治療じゃない!?いえ、れっきとした治療です!
このシーン、書いてて一番楽しかった(笑)
なーんにも知らない私は、ようやく覚悟を決めて。
『よし!気持ちも落ち着いたし、やりますか!!』
なんて、心の中で気合いを入れまくった。気合いが全身にみなぎったところで私は、スースーと弱々しい呼吸をするイサヤの口にそっと自分の唇を重ねた。イサヤの唇は思ったより柔らかくて温かかった。
そんなことにちょっとドキドキしてしまっている自分を今は見て見ぬフリ!
少しずつ、少しずつ…イサヤの体内から私の方へと伸びてきた闇の糸が、スルスルとお互いの唇を介して私の方へと流れ込んでくる。すごく慎重にやらなくちゃいけないからとっても神経を使ったけど、結構順調にイケてると思う!!
そんなことを思ったのがいけなかったのか、それとも他の理由があったのか…。とにかくそれは、突然起こった。
順調に闇が私へと移動してて、イサヤの中から私の中へと移ってきた闇は私の闇に飲まれて消滅していくのがわかる。それに安心したのと、残りもあと半分位ということがはっきりしてきた頃、魔法陣の力で光から分離していた闇が突然抵抗を始めた。
この後に及んで抵抗するなんて、なんて質の悪い闇なの!!
私はあの時の死神を思い出して頭に血がのぼりそうになったけど、ここで私が心を乱して失敗したら死神の思う壺!そんなことは絶対にさせない。そう思って気合いを入れ直して闇を強引に引っぱり出そうと思った時だった。
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あとで思えば、再び暴れ始めた闇の力にイサヤが辛くなったに違いない。闇を一刻も早く自分の中から出そうとしたんだと…そう思いたい。。。
私はイサヤの唇にそっと自分の唇を重ねていたんだけど、突然私の後頭部が誰かにガシッと掴まれたかと思うと、イサヤの方へぐっと力強く引き寄せられた。
イサヤの唇と私の唇がこれでもかっていうくらいくっつく。おまけに食べられちゃうんじゃないかっていうくらい私の唇が貪られているんですけれども!!
どうなってるのこれ!誰か助けて〜〜!!
息は苦しいし、我慢しようと思っても自分の口から自分でも聞いたことのないような声が出ちゃうし!!かといって唇を離そうにも後頭部がしっかり押さえられてて身動き取れないし。おまけに闇と一緒に光が入ってこないように気をつけなくちゃいけないのもあれば、ますます息が苦しくなってきるってこともあって…。
もう私の頭の中は完全にパニック!
だってしょうがいないよね!?
初めてなんだよ!?
キスすら初めてなのに、いや、これはキスじゃない!
でもキスっていうか〜〜〜!!!
いきなりこんな…!!!
散々唇が貪られて、おまけに酸欠で倒れるかと思った時、ふっと唇が解放された。
『やったー!これで息が吸える!!』
そう喜んだのもつかの間、再び後頭部にぐっと力が込められたかと思うと、今度は私の口を割ってなんだか熱いものが入ってきた。
へっ!?
えっ!??
えぇっ!!?????
初めてのことだらけで、それがイサヤの舌だってわかるのにしばらくかかっちゃった私…。
「うー!!」
必死で体を捩って逃れようとするけど、全然ダメ。とにかく離して欲しくてイサヤの体をポカポカ叩くも、濃厚なキスはちっとも終わりそうになく…。
それでも、繋がりが深くなってから、ものすごいスピードで闇が私へと移動し始めたので、ほどなくして…というか、別の意味ではやっとのことで、最後の闇の糸が私の体に吸い込まれた…。
とっくに足には力が入らなくなっててガクガクしてるし、涙も浮かんでくるし、頭の中はふわふわしてもう何が何だか。
上も下も右も左も。何もかもがわからなくなって、とうとう私は意識を手放した。
楽しんでいただけたなら幸いです。ぜひ感想を!!