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3話で変な所で終わってしまっていたので少し変更して書き直しました。
「んん〜ん?」
寝惚けながらも目を覚ます。
「えっと…たしかフリィが身体をつくるって言って、そこで眠くなったんだっけ?」
眠る前にあったことを思い出しながら頭の中を整理していく。その内に目も覚めてきてので立ち上がる。
「あれ?なんだろう…何か違和感が…?」
「当たり前だろうアルフ?」
「フリィ…いつの間に?」
「あれ?今回は驚いてくれないんだ?驚いた顔も可愛いかったんだけどなぁー」
いつの間にか後ろにいたフリィが声をかけてくる。もしかしたら気づいていなかっただけなのかもしれない。そう思うぐらいには考えに耽っていたようなきもする。
「2回目だし、フリィなら大抵のことができちゃいそうだから自分でも不思議なぐらい驚かなかったよ?」
「ん〜、それは残念。…………次はもっと驚いてくれるように何か他のものを考えて置かないと(ボソッ)」
「それでフリィ?さっき言ってた当たり前ってどういうことなの?」
フリィに聞いてみるがなにか考えているのか全くの反応を示さない。このままでは時間が掛かるので僕は彼女に近づき肩に手を置こうとした。その手を見て思わず手を止める。それは人間の手ではなく狼の手であった。一度狼になったことがあるアルフは彼女が言っていた当たり前の意味をりかいした。
「そういうことか……」
「うん、そういうことだよ!アルフの身体を創り終わったからアルフの魂を入れたんだ!身体の調子はどうだい?新しい称号のおかげが狼とドラゴンの合成体。長いから狼竜って呼ぶね。それで狼竜の身体とアルフの魂が想像していたよりも相性が良くて新しい称号が生まれたんだ。【魂身共鳴】って称号でユニークスキル【適合】を得たんだ。だからなにも違和感は無いと思うんだけど……」
彼女の話を聞きながら、新しい身体で目を覚ましてから何の違和感も無かった理由を知った。スキル【適合】のおかげで狼竜の身体を自分の身体のように、否、狼竜の身体が自分の身体であることが当たり前のように適合したのだろう。確認のために走ったり跳んでみたり、何の違和感も無かった。
「……特に違和感は無いかな?むしろ生前よりも身体が動きやすくて驚いてるよ……!」
「そっかぁ……何の問題も無くて良かったよ……!旦那様の身体は万全にしておきたかったからね!初めて創造した身体に魂を入れたから少し不安に思ってたんだ。姿見で私の創った身体を見ておくれよ!」
そう言って姿見を出すフリィ。言われたように映る自分を見る。狼の身体は前回と同じく青みがかった銀の毛で覆われており、耳の間に2本の角が後ろに向かって伸びている。背中には見ていて違和感の無い程度の膨らみがあり、意識してみると膨らみが大きくなり鳥類の様な翼になった。
「ねぇ…フリィ?なんで鳥の羽なの?たしかドラゴンって蝙蝠みたいな翼じゃ無かったっけ?」
「それはね…元にしたマナドラゴンの生態が関係しているんだ。マナドラゴンはマナ、空間に漂う魔力のことなんだけど、そのマナがとても濃い場所で極稀に異常な濃さになる時があって、卵って周りのマナや触れたものの魔力を吸って成長するんだ。だからそんな場所に置かれたドラゴンの卵から異常個体として生まれたのがマナドラゴンだよ。ついでに言うと、スペリオルウルフも同じように生まれた異常個体でそれぞれステータスが高かったりするんだ。それでね、マナの濃い場所は魔物にとって心地のいい場所だから、縄張り争いが激しくて強い魔物が多いいんだ。
そんな外敵がたくさんいる場所で生き残るために身体が小さくて軽い。ドラゴンは魔力を少量とはいえ使って飛んでいるんだけど、マナドラゴンは鳥の様に魔力を使わずに飛べるんだ。だけど狼竜のデメリットで魔力を使わないと飛べなくなってしまったんだ」
試しに翼を動かし飛ぼうとしてみるが滞空時間は変わらず飛べるように思えない。フリィの言っていた魔力を使えば飛べるのかもしれないが魔力の使い方を知らない僕が飛ぶことは出来ず、項垂れた。
「アルフ……あまり落ち込まないで?これから魔力のことも合わせて教えていくからさ。」
そう言われながら頭を撫でてくれる。僕は嬉しい気持ちを抑えきれず耳が立ち、尻尾も振ってしまう。どうやら耳と尻尾は無意識に感情を表してしまうようだった。
「ふふ…元気がでたようだね。じゃあこれからの予定を教えよう。最初はその身体で狩りをして体の使い方を学んでもらうよ」
そう言った彼女の右手には首を掴まれた兎がいた。