イサヤとメイ3
メイ目線に戻ります。
ど、どうしよう…なんかすっごく緊張するとゆーか…。私、どうしてここにいるんだっけ?もはやパニックに近いくらいに緊張してカチコチっていう自覚はあるけれど、だからと言って緊張がほぐれるわけでもなく…。
えーと…どうしよう?
あ、そうそう!
スヴァルツォさんといろいろ話してるうちに、イサヤのことが心配になったんだっけ…?
でも、さっきは私の顔を見て結構な勢いで笑ってたし!
なんなの?失礼すぎるし!!
なんて…。プチパニックのあとの怒りのせいで、危うく当初の目的を忘れそうになったけど…。
人気者のイサヤが、本当は周りに対して心を閉ざしている。
オマケに周りが望む”次代のミカエル”に合わせて偽りの自分を作り上げたきた。
輝かしい才能も容姿も持ち合わせているのに、誰よりも孤独を味わいながら生きてきた俺様天使。
そう気づいたら、居ても立ってもいられない気持ちになったんだった。同情とかじゃなく、ただ、側にいたい。
私の前では、周りのために作ったイサヤでなくていいのなら尚更、そのままの、本来のイサヤのままでいて欲しい。
ありのままに生きて欲しいから。
できることなら、孤独なイサヤの心に寄り添いたいの…。
自分で言うのもなんだけど、そんな風に切なくもピュアな気持ちでイサヤを想って。心の底からイサヤのために何かしたいと思っているんだけどな。
ずっと俯いているわけにもいかなくて、思い切って顔を上げたら、イサヤが徐に私の顔にスッと手を伸ばしてきた。
それもさっきとは打って変わってちょっと伏し目がちな感じで。なのに、深い青色の瞳は真っ直ぐに私のことを見ていて。その瞳の力強さに吸い寄せられたみたいに視線がそらせない。
知らず知らずのうちにドキドキが強くなって加速していく。思わずゴクッと喉を鳴らせば、イサヤの口元が妖艶に弧を描いた。
「お前、俺と一緒にこの馬車に乗るってことが、どういうことを意味するかわかってる?」
そう言いながら、とうとうイサヤの指先が私の顎を捉えた。
へぇっ!???えっ?えっ??これってどういう状況!?
イサヤと一緒にこの馬車に乗る意味?えっ??????
もはや頭の中にも外にも「?」しか浮かばないくらいの勢いで戸惑う私。
「あ、うぅ…えぇっと……」
もちろん言葉なんて出てこず、「あ」とか「う」とか意味不明なことしか言えない…。それに、イサヤの指が私の顎をガッチリと掴んで離さないし、イサヤの纏う空気がなんだかいつもと違いすぎて!!
誰か助けて〜〜〜、どうしたらいいの!?
メイが食べられる〜!




