水面に映る夢
ちゃぷ、ちゃぷん歩みを進める度に、水音が鳴り響く。
空には月が青白く光って、星々が瞬いている。
あぁ、まただ。
また、ここに来てしまった。
僕は、まだあの夢に囚われたまま。
あの子を、忘れられないまま。
夢。
あの時の夢。
忘れられない。
月明かりに照らされた、あの子の髪が。
水に濡れた、あの子の脚が。
僕を見つめる、その瞳が。
僕の目を奪って離さない。
なによりも美しく水の中に歩みを進めている。
あの子、
あの子の最期の姿。
笑っていた。
僕が見た中で一番の笑顔。
忘れられない。
きっと。
忘れてはいけないのだ。