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私の奴の攻防

作者: あひる隊長

 今日も電車は混んでいた。

 私の乗る駅から座れた試しはない。だからと言って座れる駅まで移動するのにも中途半端な距離だった。

 だから今日も疲れた体でぎゅうぎゅうと電車に詰め込まれた。


 私は普通の会社所属のショップ店員。仕事も嫌いじゃないし、意地悪な上司も先輩も居ないので結構気楽に毎日仕事をしている。

 ただ、私の通勤時間は3時間かかる。家がすごく田舎なわけでは無い。ただ乗り継ぎが悪いのだ。一人暮らしする事も考えてはみたが、正直今の仕事をずっと続けられるかはわからない。

 とりあえず、今しばらく引越しの予定はない。


 帰宅時間だか比較的空いた電車から次に乗り換える。ここから自宅の最寄り駅まで20分ほどの短いじかんだ。しかしここから混むのだ。しかも半端ない。


 自慢じゃ無いが私は人より背が低い。こんな鮨詰め状態だとだいたい男性の胸辺りが顔の高さになる。女性でも髪の長い人でまとめて無かったりすると髪の毛に埋まったりする。

 不可抗力なので許して欲しい(涙)


 今日もそんな感じで悪戦苦闘していたら奴が来た。


 最初は分からなかった。

 冬場は分厚いタイツを履く。最近は『まるで毛布みたいな』なんて謳い文句の360デニールなんてタイツがあるのだ。

 ショップなんて暖房がかかっていても足元から冷えていくのだ。


 だから最初は気づかなかった。

 何かおかしな気配がある。心持ちお尻辺りがモソモソしているような気がする…


 満員鮨詰めなのでちょうどいい体制を模索しているのかと思った。私だって後ろを振り返ることすら出来ない。


 でも…


  ーモソモソ…モソモソ…モソソソ…ー


 やっぱなんかおかしい!


 誰か私のスカートをめくっている!少しずつ少しずつ、動けないので指先だけでスカートを捲り上げようとしているのだ!


 足首までのロングスカート…


 その下にはペチコートを履いている。もちろん足首までの…

 さらに、その下には寒いのでもう一枚薄いペチコートを履いていた。


 だって駅から原付なんだもん。


 謎の人物が2枚目のスカートを手繰り始めた辺りで最寄り駅についた。


 結局誰が私のスカートを手繰っていたのかは分からなかったが、奴がこれに懲りてくれる事を切に願う。

痴漢ダメ、絶対!((((;゜Д゜)))))))

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