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12.愚痴みたいなものです

 最終話の分娩についてを残すのみ! のはずだったのですが、どうしても書きたいことがあって、書かせていただきました。


 たぶん、半分くらい愚痴みたいなものです。



 臨月に入る少し前、友人数名とランチをしてきました。

 ありがたいことに「出産間近だし会おうよ!」と、集まってくれて。

 たくさん話せたし、ものすごく楽しくて嬉しかったのですが、悲しいことが一つ……


 友人Aにこの『妊婦あるある』に書いた、専業主婦になった経過や失業保険のこと、保育園が見つからないお話をしていたところ、友人Bが「やっぱり認可外(の保育園)にいれちゃうの~?」と、会話に入ってきたのです。


(ちなみに友人Bは保育士さんで、数話前に保育園について相談した相手です)



 正直、げげげと思いました。

 前回の相談で、保活について理想論ばかりを語られてしまったので……



 ただ、今回は前回とは違って


『認可の保育園は両親共にフルタイム勤務じゃないと入るのは厳しいし、だからといってフルタイムで働くのは、持病がある自分には危険』


 ということも話しています。


 そして

 『全く働かないと出費はかさむ一方だし、週数回くらいは働きたい』ということと『希望が叶う保育園は、認可外しかなかった』

 ということも話しています。


 だから、大丈夫かなと思ったんですけど……

 今回も「認可外はよくない!」の一点張りで。



 認可外は、保育士が関わってくれるとは限らない、とか

 事故が起きやすいし、重大事故が起こるのは認可外ばかり、とか

 認可外からやってきた子どもは皆、落ち着きがなくて可哀想、とか

 悪い噂ばっかり聞く、とか

 費用が高すぎる、とか

 ちゃんと見てくれるかわかんないよ、とか

 認可の方が絶対いいって、とか


 もー、ずっと認可外保育園のデメリットばかり言ってくるんですよ……

 途中で「もうやめてよ!」と、叫びたくなりました。



 だって、あっさり『認可外にしよう』と、決めた訳じゃないんですもの。


 何度も役所に通い、本やネットでも情報収集をしてきました。

 子持ちの友だちに、保活について聞いてみたりもしてきました。

 それでも、いい方法は見つからず。


 手当たり次第、保育園に電話をかけて相談してみても、受け入れは不可能に近いとわかるだけ。


 他の方法を必死に探してみても、働いて稼いだぶんがほとんど消えてしまう方法だったり、その日に空きがあればどうぞ、という賭けに近いものばかり。


 二ヵ月間動き回ってようやく、条件に合う保育園で無理なく通えそうなところが一件だけ見つかりまして。

 それが認可外の保育園だったんです。



 認可がいいのはわかっているし、もしも選べるのなら認可に入れてあげたい。

 けれど、そのためだけにフルタイムで働いて、自分が倒れてしまったら、そっちのほうがよっぽど可哀想。


 幼稚園に入るまでずっとそばにいてあげる方法もあるけれど、今後何が起こるかわからないし、貯金を切り崩して生活していくのは怖い。


 そんなこんなで、夫と共に悩みに悩み抜いた結果、『いずれは認可外の保育園に預けて私も週数回働き、そのぶん預けていない日にはたっぷりと愛情をかけて二人で育てていこう』と決まったんです。


 最初に描いた理想とは違っていたし、これが『最善』とは思っていません。

 けれど、これが星影家ができる『最良の形』だと思ったから。



 それなのにどうして、理想論振りかざして引っ掻き回してくるんだろう……と、悲しい気持ちでいっぱいでした。

 認可に入れる有効な手を教えてくれればありがたかったのですが、結局それもなくて批判するだけでしたし……


 それに、認可外の保育園にも、保育士としてのプライドをもってやっている方はたくさんいるだろうし、一概に良くないとは言えないと思うんですよね。



 楽しい場の雰囲気を壊したくなかったので「認可に入れてあげたいのはやまやまなんだけど、こっちは切り捨てられるかどうかの瀬戸際にいて、選べる立場じゃないんだよね」と、笑うことしかできませんでした。



 子育てには、今後もこういうことたくさんあるのかもしれないなぁ、なんて思いました。


 現に、自閉症の子を持つ友人が「ひどいかんしゃくを起こすから、公共の場ではスマホを与えて落ち着かせるしかない。けど、周りの人は子どもと関わろうとしない“ダメママ”というような目で見てくる」と言っていましたし。


 理想を語ったり、批判するのは誰にでも簡単にできます。

 だけど『良くないと言われることや、やりたくないことを、あえてしなければならない状況』だってあるんですよね。


 子育ては思い通りにいくものじゃないと思うし、それぞれの家庭の事情だってあるんだから。

 


 正しいとされていることを振りかざしているほうは気分もいいし、いいことを教えてあげているつもりなんだろうなと思います。

 たぶん、悪気なんてものもない気がします。


 でも、その声高に語られた理想論や正論って、心のどこかに罪悪感がある時には、ものすごく鋭い武器となって刺さってくるんですよね。



 世間一般で良くないと言われることをしてしまう(というか、せざるを得ない)自分を、まざまざと見せつけられているようで。


 ダメな親なんだというレッテルを貼られているようで。



 冷静に考えれば全然そんなことないし、傷つく必要性もなかったんですけどね。

 正解なんてないわけだし、全部が理想通りいくことなんてあり得ないから。

 たぶん、育児は特に。


 これから子どもが生まれたらいろんなことがあって、また今回のように理想論や正論が飛んでくることも、たくさんあるんだろうなと思います。


 そんなときは、話を聞く柔軟性はちゃんと持ちつつ、どうしようもないことには傷つかず『これが星影家の方針なんです。最良の形だと思ったんです!』と、心の中は強くあれたらいいなと、そんなふうに思ったりもしたのでした。

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