初仕事
やっと時空の間を超えて地上に到着です
本気で手を合わせて祈っていると、降下速度が緩くなったみたい。
もしかして祈りが通じた!?
「そういえば、お前に今日の”対象者”のこと話してなかったな」
突然、イサヤが真剣な声音で言ってきた…。
「なんだ、神様に祈りが通じたんじゃなかったんだ」
「はぁ?」
「なんでもないですっ!仕事のことになると真剣なんだな、と思って」
「当たり前だろ、ばーか」
「もう!そんなにバカバカって言わなくてもいいでしょ!」
「うっせぇ、ばーか」
バカと連呼されたあげく、ポイッと空中に投げ出されました。
「ぎゃ〜!なにするのっ!!」
背中から落っこちていく私に、スッと近づいてきたかと思うと、
「お前の羽は飾りか?」
って冷めた目で言うし!
なんて意地悪なの…!!!
でも、そう言えば私、飛べるんでした。
空中で姿勢を整えてから、おもむろに羽を広げると、気持ちのいい風が羽を刺激してきた。
ちょっと余裕がでてきたのでイサヤが見下ろしている先を見てみると、雲の切れ間に町が見えた。
「あ、地上?」
我ながらちょっと間抜けな質問だったかも。と思ったけど、イサヤはなにも言わなかった。
代わりにすごく優しい微笑を浮かべて町を見つめていた。
(ふーん、そんな顔もできるのね。慈愛に満ちた天使様って感じ)
「お前さ、ほんと言いたい放題だな」
「へ?」
「心の声、だだ漏れだけど?」
「えぇ!?」
「まぁいいけど。慣れてきたし。それより、今日の”対象者”は子供だ。まだ幼いからって、変な情とかかけて仕事ミスったりするなよ」
「な、ミスったりしません!子供の魂だからって特別扱いしないのは当たり前だもん。それくらいわかってます!」
「ふーん…ならいいけど」
それだけ言って、イサヤは無言。なんだかよくわからないけど、私もなんとなく無言のまま、イサヤの後をついていった。
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