メイとイサヤ7
メイ視点に戻ります。メイ、がんばれ!
涙でにじむ視界に、困ったように眉を下げて私を見つめるイサヤが映りこむ。
「悪い……。ちょっとやりすぎた。…まさかとは思うけど、キスするの初めてだったりする?」
「うっ、うぅっ…」
泣いてすぐにしゃべれない私を見て、何かを察したっぽいイサヤが、言葉を探しながらゆっくり話し出す。
「あー・・・。女にとって初めてって大事って言うしな。マジでわる…」
でも、それを遮った。
「は、初めてじゃないもん!・・せ、正確には に、2回目!?」
私の勢いと言ってることにびっくりしたのか、少し目を見開いたイサヤ。
「そ、そうか。…じゃあ、よか…」
でも、イサヤが言おうとしたことに気づいて、またもやその言葉を遮った。泣きすぎて苦しかった息だって、今は思いっきり吸えるし!思いっきり息を吸って、叫ぶみたいに言葉をぶつけた。
「良くない!全然良くないんだから!!
1回目も2回目も!全部…全部イサヤが相手なんだから!」
勢いついでに、思わずグーでイサヤの胸を叩いてしまった。
「はっ?…はぁ!?」
意味がわからないというような顔をするイサヤに、さらに怒りが湧いてきた。勢いに任せて闇祓いの時のことを説明する。でも、あの濃厚なキスの説明に差しかかると、とたんに恥ずかしさがこみ上げてきて…だんだん声は小さくなるし、イサヤの顔も見てられなくなって、とうとう、うつむいてしまった。
最後は消え入るような声になっちゃったから、イサヤにはちゃんと伝わってないかもしれない。でも、これ以上は恥ずかしすぎて無理!
私が話を終えたのに何の反応もない。待っている時間がものすごく長く感じる。・・・さすがに気になってきた。恐る恐るだけど、なんとか顔を上げてイサヤを見た。
「えっ…」
思わず声が出ちゃった。だってイサヤ、顔真っ赤。びっくりして涙も止まっちゃったし。私がじっと見ているのに気づいたからか、プイッと顔を横に向けて片方の手で口元を隠した。珍しいその仕草に、ちょっと私のテンションが上がる。
「イサヤでも、そんなふうに照れることあるんだ!なんか、可愛い〜〜」
「あ''?」
あれ?私もしかして地雷踏んじゃった!?
と思ったときには既に遅し…。
顔を赤くして照れていた可愛いイサヤは一瞬でいなくなり、怖〜い笑顔を浮かべてるイサヤが目の前にいます…。
ぎゃ〜〜〜〜〜〜!!
神様、可哀想な私を助けて〜〜〜!!!
窮鼠猫を噛む、ってやつですかね。折角反撃したのに、すぐに墓穴を掘るメイ・・・。




