その後のメイとイサヤ
いいな、と思ったらポチっとお願いします(^▽^)/
僕は、誰もがイサヤに気を取られて、その存在すら認識されていないメイちゃんにそっと声をかけた。最初はイサヤのすぐ傍にいたのに、今や彼女は騒ぎの輪からずいぶん外れたところでポツンと一人で立っていた。その姿は儚げで、今にも消えてしまうんじゃないかと、ありえない理由で変に不安になったくらいだ。
「メイちゃん」
そっと声をかけるとメイちゃんは僕の方へ顔を向けた。とりあえず彼女を医療棟に連れて行きながら、任務中のイサヤについて聞きだそうと思った。でも、僕の目論見は完全に当てが外れてしまった。メイちゃんは僕がどんなに一生懸命話しかけても、どこか虚ろな目をあちらこちらに彷徨わせるばかり。その瞳には僕が映っているのに、メイちゃんには認識されていないらしい。
「メイちゃん、大丈夫だよ。僕はここにいるし、イサヤには優秀なDr.がついてくれてる。だから落ち着いて僕の話を聞いて欲しいんだ」
懸命に言っても
「イサヤ、イサヤは?イサヤはどこに行ったの?」
とか、
「いやだ、私を独りにしないで。置いていかないで…」
小さな声でそんな言葉を繰り返すばかり。相当動揺しているらしい。むしろパニックに近い状況かも…。
そんなメイちゃんを相手に根気強く話しかけつつ、僕は内心じりじりと焦っていた。焦るけれど、焦った様子を見せればメイちゃんはもっと動揺して本格的なパニックに陥るかもしれない。そう思ったら、焦りをぐっと押し込めて、なるべく静かに話しかけるしかなかった。
今ここでメイちゃんから的確な情報を引き出せなかったら、イサヤは、イサヤは……。僕はそれ以上考えたくなくて、軽く頭を振って思考を無理やり途切れさせた。
気をとりなおすと、メイちゃんの腕をそっと掴んで、とにかく医療棟へ向かった。
・・・・・・
・・・・・・・・・
医療棟では怒号が飛んでいた。
いつも冷静な医師たちが声を荒げて走り回っている。そのほとんどが同じ部屋へ駆け込むのを見て、僕は胸騒ぎが抑えきれず、足早にその部屋の入り口へ近づいた。
そこで見た光景は……できれば目を背けたくなるような光景だった。
医療用のベッドの上には、さっきより数段も苦しそうな表情を浮かべて血の塊を吐き出すイサヤがいた。苦しさから逃れようとしているのか、激しく咳き込むたびにイサヤの体がベッドから落ちそうになる。その度に、支えようとした看護師たちが弾き飛ばされるらしく、代わって腕に覚えのある屈強な医師や看護師たちが呼ばれてどんどん部屋に集まっているらしい。
がんばってどんどん進めていきます~!