女性からの需要に応えようとすれば、作者の供給も変わっていく……?
今までの漫画やラノベなどの作風は、主な消費者だと考えられていた、男性の需要を意識している傾向がありました。
もちろん、女性向けの漫画やラノベだって数多くありましたが、少女漫画のように、はっきりと女性向け作品であることを打ち出した場所に置いてあるものが大半でした。
ところが、少年誌など、元々は少年向けや男性向けであった場所に、少女向けや女性向けの物語が低くない割合で混ざるようになってきています。
つまり、境界が曖昧になってきているということです。
すると、どうなるか。
これからの漫画やラノベは、「主な消費者は女性である」ということを念頭に置きながら生み出されるのは必然だと言えるでしょう。
実際に、そのことを前提とした漫画が制作され、トップレベルの高評価を得た実績があることから、この流れは続いていくはずです。
例えば、ラッキースケベな展開は、男性読者を喜ばせるために入れていたケースが多いでしょう。
こういったものは、「客を減らす余計な描写」として削減されていくかもしれません。
もちろん、PTAのような価値観で、「悪影響がある」とか「女性差別になる」とか言い出す人は少数派だと思いますが、客が増えないのであれば不要な描写になっていきます。
まあ……女性人気の高かったスポーツを題材とする少年誌の漫画(作者は男性)において、女キャラの入浴シーンが挿入されていたことなどから考えても、作者のモチベーションのために性的な要素が必要だったりするのですが……。
性的な要素の少ないアニメで、OPやEDではメインヒロインの全裸が描かれることが珍しくなかったり……。
「客が変わる」というのは大きな変化です。
今まで喜ばれていた描写が余計なものとなり、今までドン引きされるリスクのあった描写が歓迎されるかもしれません。
自分が書きたい作品を書いていた人には影響がなくても、需要に応えることを目標に書いていた人であれば、変化に対応しなければならないでしょう。
作者としては大変ですが、努力次第ではレベルアップにつながる作業になるかもしれません。
また、今まで散々批判されていた不自然すぎる描写が是正されていくとしたら、歓迎する人も少なくないでしょう。
ただ、女性向けの作品であっても「少女漫画の男性」のような不自然な描写が含まれるので、そういったものとの距離感は難しくなるリスクはあります。
現在の流行を見本としながらも、どこまで不自然な描写を許容するのか、作者の模索は続いていくと思います。