イサヤとメイ5
新年早々、イサヤ、やらかします( ̄∇ ̄)
脳内が降って湧いた”結婚”の二文字に対して大パニックに陥ってしまった私に、
「メイちゃんには、ちょっと大人すぎる話だったかな〜?」
さっきまでとは打って変わって、今度はすっごくバカにされてる感じで言われたから、思わずムッとして、勢いで返事をしてしまった。
「そ、そんなことないもん!!政略結婚なんて魔界じゃよくあることだし!私だってお母様の立場を考えたら、そういう話があってもおかしくないって…それなりの覚悟は決めてるんだから!も、もう、子供じゃないもん!!!」
勢いに任せて一気に言った私は若干息切れ気味。小さくふぅと息を吐いて心を落ち着けようとしていたら、イサヤの瞳がすっと細められた。
「……ふーん…」
その言い方に本能的に危険を感じる。
あれ、私なにかマズイこと言ったっけ?
そう感じて、さっきの自分の言葉を思い返そうとした瞬間、イサヤの瞳の奥がキラリと光った気がした。
「じゃあ、子供じゃないメイちゃんには、大人な挨拶しなくちゃだな」
「へっ? ん、んんっ!」
大人の挨拶って何?って聞こうとしたのに、その質問は全く声に出せなかった。どうして声を出せなかったのかを理解したのは、だいぶ後のことなんじゃないかと思う。
まず最初に気づいたのは、さっきまで私を見つめていたはずのイサヤの瞳が、どうしてか今は閉じられて目の前にあること。
さっきまでの近さとは違って、本当に目の前にある。
その次に、自分の唇に温かくて柔らかなものが触れていることに気づいた。
最後に、それがイサヤの唇だってことがわかって……。
「んっ、イ、イサヤっ……!」
慌ててイサヤの胸を両手で押して離れようとするけど、イサヤの体はびくともしない。
な、なんで!?なんでイサヤとキス!?
私の頭の中は真っ白どころか爆発寸前。それなのにイサヤのキスは終わる気配がなくて、何度も重ね合わされる温もりのせいで、次第に体から力が抜けてきた。おまけに驚きすぎて見開いていた目は、自分でも気づかないうちに閉じていて。
生まれて初めてちゃんとするキスは、闇祓いの時とは全く違ってた。優しくて、甘くて甘くて…このままずっと続けばいいのにって思ってしまった。
私の体から、すっかり力が抜けきってフニャフニャになっちゃった頃、やっとキスをやめてくれたイサヤ。体に力が入らない私は、そのままイサヤの胸に倒れこんでしまった。それに、なんだか頭の中もふわふわする…。
だから、ここから後の会話は無効のはず!!!
「ふっ、お子ちゃまなメイには、ちょっと刺激が強すぎたか?」
からかうように言われて、イサヤの胸に埋めていた顔を思わず上げてしまった。恥ずかしくて恥ずかしくて。
きっと真っ赤になっているであろう自分の顔を見せるのはスゴく嫌だったけど、いきなりあんなキスをしておいて、まるで遊びか冗談だったみたいな言い方をされたのが、なぜだかすごく悲しかったし悔しかった。
「イサヤにとっては大したことじゃないかもしれないけど!私にとって、キスは好きな相手とだけする特別なことなの!!そ、それなのに、そんなにバカにしたみたいに言うなんて…。うっ、うぅっ、ヒドイよ…」
最後の方は、泣きたくなかったのに、勝手に涙が溢れてきて嗚咽交じりになってしまった。
あ〜あ、泣かせちゃった・・・。




