耐性があるからその程度では効かないが……

 もっと近づいたら危ないかもしれない。



「ルゥ? 防御膜に入って目を閉じていなさい」


「じい……」


 ルゥを水の防御膜に入れる。

 防御膜に入れば膜の外の音は聞こえなくなる。

 今からする話をルゥには聞かせられないからな。


「お前達は、相変わらず愚かだな。この全魔族王会議をなんだと思っている? 今この場で皆殺しにする事もできるが、どうして欲しい?」


 わたしの言葉に王達が席につく。

 リヴァイアサン王はずっとテーブルの下に隠れているな。

 まぁ好きにすればいい。


「お前達はなぜ今この場にいると思う? わたしがそれぞれの国に行き王を殺し、ヴォジャノーイ族を王にすげ替える事もできる。だがそうはせずに機会を与えてやったのだ」


「お……伯父上……」


 ヴォジャノーイ王よ。

 震えている場合ではないぞ。

 全く、しっかりしてもらわないとな。


「ヴォジャノーイ王……やる気はあるのか?」


 わたしの低い声にヴォジャノーイ王が震えながら何度も首を縦に振る。


 話は終わったな。


 今回の全魔族王会議はわたしの子が勇者であっても後で文句を言わせない為に開いたものだ。

 一度決まった事は後から覆せないからな。

 第一部 魔族編

『おばあちゃんの記憶と告白』

 2022/09/09 13:06 (2025/03/30 23:37 改稿)

『魔王城』

 2022/09/09 19:02 (2025/03/31 08:34 改稿)

『これが全魔族王会議……?』

 2022/09/10 13:01 (2025/03/31 18:58 改稿)

『前王と前王妃』

 2022/09/10 19:22 (2025/04/01 06:59 改稿)


 の時のじいじが主役の物語です。

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