出会い
お読みくださいましてありがとうございます
遠巻きに騒がれることは当たり前。
外面が良いせいか、老若男女問わずしょっちゅう声をかけられる。
女からは言い寄られることもしばしば。たまに男からも…?
昨日も仕事終わりに年上のお姉様から声をかけられて…。
結局、さっきまで仲良くベッドの中。
おかげで眠い…。
「それにしても無駄に長い廊下だっ!?」
不覚にも最後が「!?」となってしまったのは、油断しまくって歩いていた俺の背後に、なにかが勢いよくぶつかってきたからだ。
「って〜、いったいなんだってんだ?」
半ばキレ気味に振り向いた俺の視界に飛び込んできたのは、でっかい瞳を潤ませながら、おでこをさすっているちびっこい悪魔だった。俺にぶつかって尻もちをついたらしく、まだ廊下に座り込んだままだ。
面倒くさいことこの上なかったけど、よく見れば、真っ黒な瞳は長いまつ毛に縁取られ、抜けるように白い肌は頬だけがピンク色に染まっている。
血色の良い唇はプルンと潤っていて、うまそう…じゃなくて。
化粧なんか何もしていない…おそらくすっぴんなのに、俺が出会ったことのある女たちと比べて、抜きん出た美しさ。
めちゃくちゃ美少女だ。
しょーがねぇなぁと思い、ここは怒りを抑えて外面だけでも保っとくことにした。
「君、大丈夫?」
心配なんかしちゃいないけど、一応、心配そうな声音で言ってから手を差し伸べた。
ちび悪魔は、かがみ込んで手を差し伸べている俺に気づいて一瞬フリーズ。でっかい黒い瞳が俺をガン見すること数秒。
まぁ、こういう反応には慣れている。
仕方がないのでちょっと待つ。
でも、この後のことは今までになかったパターンで、さすがの俺も予測できなかった。
我に返ったらしいちび悪魔は、こともあろうに
「あぁっ!すみません!!」
と叫びながら勢いよく自分で立ち上がった。
『ゴンッ!!』
「……ってぇ〜!!!」
「イタタタ…」
ちび悪魔が俺のアゴに頭突きをかましやがった!!!
ありえねぇだろ!信じらんねぇ!!
この俺様が!わざわざ手を貸してやるって言ってんだ!
普通はちょっと恥じらって、なんなら頬を染めたりしながら差し伸べられた手をおとなしく取るだろーが!!!
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