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オレ様王子とルゥ ~ルゥが主役の物語、前編~

 今日は朝から雨。

 じいじもママもお出かけ中。

 パパは遊び疲れてウェアウルフ王が建てた家でマンドラゴラ達とお昼寝中。

 ウェアウルフ王もグリフォン王も今日はまだ来ていない。


 ガゼボに行って雨の海を見ようかな?

 雨の日はいつもいない魚が跳ねたりするんだ。


 傘をさして島を歩く。

 雨で重くなった砂に、裸足で歩くわたしの足跡がつく。

 いつもより涼しい幸せの島は雨音に包まれている。


 ガゼボの椅子から海を眺める。

 雨の日は海に霧がかかって幻想的……

 所々、霧に赤と青の色がついている。

 

「綺麗……」


「あぁ……綺麗だな」


「うわあ! びっくりした!」


 突然声が聞こえて大声が出ちゃった。

 ガゼボの外に残念王子がずぶ濡れで立っている?


 うわ……

 残念王子だ……

 この雨の中を何しに来たんだろう?


「グゥルル」


 王子の隣に小さいドラゴンがいる。 

 雨に濡れているけど大丈夫かな?


「あぁ……あの……この前は、その……悪かった」


 え?

 もしかして家を燃やした事を謝りに来たの?

 大切な家を燃やしたのは赦せないけど……

 反省しているのが伝わってくる。

 

 前世のおばあちゃんが言っていたな。


『本気で謝ってきたんなら赦してやれよ? でも上っ面だけで謝ってんなら絶対赦すな。そんな奴はクズだからな』


 残念王子は心から謝っているのが伝わってくる。

 ……赦したくないけど。

 でも……


「とりあえず、ガゼボに入って。そっちの小さいドラゴンもおいで」


 王子と小さいドラゴンが素直に入って来る。

 やけに大人しいな。

 いつもは偉そうなのに。

 反省しているのかな?


「……」


 無言で見てくる?


「あの……オレ……いや、その……」


 何だろう?

 言いにくい事かな?


「魔王の娘は……その……」 


 顔が赤い?

 雨の中を飛んで来たから風邪をひいたのかな?


「……」


 また黙っちゃった。

 どうしたんだろう?


「具合が悪いの? パパに頼んで薬を作ってもらおうか?」


「え? いや、具合は悪くない。どうしても言いたい事があって来たんだ」


 言いたい事?

 もう謝ってもらったけど?

 他にも何かあるのかな?

 あ!

 もしかしてイフリート王がくれた家具を返して欲しいとか?

 じいじが無理矢理持って来ちゃったのかも!


「オレ……好きだったんだ。ずっと……だからもう手離したくないんだ。だから……イフリート王国に、その……」


 そんなに大切な家具だったんだ。

 悪い事しちゃった。


「うん。分かったよ」


「え? いいのか?」


 王子が笑顔になった。

 こんな事なら早く返せばよかったよ。


「重くて大変だから後でじいじに送ってもらうね」


 いっぱいもらって来たからね。

 王子一人じゃ無理だよ。


「お前は軽そうだからな。ジャバウォックは平気だぞ?」


 ん?

 わたしが軽い?

 ……?


「早速行こう!」


 え?

 王子がわたしを抱き上げた!?

 

 あれ?

 どうして抱っこ?

 あ、そうか。

 ウェアウルフ王の建てた家まで抱っこで運んでくれるんだね。

 もらって来た家具は全部そこにあるから。


「自分で歩けるから平気だよ?」

 

 あれ?

 わたしの言葉に王子が驚いた顔をした?


「え? イフリート王国まで歩くのか?」


 ん?

 イフリート王国?

 ウェアウルフ王が建てた家に行くんだよね?

 ……あれ?


「「……」」

 

 お互い無言になる。

 もしかして話が噛み合っていなかった?

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